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読書記録|江崎道朗 福島香織 宮脇淳子『中米ソに翻弄されたアジア史』

読了日:2021年9月26日

 とても興味深く読ませていただいた。

 カンボジアといえばユネスコ世界遺産アンコール遺跡群があったり、プノンペン王宮があったり、夜だけオープンする観光客向けの市場のアンコール・ナイト・マーケットがあったり、観光気分を味わえる場所というイメージがあるが、実はそんな明るい面ばかりじゃない…と冒頭のカラー部分だけでも思わされる。

 過去のベトナムでは、 南北に分かれ南が米仏、北が中ソにそれぞれ支援されていた。 そのせいでベトナム国民同士が米仏と中ソの代理戦争のような状況になる。
 当時の首相シハヌークが親米から反米に寝返ったことによって、中共がそこに台頭し、泥沼化していく…

 本書は3章に分かれていて、3人の執筆者がそれぞれの章を担当し、それぞれの視点からアジア、特にカンボジアとその周辺に目を落としていく構成となっていて、多面的に近現代の東南アジアを知ることができる。
 その東南アジアは過去から中国共産党の影響を強く受けていて、今、それが更に強まりつつあることを、同じアジアの国である日本として、どう捉えてどう対峙していくべきなのか?

 日本人なら、只熊力さんの存在も知っておくべき。 日本の歴史の授業はやっぱり浅すぎる。

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