見出し画像

【2024年問題】中小建設業(下請け)の取組みの限界【時間外労働時間の上限規制】

人事労務の話題で取り上げられることが多くなりましたし、私もnoteで何度か扱っている、2024年問題。


この件については、恐らくですが、このままでは上手くいかないでしょう。

それは、各企業の取り組み姿勢が悪いというわけではなく、建設業特有の問題が影響します。

ーーー

建設業は、簡単にまとめると、
「発注者」が工事全体の完成図や総工費を形作り、
その完成のために「多くの下請け」が関わる

という形になっています。

そして、下請けには、建築や土木だけでなく、とび・左官・電気工事など、多種多様な職種があり、各社がスケジュールに従って順序良く業務を行っていきます。

つまり、建設業については(特に中小建設企業)、業務スケジュールについて、自企業で決めることが難しいということです。

例えば、ある一企業が2024年問題に対応したとしても、周りの企業(特に発注者)の業務遂行状態によっては、その対応策を破棄しなければならない状況になることも多々あります。

ーーー

官公庁が発注者の工事については、ここ一・二年について週休二日の工期が組まれている現場が増加しているのですが、発注者が民間(大手ゼネコン)の場合には、2024年問題に対応していること・しようとしていることがほとんどありません。

元請けが何かしらのアクションを起こさない限り、下請けの中小建設企業は動こうにも動けない(何かしらの対応をするために動いたとしても、そのこと自体が無駄・邪魔になる可能性が高い=元請けのアクションに合わせる必要がある)というのが本音の所です。

私の担当している中小建設企業さんは、工事によっては一次下請けになることも多い規模なのにも関わらず、上記のような状況なのですから、他の中小建設企業さんならなおさらです。

この状況が4月以降も続き、上限規制を守れない中小建設企業が続出したとしても、『まったくもってけしからん!』というように、労働基準監督署はならないで欲しいですし、なってはいけません。

今回の件をどうにかしたいと考えるのであれば、大本であるゼネコン各社の姿勢と取組みを改善しない限り、中小建設企業の打てる手立ては数少ないです。

ですので、労働基準監督署としては、まず大手ゼネコンの動向に目を光らせて欲しいところです。

ーーー

ゼネコン各社は、下請けをいじめながらwかなり儲けているのですから、こういった時には、採算が合わない状況になったとしても、自社工事を手伝っている下請けのために一肌脱いで欲しい!というのが、中小建設企業の人事労務を見ている者の願いです。



★他の人事労務関連記事★

今回の画像は【kaori】さんからお借りしました。ありがとうございます。


この記事が参加している募集

仕事について話そう

読んだ方に、何かしらのプラスを届けることをいつも考えています。少しでも「読んで良かった」と思われる記事を書きます!