二週間のロンドン・パリ旅行を終えて東京に戻ったのも束の間、数日後今度はソウル入り。最初の五日間はいつもと同様一人で毎日朝昼晩と美味しいものを食べ歩いたり、行ってみたかった韓国の有名なメイクアップショップでメイクをしてもらったりして過ごす。韓国のアイドルやタレントの方々はテレビ局での収録の際に、局ではなく事前にそういうショップで仕上げてもらってから現場入りするので、早朝からメイクさんたちは大忙しとのこと。ショップの店長さんの手際の良いテクニックで私の顔もあっという間にそれっぽく仕上がった。ただメイク落としの時の手間がいつもの倍くらいかかったので、やはりこういう凝ったメイクはたまにしてもらうだけで十分というのが正直な感想かも。

昨日の夕方に金浦空港に北海道からやって来た母を迎えに行き、空港鉄道で中心部に移動してから、時間も遅かったのでホテルの近くのカンジャンケジャン専門店で彼女の好物の蟹をたっぷりといただく。母は私を比較的早く産んだので年齢はまだ六十代半ば。十年前、父との離婚協議の際のストレス解消を目的に始めた筋トレをその後もずっと続けているお陰で今でも一日中歩ける体力を維持している。自分の夫が老後の資金を全てパチンコですってしまったという事実自体は確かに悲惨だけど、離婚したお陰で母は生まれ変わったかのように明るく自由に、益々健康になった。私と母は流行りの友達親子とは全く違う、適度な距離感のある関係を私が物心ついた頃からずっと続けている訳だけど、いまだにお互いのことをほとんど分かっていないところが、恐らく友好的でいられる秘訣なんだろうと思う。

今日は起きてホテルの隣のカフェで朝食。通っているジムで朝からタンパク質を多く摂るように推奨されているとのことで、母は菓子パンではなく卵サンドとチキンサンドとハムサンドの中から迷ってチキンサンドを選んだ。普段はプロテインも飲んだりしているらしい。サンドイッチを食べた後、そこのコーヒーはイマイチそうなので隣のコーヒーが美味しそうなカフェに移動してドリップコーヒーを注文。母のリクエストで私も景福宮の中を散歩したり、最近終わった日本のドラマの最終回で登場した三清洞の撮影スポットで写真を撮ったり、観光らしい観光を一通りしてから梨泰院のベトナム料理店「QUYIN」で美味しいブンチャー（米粉のつけ麺）を食べて一旦ホテルに戻る。

夕方地下鉄6号線で望遠駅まで行き、市場を二往復散歩してから予約しておいた近くのナチュラルマッコリのお店へ。満席の店を一人で切り盛りするご主人の手際の良い調理や熱心なサービスに目を見張りながら、おすすめされたマッコリを飲み、美味しいユッケや絶品の豆腐キムチをつまむ。母は昔ほとんどお酒を飲めなかったはずだけど、いつの間にかマッコリを三、四杯飲める様になっていて驚く。色んなものが解放され、もしかしたらお酒まで強くなったのかもしれない。