【企業分析⑨】キリンビール

今回は飲料企業大手キリンの酒類事業子会社であるキリンビールについて分析をします。

日本国内における少子高齢化が進行し、消費が縮小していくことが予想される中で、どのような戦略で戦っていくのでしょうか?
キリンビール社の中でも主要事業である「ビール事業」にフォーカスして分析・考察を進めていきたいと思います。

【読んで欲しい人】
↓↓のような人向けの情報です!
・対象企業の現状を、サクッとどんな状況なのか知りたい。
・ビジネスモデル・マーケティングの勉強がしたい。
・就活対策のために企業の情報を網羅的に知っておきたい。

【ご注意事項】
・2017年時点での情報をもとに分析、考察しています。
・情報のソースは独自でかき集めており、分析内容には一部主観も含みますので、悪しからずでお願いします。

今回も同様に、以下の流れで分析をしていきます。
■市場環境(PEST分析)※全分析ともに共通
■ビジネスモデル(売上算出式)
■自社・顧客・競合分析(3C分析)
■製品・価格・流通・広告分析(4P分析)
■5F分析
■分析から見える課題
■分析を踏まえた新規施策アイデア

それでは今回も非常に長々と失礼しますが、お付き合いくださいませ!


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▼市場環境(PEST分析)※2017年3月時点・全分析ともに共通
・Politics(政治情勢)
農協の組織改革を柱とする農業改革、労働市場の柔軟化を含む労働改革、増え続ける社会保障費を抑制するための医療・年金・介護改革など、課題は山積みな状態。
米トランプ大統領がTPP脱退を宣言。TPP脱退実現の場合、TPP前提で計画されていた農業改革が遅れ、工業品の輸出が伸びない傾向。
同じく米トランプ政権の指針で、米軍駐留撤退の可能性あり。自国防衛についての議論が活発になる。→実際のトランプ政権の動きは現状不透明なため、影響を大きく受ける可能性あり。

・Economy(経済情勢)
米大統領選後、円安傾向が続いており、輸出企業(主にメーカー)の業績回復が見込まれ、景気は緩やかに良くなる基調。
2020年オリンピックに向けて公共事業・不動産開発はじめ、消費の拡大が続く見込み。
海外からのインバウンド来訪者数・消費額も年々増加傾向あり。

・Society(社会情勢)
2016年の労基関係事件もあり、働き方改革が緩やかに浸透し、企業活動において生産性が問われる。(プレミアムフライデー・週休3日制導入企業も出てきた)
流行モノはマス(TV)とネット(SNS)のセットで生成されるようになる。

・Technology(技術情勢)
AI、IoT、VR、ドローンなど、2016年騒がれた技術を活用した新端末・サービスが続々商品化、一般に普及していく見込み。
IoT、ロボット技術を活用したスマート家電商品も続々リリース、一般に普及見込み。
ビットコイン/ブロックチェーンのような仮想通貨の技術が、他産業にも応用される可能性が出てくる。

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▼ビジネスモデル(売上算出式)
ビール事業全体売上 = (商品単価 × 販売本数)× 取扱銘柄数

・ビール事業は大きく3ジャンルに分類:ビール・発泡酒・新ジャンル(海外含むビール:16銘柄 / 発泡酒:4銘柄 / 発泡酒:4銘柄)
・売上構成比は、おおよそビール38%、発泡酒28%、新ジャンル34% → バランスの良い事業展開
・ビールの中では、海外ビール(バドワイザー・ハイネケン・ギネス)のライセンス生産、輸入事業も展開しているが、ビールカテゴリ内として分析対象とする。

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▼自社・顧客・競合分析(3C分析)
■自社(Company)
【企業理念・事業理念】
・グループ経営理念:キリングループは、自然と人を見つめるものづくりで、「食と健康」の新たなよろこびを広げていきます。
・グループ事業理念(ブランドの約束):「飲みもの」を進化させることで、「みんなの日常」をあたらしくしていく。

【直近業績】
・2015年
グループ全体:売上2兆1,969億(前年比+11億)/ 営業利益1,247億(前年比+102億)
ビール事業(キリンビール):売上7,072億(前年比+85億)/ 営業利益626億(前年比▲38億)

・2016年
・グループ全体:売上2兆750億(前年比▲1,219億)/ 営業利益1,418億(前年比+171億)
・ビール事業(キリンビール):売上6,845億(前年比▲226億)/ 営業利益698億(前年比+72億)

→2015年度から2016年度にかけて、ビール事業含め売上高は減少している。コストカット施策の成果で、グループ全体・ビール事業ともに営業利益は増収している。

【経営資源】
・人:大きな特徴なし(グループ連結の社員数は約40,000人)
・モノ:海外40カ国で展開するグローバルな販売網(競合と比較しても、海外売上比率がNo.1)
・情報:R&D体制では大きな差別化要素が見えず。2014年1月〜横串のデジタルマーケティング室ができて、他社に比べデジタルマーケの知見は多いかも
・その他;物流・調達最適化のため、コカ・コーラ社との業務資本提携を協議中

■顧客(Customer)
【市場】
・ビール類出荷量の推移:2006年 630万kl→2015年 537万kl (12年連続での出荷量減)
・ビール/発泡酒/新ジャンル出荷量構成比の推移:2006年 ビール55.6%、発泡酒25.1%、新ジャンル19.3% → 2015年 ビール50.5%、発泡酒14.5%、新ジャンル35%
→出荷量は減り続けており、3カテゴリで比較すると新ジャンルの台頭が目立っている

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