カブトムシ

好きを極めた人たちとの仕事-『マル秘昆虫手帳』ができるまで②-

前回の記事「マル秘昆虫手帳ができるまで」①の続きです!
7月に刊行した『丸山宗利・じゅえき太郎のマル秘昆虫手帳』の制作の裏側、編集が感じたことをお伝えします!

都会ではぐくまれた昆虫への憧れ

お盆ですね。今朝は静岡の実家で、セミの鳴き声に起こされました。杉山です。
昆虫を専門にする著者のお二人(昆虫学者丸山宗利さん・漫画家じゅえき太郎さん)は、意外にも東京生まれ。
小さい頃は、なかなか虫に出会えないからこそ、昆虫への憧れが大きくなったそう。図鑑を眺めては、まだ見ぬ虫に会える日を夢見ていたそうです。

365日分の虫の記録

今回の本に「365日ぶんの虫のネタをいれましょう!」というアイディアをくれたのは、丸山先生でした。一日ひとネタ、12か月分のカレンダーはこんな感じです。

地域や気候で多少の差はあれど、「さっき本で読んだ虫がいる!」「来月はこんな虫がいるんだ!」と、日常の楽しみが増えるカレンダーになりました。

思った以上に大変だったのが、12月から2月の冬のネタ探し。最終的には丸山先生の友人知人の方々を巻き込み、やっと365日分そろえることができました。カマキリの卵、オツネントンボ、オサムシなど、真冬にも意外と虫はいるんですよね。

毎月のカレンダーのあとに続くのは、一日単位の日記ページ。

欄がいの「豆知識」は、大人にも読みごたえたっぷり。「アリは家族で暮らしていますが、どうやって家族だとわかるのでしょうか。その答えは体表炭化水素という、いわば匂いです。その巣ごとにちがった匂いがある」なんて、身近なアリですら、知らないことばかり。

こんなネタを、丸山先生は無限にすらすらと書いていく…。資料もほとんど見ないので「全部覚えてるんですか?」と尋ねると「子供の頃に図鑑を繰り返し読んでたら覚えちゃったんだよ」とのこと。
…好きの力、おそるべし!!!

「好き」でいつづけること

著者のお二人をはじめ、好きを極めた方と仕事をしていると、「好きなものは好きでいていいんだな」と改めて勇気をもらいます。
「お金になる」「スキルになる」から「やったほうがいいこと」はたくさん思い浮かびます。そうではない「やりたいこと」をしていると、無駄な時間なんじゃないかと、不安になったりもする。

でも、夢中になれるものがあると、人はけっこう強くいられます。色々あっても、好きなことで自己回復できますよね。
「好き」を追いかけていたら、いつのまにか大人になって、いつのまにか仕事になっていた。そんな二人の「おわりに」がステキなので、引用します。

かつて虫が大好きだった大人へ、いま虫が好きで、これからもっと大好きになっていく子どもたちへ。もちろん、いまそんな好きじゃないって人にも、読んでみてほしい本になりました。
小さくて美しい昆虫の世界。一生追いかけても尽きることのないたくさんの驚きが、私たちのすぐ足元に広がっています!



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