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ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

視聴:2023年4月@新宿武蔵野館

空気を収録することに成功しています。

ナイーブが自然と集まる「ぬいサー」(ぬいぐるみサークル)の話。
大学に入学したばかりの垢抜けない学生たちの脆い部分を描く。

映像としての、ぬいぐるみ視点が面白いです。
学生の行動範囲が狭くて、妙なリアリティを感じます。

冒頭は、面白い設定に惹かれます。
しかし、途中から、これどうするの?と不安に。
余計な情報が少ないので、受け止め方を誤解することは無さそうです。
そうすると、この登場人物、あの登場人物はどうしたの?…というところが拾いにくい気がします。

けっこう会話に頼るのは、狙っているのでしょうか。
ちょっともったいない。

なんだか引きこもりがちだったり、陰キャな人物が多いのが好印象です。

画として空気感を収められているのが特徴的です。
部室なり、自宅なり。
人間関係の距離感という方の空気もうまく描かれていて、
とても繊細ものが現れています。

京都の街で撮影しているのに、京都の街に頼らない。
「多少、頼ってもいいんじゃない?」と言いたくなります。
いつも京都に慣れてる人が作っているような玄人感があります。

肝心のお話です。
男女の話、陰キャの居場所の話、垢抜けない学生、オトナ社会の話。
…若い。映画フリークな人や、社会人経験豊富なアナタはイライラするかもしれないレベルて若い。
地方の大学に進学した、陰キャな学生が題材で、誤解を恐れずに言うと「小さな話」ですが、心情には底なしの深さがあるのだということ認識させられました。
雑に生きることを矯正されてきたんだな、と思わされます。
都合の悪いものにはフタをしたり、周りに流されたり。
主人公が地元の旧友とメシに行って、嫌な思いをするところに寄り添えるかがポイントでしょう。
いつまでも、そんな心を持っていられるのか。悩ましく感じました。

▲主演の細田佳央太さん、ステキです。

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