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イチローさん、ありがとうございました!その②「名言だらけの記者会見」

イチロー選手引退を受けて、イチローさんへの感謝を込めたコラムの第2弾をお送りしていきます。
今回は、試合後で疲れていて深夜にも関わらず、約1時間半もの長時間、記者の質疑応答が行われましたが、その中で、やはりイチロー選手は凄いと、特筆すべきことを多々感じたので、その中で感じた感動と、お伝えしたいことをピックアップしてお送りさせていただきます。

特筆すべきイチロー選手の質疑応答

ーー最も印象に残っているシーンは?

「今日を除いてであれば、色んな記録に立ち向かってきたけど、そう言うものは大したものではない。今日の瞬間を体験すると、それはすごく小さいこと。
去年の5月からシーズン最後の日までのあの日々は、ひょっとしたら誰にもできないことかもしれないよういうような、ささやかな誇りを生んだ日々。」

これは、イチローさんにしかわからないことですよね。記録を出すことよりも、ファンに迎えられた最後の瞬間に勝るものはなく、試合に出られない辛い日々の中、その時間に耐え努力を怠らなかった。その日々こそ、誰にではない、自分に負けなかった日々だったのでしょう。記録は、誰かが更新して行くものですが、自分との戦いは、終わることはありません。

ーーイチロー選手が貫いたもの、貫けたものは?

「野球のことを愛したことだと思います。」
「プロ野球選手になることが夢で、それが叶って、3年目にレギュラー定着するまでの時間は、とても楽しかった。レギュラーになってから、力以上の評価をされて、とても苦しかった。そこから、純粋に楽しいなんてことは、やりがいや達成感があっても、楽しいということはなかった。」

なんとも深い言葉ですよね。野球を愛したことが貫いたことで、うまく行ってない時の方が楽しかったと。記録を出し続けて行くことで、周りの期待やプレッシャーは相当のものだったのでしょう。今回の引退会見を見ても、イチローという人本当の姿は、とても優しく不器用で、真面目でサービス精神のある方なんでしょうね。だから、弱音を見せないようにしたり、当初はそういう姿を見せないように、マスコミを遠ざけていたのかもしれないですね。

ーーイチロー選手の生き様で、ファンに伝えられたことは?

「人より頑張ることなんてとてもできない。あくまでも測りは自分の中にある。それで自分なりに測りを使いながら、自分の限界を見ながらちょっと超えて行くということを繰り返して行く。一気に高みに行こうとすると、今の自分の状態をギャップがありすぎて、それを続けられない。進むだけではなく、後退もしながら、あるときは交代しかない時期もある。でもやると決めたことを信じてやって行く。遠回りすることでしか、本当の自分に出会えない。」

これはもう、凄い言葉だと思います。正直言えば、私も同じように考えていますが、そうやって生きてきたイチロー選手が言う言葉の重みは、鳥の羽と鉄の玉くらいの違いがあります。ただ、自分の考えは間違っていないとも思うので、イチローさんのように、言葉の重みを持たせたれるようになりたいものです。

「遠回りすることでしか、本当の自分に出会えない」という言葉はまさに名言だと思いますが、私は「道中を楽しむ」ということを現在のスローガンにしています。この言葉は『HUNTER×HUNTER』に登場する「ジン=フリークス」の言葉ですが、「本当の価値はゴールではなく、ゴールするまでの過程にある。だからこそ、道草を大いに楽しめ!」というようなメッセージがありました。あくまで、ゴールすることは大事なのですが、ゴールまでの道中にこそ価値がある。ゴールまでの道草にこそ、本当の自分に出会える扉があるのかもしれませんね。

ーー最も我慢したことは?

「僕、我慢できない人なんですよ。我慢が苦手で楽なことを重ねているって感じなんですよね。自分にできること、やりたいことを重ねている。」

イチローにして、これを言うか!って感じですよね。やらなきゃいけないことをやるのではなく、自分が楽なこと、やりたいことを重ねて行くことが、イチローという名選手を作ったということは、とても重要なことだと思うんです。これでコラム一本書くべきくらい(笑)ちょっと、イチロー特集やろうかなぁ・・・。

ーープロ野球選手になるという夢を叶えて成功してきて、何を得たか?

「成功かどうかってよくわからないですよね。どこからが成功でそうじゃないかというのは、僕には判断できない。成功という言葉が、だから僕は嫌いなんですけど。メジャー挑戦にしても、成功すると思うからやってみたい、それができないと思うから行かないという判断基準では、後悔を生むだろうなと思います。やりたいならやってみればいい。できると思うからではなく、やりたいと思って挑戦すれば、どんな結果が出ようとも後悔はないと思うんです。」

これも、本当に深い言葉ですね。「全人類、この言葉を刻め!」と思います。今回の会見を見て、私にとっては、自分の考えは間違っていないと確信するものでした。もちろん、誰に言われて決めるものではないですが、この考え方や価値観というものは、物凄く重要なもので、私にとっても一番印象に残った一答だったかもしれません。

深夜に関わらず、一問一問にしっかりと答え、とても素晴らしい方だと実感しました。

答えなかった質問に感じるプロとしてのプライド

今回の会見で、唯一イチロー選手が返答を避けた質問がありました。それは、「自分のバッティング」についてです。歴史上一番ヒットを打ってきたイチロー選手が、最後の2試合は、一度もヒットを打てずに終えてしまいました。打席内での感覚の変化を聞かれた際、「それここでいる?裏で話そう。後で。」と場を濁しました。
きっと、イチロー選手にとって、重要なことだったんだと思います。でも、裏でなら、オフレコでなら話してもいい、という所がイチローさんの優しさだと思いますが、これについてちょっと思うことがあります。

日本で迎えた開幕戦にして、引退試合になったわけで、おそらくファンの方もその可能性を薄っすら感じていたのではないでしょうか。イチロー選手との別れを惜しむように、一打席一球に注目し、打席も守備も、イチロー選手に惜しみない拍手を送ったんだと思います。ただ、プロとして、賞賛されるプレーに拍手を送られることは最もだと思いますが、三振したり、ゴロでアウトになってしまったり、打てなくても歓声が上がるのは、プロとしては屈辱なのではないでしょうか?
もちろん、ファンにとってはどんなイチロー選手の姿でも、見られるだけで嬉しいものではあるでしょう。しかし、プロとしての立場としては、複雑な気持ちだったんではないかなと思うんです。プロとして納得できない姿を晒し、しかも賞賛される。これ以上の屈辱はないのではないでしょうか?

よく、一発屋芸人が一世風靡したギャグを披露して、笑いではなく拍手が送られることがありますが、芸としてはそうなったら終わりと言われています。何か、そういう所に通じるものがあるのかもしれません(笑)イチロー選手もすでに引退を決めていたので、それは受け入れていたとは思うんですが、記者の質問に対し答えなかったことは、こういうことに通じるのではないかと思うんです。きっとそれが、イチロー選手のプロとしてのプライドだったんじゃないかなと感じます。

最後に

28年間、本当に日本だけでなく世界に夢や感動を与えてくれたイチロー選手に、感謝の気持ちとお疲れ様を伝えたいと思います。ただ、イチロー選手は、本人も言っていますが、夢や感動を与える為に野球をやっていたのではなかったと思います。後半は、そういう気持ちも出てきたそうですが、あくまで、自分がやりたくて、楽なこと、できることをやり続けた結果が偉業になり、その姿が私たちを感動させました。イチローのようになりたい!というのも立派ですが、本当にそうなりたいなら、イチロー選手の姿勢こそを見習うべきかもしれませんね。

イチロー選手への感謝は尽きませんが、イチロー選手の野球人生からも、今回の会見からも、ここでは伝えきれなかったことの方が圧倒的に多いですが、間違いなく後世に残る偉人だと思います。生きているうちに、イチローに会えたことは幸せなことです。今度は、少しでもイチローを感動させられるような人生を送りたいなと、ささやかに思うものです。

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