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作業療法士が考える自閉症療育で大切な事 「ジェネラリストモデル」

専門家(ライセンス)というアイデンティティを持つと、何か特定領域の専門性を持ちたくなるものです。「自分の売りは何のか」というように。作業療法士であれば、感覚や運動に関する領域かもしれません。

しかし、自閉症というのは、その特性が様々な生活場面へ影響を及ぼします。クライアント・家族・支援者の困りごとは、コミュニケーションであったり、時間感覚であったり、見通しを持つことであったり、対人行動であったり、行動問題であったり、と様々です。

恩師に教えてもらっている時に、「専門家が一番やりにくい」と言われたことがありました。はじめはその意味が分かりませんでしたが、自閉症支援を学んでいくことで、だんだんとその意味がわかってきました。

自閉症を理解し、自閉症のあらゆる問題に対して支援できることを目指す。そのために、自分が持っている専門性というのが足かせになることがあります。

というのは、専門性を持とうとする場合、ある理論をもとに学びはじめると思います。作業療法士だと感覚統合理論から入ることが多いかもしれません。

その理論の専門性を高めようとする過程で、効果が示されている別の理論を知り、取り入れることに対して、心理的抵抗が生じることがあります。「自分の専門とは違う、相容れない」と考えてしまいます。

~理論の専門家になりたいのであれば、それでよいと思いますが、自閉症支援をするのであれば、「ジェネラリスト」を目指すことが大切ではないかと思います。遊びも、コミュニケーションも、ADLも、作業も、余暇も、生活スキルも、対人行動も、問題行動も、すべて対応することができる。

なぜなら、どれか1つの領域だけで自閉症者の生活が成り立っているわけではないからです。仮に、各領域の専門家がそろっている状況であっても、いろいろな領域の専門家が同時に関わりすぎると、あれこれ言われて、今、優先すべきことはなんなのかがわからなくなります。全体をマネージメントするためには各領域を精通しているジェネラリストが必要になります。

当事者や親、関わる支援者は、専門家が何の理論の専門家かというのは正直どうでもいいことかもしれません。悩みを解決に導いてくれる助言や、一緒に伴走してくれる人を必要としているのだと思います。

~療法士や~理論の専門家という看板をもっていることが、専門領域へのこだわりを生んでしまうのかもしれません。だから、「専門家は一番やりにくい」とおっしゃられたのかと。

恩師はさらに、「常に学び続ける事が大切、だって、医者は新しい良い薬が出たら使うだろ。自閉症支援も同じだよ。でも、「人が人を育てる」、だから、~法にに縛られないように気を付ける事」と教えてくれました。



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