Tobita 作業療法 最強発達OT への道

はじめまして。最強の発達障害支援者を目指す作業療法士です。公認心理師/臨床発達心理士/…

Tobita 作業療法 最強発達OT への道

はじめまして。最強の発達障害支援者を目指す作業療法士です。公認心理師/臨床発達心理士/感覚統合療法認定セラピスト。臨床経験18年。 臨床経験や学んできた事、学んでいく事を発信していきます。発達に関わる支援者や作業療法士のスキルアップに役立てたら嬉しいです。イラスト:tobita

最近の記事

作業療法士が考える自閉症療育で大切な事 「僕は興味がある事に熱中する」

自閉症に限らず、子どもの療育をするとき、まずやるべきことは、その子が何に興味を持っているのかを見つける事だと思います。 療育が上手くいくかどうかは、子どもの興味関心を知っていて、それらをプログラムに取り入れているかが左右すると言ってもいいかもしれません。 そもそも、子どもが興味をもって取り組んでいる状態の時に、何かに取り組んだり、学んだり、身に着けていくことができると思います。 成人のリハビリと少し事のなるのがここかもしれません。成人の場合、なぜそのプログラムを実施する

    • 作業療法士が考える自閉症療育で大切な事 「個別性の原理」

      「1人の自閉症を知っているという事は、1人の自閉症しか知らないという事」 これはTEACCHの中で言われていることで、自閉症支援における個別性の重要性を表していると思います。 自閉症支援は、診断基準をもとに、特徴的な発達特性が「共通して」みられる人達に、特性に応じた支援やサービスを提供していきます。 共通してられる特徴にたいしては、これまで様々な支援方略が蓄積されているので、それらを学んで支援に生かしていくと良いと思います。視覚支援、環境を整理する支援、感覚の困難に対す

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      • 作業療法士が考える自閉症療育で大切な事 「見えればもっとわかりやすいのに」

        無発話の自閉症のお子さんに、はじめて写真カードを使った時のことを今でもはっきりと覚えています。本当に衝撃でした。 いつも療育の時に、クーゲルバーンの玩具に向かっていき、取って遊ぼうとしていました。「あとでね、これやってから遊ぼうね」と何度も伝えましたが、寝転がって怒り出してしまいます。 激しい癇癪に僕も折れて、クーゲルバーンを渡していました。 どうして我慢ができないのか、こちらが言っていることはわかっていると思うんだけど…。 その頃、PECSやTEACCHの研修を受け始

        • 作業療法士が考える自閉症療育で大切な事 「ジェネラリストモデル」

          専門家(ライセンス)というアイデンティティを持つと、何か特定領域の専門性を持ちたくなるものです。「自分の売りは何のか」というように。作業療法士であれば、感覚や運動に関する領域かもしれません。 しかし、自閉症というのは、その特性が様々な生活場面へ影響を及ぼします。クライアント・家族・支援者の困りごとは、コミュニケーションであったり、時間感覚であったり、見通しを持つことであったり、対人行動であったり、行動問題であったり、と様々です。 恩師に教えてもらっている時に、「専門家が一

        作業療法士が考える自閉症療育で大切な事 「僕は興味がある事に熱中する」

          作業療法士が考える自閉症療育で大切な事 「対立的でない交流スタイル」

          自閉症の特徴に、相手の意図理解の難しさやコミュニケーションの困難さがあります。ですが、自閉症の方は相手の情緒的な様子について驚くほど敏感に察知されていると思います。こちらがイライラしたり、嫌悪的な反応、対立的な態度をすぐに見破り、活動やかかわりに乗ってきてくれなくなります。 一度嫌わせると、その後なかなか相手にしてもらえません。 環境と感情を強固に記憶するからかもしれません。 逆に、はじめに好印象を持ってくれると、そのあとは協力的に乗ってきてくれたり、楽しみにしてくれます。

          作業療法士が考える自閉症療育で大切な事 「対立的でない交流スタイル」

          作業療法士が考える自閉症療育で大切なこと 「長期一貫性」

          僕はこれまで、自閉症の方の支援について興味をもって取り組んできました。特に、表出言語の少ないカナータイプと臨床的に言われる方に惹かれてきました。 乳児期、幼児期、学齢期、思春期、成人期と一人のお子さんが、大人になるまでの様子もたくさん見させていただきました。 また、ライフステージごとの、様々な施設と関わらせていただきました。 特に成人施設にコンサルテーション的に関わらせてもらっている事は、子どもの支援をする上で重要な経験となっています。 自閉症療育を考える上で、その療育の

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          子どもが「やらない」ときに作業療法士が考える事。

          作業療法士(OT)は様々な活動(作業)を通して子どもに関わっていきます。活動と子どもをフィットさせる専門家と言っても良いかもしれません。 では、活動と子どもをフィットさせるOTは、 子どもが「やらない」ときに、 その理由をどう考えているでしょうか? ・わからない? ・できない?  ・おもしろくない? ほとんどの場合、このどれか、もしくは複数です。 同時に次の事を探していきます。 その子は、 どういう提示だとわかる? どこができている? どんな事がおもしろいと感じる?

          子どもが「やらない」ときに作業療法士が考える事。

          自閉症療育の基本姿勢 3「あ」主義

          恩師の児童精神科医から教えてもらった言葉を紹介します。 ASD療育で基本的な姿勢 3「あ」主義 「あせらず、あわてず、あきらめず」 僕がまだ駆け出しのOTだった頃、ASDを治すには、どんな手技が最も有効なのかという論争がまだあった時代でした。 そんな時、自閉症療育というのは、「工夫された子育て」「工夫された教育」とおっしゃっていました。 そもそも「発達」Developという言葉は、つぼみがゆっくり皮がむけながら花が咲くような、そういうイメージだそうで、急に何かしたから大

          自閉症療育の基本姿勢 3「あ」主義

          発達障害の感覚による困り感~評価編~

          発達障害(特にASD)の中には感覚特性によって困っている人が、かなりの割合でいる事が分かってきており、感覚特性への配慮の必要性などが少しずつ注目されてきています。でも、実際どんな配慮は支援ができるのか、わからないという方多いのではないかと思います。 感覚特性への支援はまず「知る」ところからはじまります。 この記事では、発達障害の中で特にASD(自閉スペクトラム症)の感覚特性の評価について説明していきます。ASDの感覚特性について知ることができ、支援者であれば、感覚特性の評価の

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          発達障害の感覚による困り感~評価編~

          ASD と ADHD は「すき間障害」?

          以前、「1人遊びは重要なスキル」のなかで、ASDは「何もしない」という事が彼らにとって苦痛になると書きました。 それらの神経学的な根拠が「デフォルトモードネットワーク」です。 どうやら、定型発達の人は「ぼーっとする時」に使うネットワークがあるようです。 例えば、 「これから食事の時間です。食事の準備をしましょう」といった場合、 食事の準備をするという目的的行動になります。 これが、 「15分後に食事の準備をはじめましょう」となると、15分間目的のない時間が生じます。 こ

          ASD と ADHD は「すき間障害」?

          先手指導

          ショッピングモールで、走り回り、お菓子を手に取ってその場で食べ始めてしまう。袋を開けてしまう。何度も叱って理解してもらおうとするが、全然伝わらない。毎週のようにも同じパターンをを繰り返している。 その場で何とか言って聞かせようと思うのですが。。。 ASDを教育する療育というのは、先手指導・計画的指導が基本です。 ショッピングモールはまだ早いです。「ショッピングモールで買いたい物を買って、親の買い物にも付き合う」というスキルを身に着けるためにどういうどういうステップで何カ月

          「~しない」は目標にならない

          療育や支援の相談で「~しないように教えたいんです」と聞かれることがあります。一通り困っている事を聞いて後に、「じゃあ、どうしてほしいですか?」と聞き返します。 これは、言い負かそうとか、論破しようとしているわけではありません。 「~しない」というのは行動ではないので教える事が難しいから、指導目標にならないのです。??? 指導目標を立てる時は「行動」にする必要があります。 「行動」って何かというと2つポイントがあります。 1つ目は、死人にはできないこと 2つ目は、具体的で

          「~しない」は目標にならない

          「ひとり遊び」は重要なスキル

          ASDの重要な適応スキルに「安全に行える1人遊び」があります。 ASDにおける行動問題が起きやすい場面はどんな状況でしょうか? 1つは「すき間時間」です。 なぜでしょうか? 暇つぶしが上手くないからです。 よく1人で遊ばせているのは良くないのでは。という声を聞くことがあります。人との関わり方を自分で学ぶのが苦手なASDの方に対しては、そのルールや枠組みを見せる支援は必要です。 しかし、生活は、常に誰かとコミュニケーションや、対人的な関りをしている時間ではないと思います

          「ひとり遊び」は重要なスキル

          「こだわり」と戦う事は愚か。

          ASDは反復的で常同的な行動、いわゆる「こだわり行動」がみられる。 ASD支援の現場では、この「こだわり行動」なくそうと、真っ向から戦ってしまう支援者がいる。やめたほうがいい。勝ち目がない。 さらに「こだわり行動」はピーク時は強迫行動か見分けがつかなくなるほど止める事ができない状態になる。特にピーク時は行動を変えようとしても無理である。お互い疲弊しきるのは目に見えている。 それと、こだわり行動と戦っている場合、大抵こだわっているのは支援者側である。なので、支援目標から外す

          「こだわり」と戦う事は愚か。

          集団主義とASD

          みなさんご存じのように、日本の教育は、幼児期から集団教育が基本である。時々、「集団にうまく適応できない」という主訴で支援に伺う事がある。以前は何とか集団に入れるようにという事を考えていた。 自分も集団教育を受けて育ち、それが当たり前だと思っていたし、教育とはそういうものだと、疑問を持つことはなかった。 集団教育場面では、スキルとして、一斉指示で動くことができる事や、他者をみて、意図を予測しながら、他者と合わせる事が必要となる。さらに、動機付け(集団で行動したいなと思う事)と

          マイナスな事を減らそうとしても無駄である。

          あるASDの人を恩師に事例検討してもらっていた。 僕は困った行動(いわゆる問題行動)について説明をしていた。 しかし、恩師は全く聞いている様子がない。 ひとしきり困った行動の説明が終わると、 「そんな事はどうでもいいから、この人他にいろんな事できそうだよね」 とあっさり返された。びっくりした。 どうしてなのか聞いてみたら、返ってきた言葉である。 「マイナスな事を減らそうとしても無駄である。1つでもいいから良い事を褒めて増やしてごらん。問題は一つ減るから」 それがどういう

          マイナスな事を減らそうとしても無駄である。