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好きな古典落語2位~1位

2022 11/20(日)
 
どうやら俺は、古典落語を聴いているイメージがないらしい。
でも聴くのは殆ど、古典落語である。
マニアというほどではないが、ごく普通の落語好きだ。
そんな俺が好きな古典落語とその演じ手ベスト5を前回から書いている。
5位~3位を未読の方は、是非、遡ってお読み頂けたら嬉しいです。
勿論、今回から読んでも何の問題もありません。
それでは、第2位からの発表です。
第2位はチャカチャンチャンチャン~♪
「芝浜」立川談志
談志師匠の「芝浜」にはいくつかバージョンがある。
若い頃の芝浜、中年の頃の芝浜、晩年の芝浜。
どれも傑作なのは間違いないが、一番好きな時代を選ぶなら、若い頃の芝浜、が好きだ。
談志師匠の語りが早く、人情噺特有の泣かせるような芝居もなく、ただ、淡々とその世界を表現している。
談志師匠の芸の特徴である憑依的な部分も殆ど見られず物足りなさもあるが、その分、客観的に芝浜という名作を伝えている印象があり、物語の魅力が飛び込んで来る。
ある意味、立川談志という存在を消しているかのような若い頃の芝浜は、恐らく、談志師匠本人から言わせると、芸が未熟だねぇ、と見えるかもしれないが、聴き手にとっては非常に分かりやすい高座になっている。
談志師匠に関しては沢山沢山、書きたいことがある。
本人にもお会いして、楽屋で二人きりになって喋った時は、おしっこちびるかと思いました。また改めて、談志師匠の思い出、書きます。
ではでは、いよいよ1位の発表です。
第1位はチャカチャンチャンチャン~♪
「居残り佐平次」古今亭志ん朝
志ん朝師匠が亡くなった時、もう落語は聴きたくない、という人までいたようだ。それぐらい名人だった。
よく、同時代なので、志ん朝と談志を比較されることがある。
どちらが凄いか。どんなジャンルでもよくある不毛な議論だ。
二人とも凄いのだ。
今回、1位に古今亭志ん朝「居残り佐平次」を選んだ理由は、古今東西、あらゆる古典落語の中で、最もその世界にトリップしてしまったからである。
俺は28歳の時に初めて落語にハマったのだが、この演目のことは映画で知っていた。「幕末太陽傳」である。
日本映画史上に残る喜劇の傑作として認知されるこの作品は、古典落語の居残り佐平次をベースにしている。
佐平次を演じる、フランキー堺が最高に可笑しくて悪い奴なのだ。
映画の作中には、その他「品川心中」や「お見立て」など古典落語のシーンがいくつか出てくる。
俺がこれを観たのは高校生くらいの時で、落語をモチーフにしているのを知って観ていた為か、あまり楽しめなかった。
当時は、落語=おじいさんが一人で喋る、笑い所の少ない芸と思っていて、全く、落語の面白さが理解できなかった時期だった。
そんな俺が28歳で魅力に気づき、ツタヤでレンタルした古今亭志ん朝のCDで「居残り佐平次」の題名を観た時、楽しめなかった「幕末太陽傳」を思い出した。だが、聴き始めた瞬間から、そんなことは杞憂だった。
志ん朝師匠が語る遊郭の景色が目の前に一気に広がった。
「幅のしろい(広い)梯子をとんとんとんとん~と登って行く時というのは誠にいい心持ちだそうですな」
俺の前には行ったこともないのに、江戸時代の遊郭の二階への階段がはっきりと見え、とんとんとんとん~と登っていった。
おお、ここが江戸の遊郭か、いい所じゃないか。
聴く度に、タイムスリップ出来る。
さらに、この演目を最大限に楽しむ方法は、電気を消して、寝ながらイヤホンで聴くことだ。そのまま、夢で遊郭の続きに行ってしまう。
以上、好きな古典落語ベスト5を二回に分けて書きました。
ちなみに、第6位は「黄金餅」立川談志でした。
あと、もうひとつ、落語が好きになってから再度鑑賞した「幕末太陽傳」はめちゃんこ面白かったです。
今度は、好きな喜劇ベスト5を書こうかな。
 
 
 
 

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