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カズト・コバヤシ ドラマ・映画レビュー

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古い映画とドラマなどのレビューです。
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記事一覧

エッセイストを育てる家 四話 ドラマ「父の詫び状」レビュー(続) 向田邦子

 なお、主人公である恭子本人はまだ若い女優さんが演じており、隣家に住む若い男性への淡い恋…

エッセイストを育てる家 三話 ドラマ「父の詫び状」レビュー 向田邦子

 続いて向田邦子原作のドラマ「父の詫び状」を取り上げたい。図らずしも、向田邦子は幸田文の…

エッセイストを育てる家 二話 ドラマ「小石川の家」レビュー(続) 幸田文・青木玉…

 ドラマを観たあとで、原作のエッセイも読んでみた。  幸田文の「父・こんなこと」は、父の…

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エッセイストを育てる家 一話 ドラマ「小石川の家」レビュー 幸田文・青木玉・久世…

 昭和、特に戦前には名エッセイストを育てる家があった。それはどのような家(建物と家族そし…

映画「サンセット大通り/ビリー・ワイルダー」レビュー ー 怪談の生まれるところと監…

ここで監禁を契機とする執筆をモチーフととらえると、それぞれに事情があって収監された者が…

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映画「サンセット大通り/ビリー・ワイルダー」レビュー ー 怪談の生まれるところと監…

さて、思いがけない状況に巻き込まれた主人公であるが、脚本の修正の作業はそれなりに充実し…

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ドラマ「響子」向田邦子・久世光彦 レビュー ―石の眠りを覚ます鑿の響き―

 向田邦子原作のテレビドラマ「響子」は石材屋の家業を下支えする主人公の響子とその家族・従業員との交流を昭和の色彩も彩り濃く描いている。ドラマの場面設定と登場人物の心情を抑制したトーンで丁寧に表現した佳作である。  ドラマの底流にあるのは、石と石を穿つ鑿(のみ)という対になるモノである。石は何十億年もの時間の間に結晶と化した元素の集まり。鑿はそれを意の形へと変幻させる工具である。それぞれに特殊な力が宿っている。石には2つの力がある。1つには自然を鎮め、祖霊を鎮魂し、社会の秩

映画「自転車泥棒」レビュー 失われた円環あるいは父の教訓 1話

 いつだったか、少なくとも随分昔であるが、淀川長治さんが、テレビのこの映画のロードショー…

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映画「自転車泥棒」レビュー 失われた円環あるいは父の教訓 2話

「自転車泥棒」はリアリズムの映画なので、難解な映画に頻出する象徴やシンボルだけの謎めい…

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映画「自転車泥棒」レビュー 失われた円環あるいは父の教訓 3話

 ここまで自説を展開したところで、重要なテーマを書き漏らさないよう話を進めたい。映画には…

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映画「サンセット大通り/ビリー・ワイルダー」レビュー ー 怪談の生まれるところと監…

 評論家の種村季弘氏は、ビリー・ワイルダーの映画を「気分の好い、ある晴れた日に、ヨーハン…

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