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【覚書】フレッド・M・ウィルコックス監督『家路』(Lassie Come Home, 1943)

 後にTV化もされる「ラッシーもの」の第一作で、映画史上、「明確に子供を念頭に置いて制作された初めての犬の映画」(S. Orlean)である。あたかも人間の意図を理解し、あたかも人間のように「自然に」振る舞うコリー犬が、あべこべに観客の感情的反応を呼び込み制御する(J. Burt)。
 ラッシー映画がそうであるように、殆んどの動物映画は、その最初期(1905年頃)から「全てを知っている動物が(人間の)家族の喪失を癒す」というテーマを有している。その時、人間と言葉を解さない動物との間で相互理解が可能である様に見せるのは両者の「眼」を交互に提示するその作法だ(同前)。

出典:Jonathan Burt, Animals in Film, Reaktion Books, 2002/スーザン・オーリアン 『リンチンチン物語―映画スターになった犬』、早川書房、2012年。

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