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”令和の米騒動”が明らかにした人材育成の失敗「あるある」。

「令和の米騒動」をみなさん、ご存知ですか。

知らない人のために「令和の米騒動」とは何かをお話ししていこうと思います。

これは夕刊フジの山戸記者が報じた、 中日ドラゴンズでの騒動です。

プロ野球選手が ナイターなどの試合前にご飯を食べるんです。ケータリングのサービスなどがあるんですけど、それが中日ドラゴンズで 米を食べることが禁止になって 食堂から炊飯器が消えたということがありました。

きっかけは細川選手と言って、今年現役ドラフトで横浜から加入した選手が 今年中軸として活躍したんですけど、夏場になって成績が落ちたんですよね。 よくご飯を食べる選手らしくて、彼が米を食べるのを禁止したところ、細川選手の調子が悪かったところから改善されたんですよ。 よくなってきたんですよ。

これを見た中日の立浪和義監督が「 なるほど、そういうことかと」いうことで全員を米禁止したんです。 細川選手が米をやめたところに成績が改善したから、だから チームが連敗中だったんで、チームみんなが米食うなということで 、米を食べれない状態になったんですよね。

当然、反対意見は出ますよね。ピッチャーのライデル・マルチネスって外国人がいるんですけども 彼が大激怒して異議を申し上げたところ、ピッチャーだけは食べていいということになったんです。

しかし、野手は食べてはいけないということが継続された。 これが「令和の米騒動」の一部始終なんです。

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体が資本であるプロ野球選手が食べたいものを食べられないとっていうのは体力を使う選手には一番必要なものが食べられないということ。もちろん、試合前に食べるべきかの栄養学的な議論はありますが、食べたいものが食べれないのは、 非常に苦しいし、食べ物の恨みってめちゃくちゃでかいです。

モチベーションという意味ではすごく影響があって、 選手たちにはすごくきつかったんじゃないかなと思うんですよね。 その後のニュースでも、いろいろ語論されていますが、 まずこのニュースの深層にあるものを僕は考えていきたいと思います。

僕はこのニュースを見た時に、野球界とか日本の人材育成にありがちかだなって思ったんですね。

というのも、今回、細川選手の調子が悪くなって ご飯が原因じゃないかと思ってご飯をやめさせました。 成績が上がりましたっていうのが本当にご飯が原因なのかどうかって分からないんですけど、でも一つ、細川選手に関しては意味があったのかもしれないです。

彼に関してはそのご飯をやめたことがパフォーマンスを上げたっていうのはひょっとしたら意味のあったことなのかなとは思うんですよね。 これが日本によくありがちだなって思うは、「たった 一人」の人材育成論とか育成手法がうまくいくと、それを全員に当てはめようとするんですけど、 これはね、僕、間違いだと思うんですよね。

成功事例は大事なことなんですけど、たったひとつの成功事例をそれが正解だとしてしまって 全員に当てはめてしまうってやりがちですけど、すごく危険。選手それぞれ、体も人間性も違ってパフォーマンスの仕方も異なるのに、同じことをすれば同じように上手くいくって、これ勘違いなんですよ。

野球の取材してるとある指導者がこんなことを言ってくるんです 。
「氏原さん、こいつ全然うまくなんないんですよ」
 
で、「どんな練習してるんですか?」と聞くと「何年前からのエースはこも練習で成長したのにね こいつ全然ダメなんですよ」とか言うんです。 それって結局 何年前かのエースにはその練習は合ってたのかもしれない。合っていたからその選手は伸びたんだけれども 、今のこの選手にその練習をやっても伸びないとからと言って「こいつ全然ダメなんですよ」と言ってしまうのは違うと思うんですよね。

要するに前の選手にとって良かった練習が今の選手にとって良くなかったときに それを変えないのが本人の意思だって決めてしまうのは 育成の間違いであると思う。 それはその選手にとって合ってないのかもしれないじゃないですか。こういうケース、結構多いんですよ。

「前のチームはこれで良くなったからこれをやり続けるんだ」とかいう人が多い。 一回やってみることは絶対良いことだと思うんですよ。 前のチームでやったことが良かったからじゃあやってみようと思ってやる。けど、うまくいかなかったときにこのチームにはこの練習が合ってないんだなって 思わないといけないんですよ。 この選手にはこのスタイル合ってないんだなと。

右利き左利きとか癖とかいろいろそれぞれ選手には特徴があって 違うわけじゃないですか。 同じ右投げ右打ちでも 実は本質は左利きだったっていう選手もいるわけで いろんなパターンの選手がいる中で、 それを同じような育成論とか同じような方法論をやり続けて成果が出た場合はそれはいいのかなと思うんですけど、成果が出なかったときにそこを変えないっていうのは 良くないんですよね。

「絶対これが正解だ」にしてしまうんじゃなくて 「その選手にとっては正解だ」にしなきゃいけないんですよ。 これがよく日本でありがちな「人材育成」とかね「方法論」だと思うんですよ。

もちろんね意思が弱くて頑張らないっていうこともなくはないですよ。 同じ練習方法やってても選手が意図を感じてないなどが理由でうまくいかないことはあります。

一方でやっぱりそれはこの選手に合ってないんじゃないのっていいうこともちゃんと見極めないといけないんすよ。右利きでも右投げ右打ちでも 右足を使うのが上手な選手もいれば 左足を使う選手も上手な選手がいる。そんな選手に右投げ右打ちは体の重心を右に置くべきだと決めつけて教えても 上手くいかないんですよ。それぞれ違うんだから その選手の特徴っていうのを見極めていかないといけないんです

だから、細川選手はひょっとしたらですよ、体質で太りやすかったのかもしれない 。太りやすくて何かトレーニングをサボっていたのかもしれない。体が鈍って スイングスピードが鈍ってたのかもしれない。そこでお米禁止をやったことによってトレーニング不足だった部分から食べ過ぎにならなかったってい繋がっていたことあマッチしたのかもしれない。

でも他の選手はちゃんとトレーニングやってて ご飯食べてもしっかり絞れてて しっかりと適正体重を保ている。にもかかわらず、連敗肘だから選手全員のお米を禁止してしまったら、今度は逆に疲労だけが溜まるというか 今度それが連敗になるとかね そういうことになるんですよ。

選手はそれぞれ違うということを まず認識しなければいけないんですよね これが本当に日本は 多いと思います。

みんなが知っておかないといけないのは「成功法則なんて無数にある」っていうことです。「 失敗があるある」なんです。失敗はパターン化されていて、 こういうことをしたら失敗する。 言われた通りやらない人は絶対失敗するとか そういうことなんですよね 。

成功は「たくさん」。失敗は「定される」という真理を ちゃんと理解して 人材育成とかそういう方法論を理解しないといけない。

実際 米騒動で米禁止になって 中日が強くなったかって言ったら強くなってないし そもそも論で言えば、 中日が最下位を独走していますけど、その原因は何なんだって言った時に もっと違うところの根本にあるわけで、 そこを解決せずに部分だけ変えても何も変わらないと思います。

チームは強くならないのに 1個の成功を100にしてしまうような人材育成論を語っていたら絶対うまくいかないと思います 。

今回は令和の米騒動が話題ですけど、 こういう人材育成の失敗は日本でありがちなので、野球指導者やいろんなリーダーやられてる方いらっしゃると思いますけど 改めて再確認してもらえたらなと思います。

※本原稿は音声を文字起こしして修正したものです。
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