Netflix、始めました。

お寿司は白身魚から食べるように、Netflixを始めたのなら、まずは『ROMA』から見るのがよいでしょう。つまり、人それぞれです。

『ROMA』は、宇宙映画の金字塔『GRAVITY / ゼロ・グラビティ』を手掛けたアルフォンソ・キュアロン監督による自伝的映画であり、2018年に金獅子賞（ヴェネチア）を獲った映画です。メキシコのコロニアローマ地区で育った監督自身の記憶から紡がれた、とてもパーソナルな作品です。有名キャストが出演していないにもかかわらず高い評価を受け、Netflix配給映画界にも金字塔を建ててしまいました。

『ROMA』の素晴らしさは、型にはまらない物語構成と美しいモノクロ映像にあると思います。メイキングドキュメンタリー『Road to ROMA』を見ると、撮影時のカラー映像も見ることができるのですが、モノクロのほうが美しく見えるのが不思議です。また、監督がとにかく映像にこだわって製作したことがわかります。Netflix映画だと思って舐めてはいけません。まさに「ROMAは一日にして成らず」です。

アカデミー賞授賞式において、ポン・ジュノ監督がマーティン・スコセッシ監督の「最もパーソナルなものが、最もクリエイティブだ」といった台詞を引用していました。正直その時はピンと来ませんでしたが、この映画を見てほんの少し理解できた気がします。『宇宙からの脱出』や『大進撃』を映画館で鑑賞するシーンがあるのですが、この経験が監督の人生に大きな影響を与えたのは間違いなさそうです。まさに「全ての道はROMAに通ず」です。

外出自粛ムード高まるこの頃ですが、Netflixの『ROMA』でチルする休日も悪くない、とアン王女も思うはずです。