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たったいちどで、元気になれなくたっていい。


数か月ぶりに、「一人の時間」をとっている。


この「一人の時間」とは、家で子どもが寝ている隙にリビングでコーヒーを飲むような1時間程度の「隙間時間」のことではない。
ひとりで家から出て、行きたいところに向かい、時間を気にせずにやりたいことをする時間のことである。

子どもたちのことも、家事も、夫に任せてきた。
今日は、いつまでもひとり、「自由」なのだ。


先週、体調不良のせいもあってか、とうとう限界に限界がきたようで。
わたしは「大爆発」をしてしまった。

負の感情に飲み込まれ、涙が止まらず、喚きのような唸り声のようなものを口から吐き出しながら、のたうちまわった。
幸い、子どもが眠ったあとだったので、夫がずっとそばにいてくれた。
ずっと我慢してきたものが、あふれてあふれて止まらなかった。


わたしは、自分を「殺していた」なあとおもう。
爆発中、自分の言いたいことが口からうまく出てこなくて、何度も胸につっかえて、歯を噛みしめて砕いて呻いた。

今もそうだ。
本日「ひとりの時間」は、お気に入りのカフェからスタートしている。
コーヒーとシナモンロールを食べて、手書きのノートを書いて、心が落ち着いてくるのを待っていると、1時間くらいたった頃から、ようやく自分の心にベクトルが向いてきた。

そうまでしないと、自分の心の声が聞こえてこないのだ。やりたいこと、考えたいことがぜんぜんわいてこない。

ふだん、あまりにも自分の思いも願いも「殺していた」せいで、自分にそんな感情があったことすら忘れてしまうのだ。
自分を蔑ろにしすぎると、「自分は死んでしまう」ようだ。


自分を殺してまで生きる意味ってなんなんだ、と思う。
自分では、「まだいける」「そうするしかない」と思って、知らないうちに小さな我慢を重ねていた。
そのせいで、取り返しのつかないところまで達してしまって、爆発した。

そうなる前に、言わなきゃいけないのだ。
「たすけて」とか、「もう限界」とか。
そういう言葉は苦手なので、夫にすらうまくそれが言えないけど。
言えば夫は、必ず味方になってくれるのだ。

今日だって、爆発したとき夫に話を聞いてもらったおかげで「もうだいじょうぶ」と言いそうになった。
でも夫は、そうさせなかった。
すぐにわたしを3日間の自由をくれて、「どこかに泊まりに行ってもいい」とまで言ってくれた。
さすがにそれはやめておいたが、そう言ってくれたことがうれしかった。


もっと、「たすけて」を小まめに出そう。
もっと、自分に素直になろう。
自分のことを殺さずに、自分を支えて生きていこう。

思うのは簡単だが、実行するのは難しい。
でも、今回の爆発は大きな反省ときっかけを与えてくれた。



「ひとりの時間」をとることについて、毎回不安になることがある。
それは、「この時間にちゃんと元気にならなきゃ」というプレッシャーだ。

夫や子どもたちにも我慢をさせてまで、わたしは一人になっている。
そんな貴重な時間をもらったからには、ちゃんとリフレッシュして元気にならなきゃ。
パワーを貯めなきゃ。
もったいない過ごし方をしちゃだめだ。
やりたいことは、ぜんぶやりきらなきゃ。

そんなふうに考えずにはいられない。
でも、そんなことを考えて過ごすと、だいたいその時間はうまくいかない。

「ひとりの時間」がうまく過ごせないと、後悔が大きい。
「こんなことなら、ひとりの時間なんてもらうんじゃなかったな」とまで思う。
そうやって、ますますひとりになりづらくなる。


でも、よく考えてみる。
数か月の疲れを癒すのに、たった1日の数時間で足りるわけない。
たったいちどの「ひとりの時間」で、心も体も全快するわけがない。

だから、「ひとりの時間」を過ごすとき、期待をあげすぎてはいけないのだ。
一回の「ひとり時間」くらいで、わたしは全回復なんてしない。


わたしは古い人間なので、今のポケモンのことは分からないが、昔ながらのポケモンのHPゲージのイメージがわいてくる。

満タンのときは、緑色のゲージ。
わたしの場合、育児や家事のストレスで、徐々にHPが削られて黄色になり、やがて瀕死の赤色になる。
そういうとき、「ひとりの時間」という回復薬で、HPを回復する。

ポケモンなら一回で全部回復する「げんきのかけら」(だったっけ?)もあるのかもしれないが、人間の世界、少なくともわたしには、そんな都合の良いものはない。

一回の「ひとりの時間」で回復するのは微々たるものだ。
HPゲージの赤色が、黄色になれば万々歳。
それでも、何度も何度も、「ひとりの時間」で、じわりじわりと回復する。
その間も攻撃(=ストレス)は続くけど、それに勝る回復ができたとき、わたしのHPは緑に戻る。
そうすればまた、元気に働ける。


だから、今日の「ひとり時間」も、無理に元気になる必要はないのだ。
帰ってからも、まだ動けないままかもしれない。
それでもいい。

そう思いながら、満喫する。
その方が、たくさん回復するのだ。
心もからだも、元気になれるのだ。



今日はこれから、お買い物をして、温泉にでも行こうとおもっている。
ほんとうは、映画でも観ようとおもっていたけど、最寄りの映画館は遠いのだ。
海でも見ようか、それともアートかな。

実現するのは難しいけど、「ひとり」になったおかげで、やりたいことがわいてきている。
忘れないよう、ノートに書き留める。


わたしは、わたしを「殺さない」。
そして、もしHPが限りなく0に近いなら、無理に元気になる必要もない。

そのことを胸に留めながら、今日の「ひとり」を思う存分、謳歌しよう。


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