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腸内細菌と私 第5章 微量元素と善玉菌で元気なおなか



微量元素と善玉菌で元気なおなかをつくろう

おなかづくりのサポーター


人はおなかの中に適度な微量元素と多くの善玉菌の存在で、元気なおなかをつくることができます。ここではそのいくつかを紹介してみましょう。
 
「偉大なヒーラー」アルファルファ
◎長い根が特長
アルファルファは多年生のマメ科の植物で、最近の研究によって多くのミネラルやビタミンを含んでいることがわかってきました。
ミネラル 鉄、マンガン、マグネシウム、銅、カルシウム、カリウムなど
ビタミン  ビタミンA、B、E、K、U
その他の栄養素│タンパク質、葉緑素、カロチン、食物せんいなど
 
アルファルファをとることで、ビタミン、ミネラル・微量元素と、緑黄色野菜と変わらないたくさんの栄養素を補給できるのです。
このことは、著名な生物学者であるフランク・ボウアーによって、そのスーパーベジタブルぶりが知らされました。彼はアルファルファのことを「偉大なヒーラー」と呼びました。アルファルファはアルカリ度の強い植物で、葉緑素も豊富に含まれています。この植物の特長は根で、5~10メートルもの根を地中深くに張り巡らします。その長大な根が地中深く入り込んで、ミネラル・微量元素をとり込んでいるのです。
アルファルファの日本名はムラサキウマコヤシ。もともとアルファルファはペルシャ語からアラビア語に変化したもので、「最高の食べ物」という意味で、アルファルファは馬の主食として4000年の歴史があります。
人とアルファルファの元素組成

バツグンのミネラルバランス


一般のアルファルファのミネラル組成を人間の元素構成と比較したものです。このように人の体内構成元素比とアルファルファの持つミネラル・微量元素の比率はとてもよく似ています。したがって、必要元素を過不足無く補給できるのです。アルファルファはミネラルのとり過ぎを防ぎ、必須元素を安全に補給でき、無理なく体調を整えるのに有効なのです。
私たち人間はもちろんのこと、すべての動・植物はその生命を維持し活動させるためにあらゆる元素を有効に利用しています。
この元素バランスが保たれている状態を健康だとすれば、病気は必要元素が過不足を起こし、元素のバランスが失われている状態といえます。微量でも重要な栄養素(微量元素)が人間の必要量にちょうど良いバランスで補給することが健康維持には大切なことです。
アルファルファは骨粗鬆症の予防に最適
◎カルシウムを保持・増加
女性は閉経後、骨にカルシウムを蓄え保護する働きをする女性ホルモンの一つ「エストロゲン」が少なくなってしまうため、急速に骨の量が減り、骨粗鬆症になりやすくなるといわれています。
アルファルファにはイソフラボン誘導体の一つ「イプリフラボン」が含まれており、この「イプリフラボン」にカルシウム保持・増加作用のあることがわかってきました。
つまりアルファルファに含まれる「イプリフラボン」は「エストロゲン」によく似た形をしていることから女性ホルモンの補給にとても重要な役目を果たします。また葉緑素はダイオキシンを体外に排泄するといわれています。
骨粗鬆症の患者数は年々増加しているといわれ、しかも女性に多いのが特徴です。また、骨粗鬆症がきっかけになって起こる骨折も増加しています。中でも足の付け根の部分が折れてしまう「大腿骨頚部骨折」は、へたをすると寝たきりになったり車椅子の生活を強いられたり、ひいては痴呆につながりやすく、その増加が深刻化しています。
年をとればいやでも骨量が減り、骨粗鬆症にかかりやすくなってしまいます。これを防ぐには適度な運動と栄養のバランスを考え、骨量がこれ以上減ってしまわないよう注意することが大切です。
 

クロロフィル 葉緑素の重要性


◎緑の野菜が赤い血に
血を持った動物は緑色野菜が必要です。肉食動物のライオンでさえも、緑の草をしっかりと食べています。ライオンやオオカミが襲うのは必ず草食動物です。ライオンがしま馬を襲って最初に食べる所は内臓、しかもそれは緑色をした腸、つまりまだ緑の草が残っている腸を最初に食べます。肉食動物は草を直接食べませんが、草食動物が半消化した状態の草を食べているのです。
緑色野菜の色の素は葉緑素です。この葉緑素の化学構造式と、血色素(ヘモグロビン)の化学構造式とはとてもよく似ています。どちらもピロール核と呼ばれるものが4個あり、これが手をつないでつくられるのがポルフィリン核、その真ん中に、葉緑素はマグネシウム(Mg)が一分子、血色素はマグネシウムの代わりに鉄(Fe)が一分子あります。この葉緑素が体内に入り腸壁を通過するときに、ポルフィリン核の真ん中にあったマグネシウムが鉄と入れ代わり、緑の液つまり葉緑素が真っ赤な血色素に代わります。緑の野菜を食べることで緑が赤に、腸壁を通過しただけできれいな血液がつくられる、言い換えれば血液は腸でつくられているのです。腸が元気でなければ上手な機能を果たすことはできません。

ダイオキシン類の排毒に有効


体内の脂肪分などに蓄積された猛毒ダイオキシン類の排泄促進にほうれん草などの緑黄色野菜の摂取が有効との研究成果を九州大学油症治療研究班(班長 小栗一太教授)が発表しています。研究結果ではダイオキシン類の一種塩化ジベンゾフラン(PCDF)を投与したラットの実験で、えさに10%のほうれん草、青ジソ、ケールの葉を粉状にして混ぜたところ、普通のえさを与えたものに比べ3倍から3・9倍のPCDFを排泄しました。これにより、PCDFと結合しやすく緑色野菜に多く含まれるクロロフィルが「排毒」に有効と確認できたと結論づけられています。ラットの実験ではPCDFだけに絞り研究されていますが、ダイオキシン、コプラーナPCといった他のダイオキシン類もPCDFと分子構造や毒性が似ていることから研究班は「クロロフィルは、ダイオキシン全般の排毒に有効」としています。ダイオキシン類の摂取は油症患者を除き、大気や、水を通じて汚染された魚介類、肉、野菜などの植物からがほとんど。避けようもなく入ってしまったのならばどうやって排泄するかを考えるしかありません。

血液は体細胞に


昔、血液は骨髄でつくられていると思われていましたが、最近では、骨髄でつくられる血液は全体の20%、あとは腸壁でつくられ、血液が母乳に変わるように、体細胞(腸壁)が血液に変わり、血液が体細胞に変わると、互いに変化し合っているともいわれています。
弱った細胞や病気にかかった細胞は死に、きれいな血液が健康細胞に生まれ変わり、元気な腸壁細胞が血液へと健全な組織によみがえります。
毎日の食生活の中で緑色野菜をたくさん食べ、心穏やかに腸内細菌(善玉菌)に心配りをするならば、きれいな血液ができて健康でいられるのです。
アルファルファはクロロフィル、キサントフィルと、葉緑素がいっぱいです。健康は日々の努力の積み重ねです。
 

胃腸状態を改善する


最近の研究で、人体が吸収するダイオキシンをはじめとする化学物質の影響を最小限に食い止めるのに、発酵食品がとても体に良いことがわかってきました。
大豆を発酵してつくる納豆も、その一つです。納豆は、大豆製品の中でもとくに健康に良いといわれている食品の一つです。納豆菌は胃腸の状態の改善や便秘にもよく効くといわれていますし、消化器系の病気の予防や二日酔いにも効果があることが知られています。
日本でも古くから知られている納豆菌の効用ですが、その納豆菌の正体については、あまり知らされていませんでした。最近の研究でもまだ未知の部分が多く、腸内の病原菌を排除し、一方では善玉菌を増やす手助けをすることがわかっています。納豆菌は、内生胞子(芽胞)を持つ自然界でも最も安定しているといわれる細菌種です。納豆菌をたくさんとる人の腸には、乳酸菌などの善玉菌が増えることがわかっています。
◎ガンの抑制効果および血圧降下作用
1983(昭和58)年、横浜市立大学医学部細菌学教室田所一郎教授のもとで、マウスにガン細胞と納豆菌を同時に腹腔内接種した17匹と、ガン細胞のみを接種した納豆菌非投与の17匹の生死を35日間観察したデータがあります。
納豆菌非投与群では細胞移入後5~6日頃より腹部が膨隆し始め、12~16日間で全マウス17匹が死亡、これに反し納豆菌投与群では15~16日頃より腹部が膨隆するマウスも観察されましたが、21~28日にかけて6匹のマウスが死亡しただけで、11匹は観察終了35日までガン細胞が生着することなく生存したとあります。(使用菌株ナットウ菌はBN株)
また、金沢大学でも同じような実験があります。
1967(昭和42)年、金沢大学の亀田博士は、両足の付け根にガン細胞を移植したハツカネズミの片方の足にだけ、納豆菌を注入してその後のガンの発達を観察したところ、納豆菌を注入しなかった足にはガンが発生していましたが、注入した方にはガンはなく、あったとしても半分以下の確率でした。
当時、このことが新聞に発表されて大きな話題となりました。納豆菌がどんなメカニズムでガンを抑えるかについては、不明な部分がありますが、ガンの抑制効果があることは間違いないようです。
そのほか納豆菌の胞子にはどのような医学的な効果があるのか、それを実験するために高血圧になりやすい血統にあるラットを選出し、そのラットに高血圧の元ともいうべき塩分を与えて高血圧の素地をつくりながら、これらのラットを二つのグループに分けました。そして一方には納豆を与え、一方には何も与えない実験をしたのです。その結果は一目瞭然でした。納豆を与えたラットは高血圧になりにくく、長命であったのに対して、納豆を与えなかったラットは高血圧になり短命でした。その結果を踏まえて、納豆の何に効果があったかを調べたところ、納豆菌の胞子に強い血圧上昇防止力があるということがわかったのです
 
◎血栓も必要
私たちの血管はいつもいろいろな原因で傷つき、出血を起こす危険にさらされています。それを防ぐのに血栓は必要なのです。血栓ができている間に、生体は血管を修復し、それが終わったら、すみやかに血栓を溶かします。血栓を溶かす酵素の活性と、固める酵素の活性のバランスが崩れるといろいろと問題が起きてくるのです。血栓症の患者と健康な人とで血液の酵素活性を比べると、血栓症の患者は健康な人に比べて溶解酵素の活性が低いとスウェーデンのニルソン教授はいっています。

血栓を溶かす酵素「ナットウキナーゼ」


◎心筋梗塞や脳血栓、脳卒中などの原因となる血栓の予防に役立つ酵素
このナットウキナーゼを最初に発見したのは、倉敷芸術科学大学教授の須見洋行先生でした。このナットウキナーゼには、血栓ができるのを予防し血栓を溶かす働きがあります。納豆の中の一成分が、死亡原因において高い比率を占める心筋梗塞や脳血栓、脳卒中などの原因となる血栓を予防し、血栓を溶解するということは、今大きな社会問題にもなっているこれらの病気の後遺症、ボケをも防いでくれる可能性があるということです。このナットウキナーゼを2日毎に食べると、できてしまった血栓を溶かすだけですが、毎日食べれば血液をサラサラにする効果があるといわれています。また、動物実験でナットウキナーゼは胃でも、腸でも活性は失われないし、経口で与えた場合でも、血管内の血栓が溶けることがすでに確かめられています。
 

骨粗鬆症を防ぐビタミンK


近年注目を集めている骨粗鬆症。これは骨の中がスカスカになり、骨がもろくなってしまうという恐ろしい病気です。実はこの骨粗鬆症に、食べ物の中でも特に納豆に多く含まれている、というより納豆菌がつくり出すビタミンKに効果があるということがわかってきました。
骨の主成分はカルシウムですから、カルシウムを多くとっていればよいと思われがちですが、カルシウムを骨にくっつけるためには、このビタミンKが必要というわけです。納豆を多く食べる地域と食べない地域では、血中のビタミンKの量に明らかな違いがあったということです。
 

納豆菌は免疫力の向上を促す


納豆菌の抗菌性の主成分ともいわれる「ジピコリン酸」という成分は、金属イオンと結合する力が強く、放射能を持ったストロンチウム90やコバルト60などと体内結合をして、外に排出してくれる働きがあるといいますから、納豆菌の成分には免疫力の向上を促すと同時に、体質に合わないものを排出して体質を変える働きがあるのかもしれません。納豆菌は腸内善玉菌を増やす働きが強く、乳酸菌やビフィズス菌などを10倍に増やすといわれています。この腸内善玉菌の活躍が正常ですと、肝機能も活発に働き皮膚のつやも良く二日酔いにもなりません。

納豆菌と腸内細菌
https://oyakudachi.kenshogroup.jp/intestinal/bacillusnatto7/


次回は
腸内細菌と私 第5章 納豆菌はなぜ便秘や下痢に良いのか

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