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8歳の少年作曲家より届いた「朝の景色」

こんばんは🌛


今週も一週間、お疲れさまです🍃

このページを開いてくださり、
                                ありがとうございます☺️

暑い日々が続きますね、、
皆さま、お元気にお過ごしでしょうか。??

現役大学生の私は先週一週間、試験の日々でした。私は音楽大学ということもあり、普段はたいしてしない勉強を久々にして、頭が破裂しそうになりました💦

そんな時の私のご機嫌の取り方は、「美味しいものを食べる」ことに限ります!🥹✨

私は文章を書くことも、読むことも、
音楽に触れることも好きですが、もう一つ。
「食べること」が大好きなのです!

「料理」に関しては正直、得意な方ではないとは思いますが、レシピのアプリを見ては、それを参考に自分のお弁当を作ってみたりしています。

良い気分転換になってくれる「料理」。

私は、ある人の作品を聴く時、必ずと言って良い程に「料理をしている風景」や「朝の風景」をイメージしてしまいます。

ーーけれども不思議なことに、彼の作品を演奏をする時は、他のどんな難しい曲よりも、神経を鋭く持ち、指の先から針を糸に通すような感覚で演奏をしている。

こんな所も、繊細な「料理」と似ているのかもしれませんね🙂

今回は誰もが知るあの方の作品をご紹介いたしましょう。
(※誰の、どんな作品なのかは、この物語の最後に記録します。)



舞台だけにライトが当たり、客席が暗くなる。

クラリネットのAの音から、
火を灯すようにヴァイオリンのAの音へ。

調弦が終わった。拍手が鳴り止んだ。

指揮者が指揮棒を下ろした。

さぁ、それでは、はじまりはじまり。


                      ーーー🎶ーーー
*1 mov.

大きな大きな大地の地平線の向こうから、

ゆっくりと朝日が顔を出す瞬間。

朝露がほろりと葉っぱから零れ落ち、

まるで地球が新しい呼吸をするかのように、

ぞわっと新しい風が吹く瞬間。

夜の闇が消え去って、

月が反対方向へ移動をして。

この瞬間にも時は止まらずに刻まれ続ける。

地球の上の生物が目を覚まし出す。

さぁ、朝がやってきた。

どこか森の奥で、アオバズクが「ホーホーホーホー」と鳴いている。

もう少しで午前5時を迎える。

朝日が徐々に辺りを照らし始めた。

おどろおどろしいほどに、威厳を持って。


ーここは、北海道の大草原。

ある老夫婦が老後をゆったりと楽しむ為にと、この草原の中に、ぽつんと
自分たちで小さなコテージを建てたのだった。

決して豪勢な作りでは無いが、
このコテージの木の材質でもあるヒノキの香りが柔らかく漂う、暖かさのある内観だ。

木の扉の先には先ず玄関だ。ここに越してくる時に必要な物は最低限にしようと決めたこの老夫婦の、各一足ずつの靴が大事に揃えられている。

右にはバスルームへ続く扉がある。
このバスルームの窓からは美しい北海道の大草原を覗くことができるのだ。

細い廊下の先にはこじんまりとしたリビングが見える。二人がけのソファーに小さなコーヒーテーブル。

テレビがない代わりに、年季の入ったレコードプレーヤーが置いてある。その棚には沢山のレコードが陳列を成して並ぶ。

レコードの横では、大きな古時計が振り子をゆらゆらと揺らしている。

その隣にあるのはキッチン。
コの字型のキッチンは、コンパクトな作りになっているがとても効率的だ。

キッチンの隣にはデッキがある。ここで老夫婦は、夜には満点の星空を見て、ゆったりとした時を楽しむのだ。

キッチンの奥に隠れていた階段は、2人な寝室へと続く。屋根裏部屋のような作りになっており、天井は低く、布団が敷かれている。

ーこれは、そんな、愛の詰まったコテージに暮らす老夫婦のある日の、ある朝のお話。

大きな古時計の針が、午前五時を指した時、目覚ましのようにボーンボーンと鳴り響いた。
おじいさんはそれから暫くして起き上がるのだが、おばあさんはこの音に、はっと目を覚ましたようだ。

隣でまだ夢の中のおじいさんを起こさないようにと、そっと布団を抜け出して、足音を立てないように、ゆっくりと十段ほどの階段を下る。

彼女は朝一番にデッキのガラス扉を開ける。
すると清々しい空気がゾワッと身体中を包み、新鮮な空気がとめどなく家の中へと入ってくるのだ。

見渡す限りの緑は、キラキラと煌めく朝露を纏って本当に美しい光景だ。


雨の朝、雪の朝、雷の朝…

それ以外の日は毎朝見る景色だが、この当たり前の瞬間にも、心躍ってしまう。

「また朝がやってきたのね」とこんな小さなことにも感謝をするようになったのは、いつからであろうか…

持病を持ちながらも、老後に二人で人生を楽しみたいという願いでこの地へやってきたその日から、感じるようになったのかもしれない。

そんなことをふと感じながらの午前五時。

家事をするにはこの時間がもってこいだ。

まずは、洗濯機を回す。

ドラム式の洗濯機だがその種類は古いようだ。ガラガラと鈍い音をたてながら、ドラムが回る。

洗濯機に呼ばれるまでの時間は、掃除をする。
初めに取り掛かるのはテーブルや棚の上のホコリを落とすところから。

先っぽがふわふわの猫じゃらしのようなホコリ取りを手にする。

その後は、少し濡らしたハンカチで、そこら中を拭きあげる。

本当なら掃除機をかけたい所だが、今かけてしまったらおじいさんを起こしてしまう。

だからいつもおばあさんは、次に、ガラス扉や窓を磨く。

露の付いているガラス達が綺麗になった頃、洗濯物が洗い終わる合図が聞こえた。

洗濯物を籠に乗せて、さぁ、朝のデッキへ。

物干し竿を伸ばして、大きな洗濯物から順に、広げては少し叩いて、洗濯バサミでとめる。

その作業が終わったあたりで、そろそろおじいさんが目を覚ます。

そろそろ掃除機をかけても良い時間だ。

隅々まで掃除機を走らせる。
この作業は、心の中まで掃除をしてくれている気分にさせてくれる。

心がスっとした時、見上げると、
床も、窓も、ガラスの扉も、テーブルとソファーも、棚の上も、ピカピカになっている。

デッキの物干し竿には、洗濯物が気持ち良さそうに太陽に照らされている。

時刻は六時。
トントンと階段を降りる音が聞こえる。
おじいさんが目を覚ましてやってきた。

「おはよう。」

そう微笑むおばあさんは、昔の面影を残し、とても美しい。そう思いながらおじいさんはこう言った。

「おはよう。さぁ、朝食の準備をしようか。」


*2 mov.

朝食の準備は、おじいさんがするのが、長年の二人のルールだ。

レコードプレーヤーにレコードをはめる。
今日のおじいさんはモーツァルトの交響曲39番を選択。この清々しい朝にもってこいの曲だ。
レコードに針がかざされ、コツコツと暖かいレコード独特の音を出しながら回りだした。

部屋の中をモーツァルトの音楽が躍る中、
おじいさんはおばあさんの腰に手を添えて、労わるように、優しくソファーへ座らせ、そして彼はキッチンへ。

おじいさんはまず、二人分のコーヒーを作る。
コーヒー豆を挽く所からだ。

お気に入りのコーヒー豆を慣れた手つきで、 いくらか取り、豆を挽く。

豆を挽く瞬間、コーヒーの渋みのある香りが鼻を掠める。おじいさんにとっての朝はこの匂い無くしては始まらない。

お湯を沸かす間に、トーストを二枚作る。

トースターに食パンをセットし、暫く待つ。
チッチッチッチッという軽快なトースターの音が待ちきれないという空腹の音を催促する。

トースターがチン!と音を立て、香ばしい甘い香りがしてきた。トーストの完成だ。

良い加減に、茶色く焼けたトーストをお皿に用意して、バターを少しと、イチゴジャムも少し、お皿の横に添えて、テーブルへ運ぶ。

お湯が沸いた合図に、ヤカンからシューと蒸気が漏れてきた。

そうしたら用意されたドリップペーパーに豆を入れて、湯を少しずつ入れていく。

コーヒーも出来上がりだ。
おじいさんは苦いのが好きなのだが、おばあさんは甘いコーヒーを好む。おばあさんのコーヒーにミルクとお砂糖を少しだけ入れて、ティースプーンでそっとかき混ぜる。
黒に白が混ざり、茶色い液体へ変化した。

ソファーでは、おばあさんがゆっくりと座り、流れる音楽を聴き、本を読んでいる。

前にあるテーブルには、美味しそうなトーストと、コーヒーカップが置かれた。

「「いただきます。」」

そう二人の声が重なり、素朴ながらも、仲睦まじく、朝食の時間が始まった。

*3mov.

ゆっくりと朝食を楽しんだ二人。

流れるレコードも、一曲が終わった。

お皿を片付けたおじいさんは、いつもの如く、
ワルツのレコードを用意する。

おばあさんに微笑み、ウインクを。

ーこれは合図。

そう、二人は狭いフロアの片隅で、優雅に朝食後のワルツを踊り楽しむのだ。

お互いに片手は腰に、もう片方は手を取り合う。ワルツの三拍子に合わせて、ゆっくりと静かに身体を揺らせては、お互いに目を合わせ微笑み合う。

五十年程前に初めて出会った瞬間に、おばあさんに一目惚れをしたおじいさん。
彼の猛烈なアプローチを受けて、おばあさんはおじいさんに徐々に惚れ込んでいく。

あれから随分と時が経った今も、おじいさんとおばあさんの心は離れた事がない。

普通だったら段々と愛が薄れていくこともあるであろうに、二人は歳を重ねるごとに、愛を育み続けた。例え容姿が変わろうとも、環境が変わろうとも。

この朝の二人で躍るワルツの時間は、二人の愛を再確認する大切な時間なのだった。

二人が見つめ合う時、互いのその瞳の奥には忘れもしない、あの日の出来事が映し出された⋯

*4mov.

五十年前のクリスマスの日。

貴族たちのダンスパーティーが行われた。

ダンスホールの大きな窓の外は、既に日が落ち黒に染まり、白い雪がぱらぱらと散っていた。

上品なローブを着て佇む男性や鮮やかな色のドレスを身に纏う女性に溢れかえるホール。

あちこちから香水の香りが漂う。

大きなもみの木が沢山の装飾をされて人々を見守る。

そんな雑多なホールの中で、深緑色の上品なドレスローブを身に纏った男は、ぼうっと、一人の女性を見つめていた。

周りの動きが見えなくなり、音さえも聞こえなくなるほどに、彼女だけに全神経が集中する。

呼吸が浅くなる。

人混みをかき分け、一心不乱に、彼女の元へ駆けて行く。

そうして、彼は彼女の前に跪き、手を差し伸べ、彼女を見上げてこう言った。

「お嬢さん、
私はあなたに一目惚れをしました。
この手を取り、私と踊ってくれませんか。」

彼女は突然のことに驚いたが、冷静にそして落ち着いた態度でその手を取ったのだった。

「喜んで。」

と、そのピンクに染まった唇を三日月の形にして。

いざ彼女を目の前にダンスをするとなると、彼は、緊張により何処と無く汗が滲み、心臓は、もう聞こえてしまうのでは無いかという程にバクバクと音を立てて鳴っていた。



ー 懐かしい。とても懐かしい。
これは若かりし頃の私の武勇伝だ。
  あんなにも愛おしく、可愛らしい彼女をあのクリスマスパーティーで見つけ、声を掛けたこと。手を取り合い、ダンスをした事。
そして、五十年経った今も、そんな愛おしい彼女が目の前で、私の手を取りワルツを踊っているということ。

「私はなんて、幸せ者なのだろうな。」

ふと彼の口からこんな言葉が飛び出した。

「私だって幸せ者よ。

息絶えるその日も私はあなたの手を取りたい」


二人は柔らかく微笑み合い、ワルツを踊り続けた。



これは二人の老夫婦の、ある朝の日常風景。

相手をいつまでも思いやり、愛し続ける二人が永遠に幸せでありますように。

そんな希望を乗せた一羽の白い鳩が、
窓の外で優雅に舞い上がった。

                                                                 fin.

                      ーーー🎶ーーー

いかがでしたでしょうか??

この曲は

誰もが一度は聞いた事のあるであろう
オーストリアの作曲家、

           Wolfgang Amadeus Mozart

                                   の交響曲第39番でした。

少しモーツァルトについてをご説明します。

                     🔖🔖🔖🔖🔖
モーツァルトは、幼児より神童として知られ、西ヨーロッパ各地で父親と演奏旅行をします。

故郷ザルツブルクの宮廷音楽家の地位を捨て、25歳でウィーンに出て、フリーのピアニスト、ピアノ教師、作曲家として華やかに活躍したが、35歳の若さでこの世を去りました。
宗教音楽、オペラ 、歌曲、交響曲、協奏曲、室内楽曲、ピアノ曲など幅広いジャンルに数々の名曲を残しました。
                     🔖🔖🔖🔖🔖
約270年ほど経った今も、その名を輝かせている、モーツァルト。

彼は、わずか8歳で最初の交響曲を作曲し、
短い生涯ながらも40数曲の作品を残します。
特に、傑作と名高いのが88年の夏にわずか6週間という短い期間に書かれた、第39~41の最後の3つの交響曲です。

今回はそんな彼の交響曲より、第39番のホ短調 をピックアップし、「朝」や「料理の風景」のように心躍る音楽を表現しました。

純粋な心を持った8歳の少年、モーツァルトが表現する音楽は、聴く人を童心へ帰し、清々しい気持ちにさせてくれますね🌱✨

皆さんの明日が清々しい風の吹く、幸せな一日になりますようにと、心から願っています🍀*゜

最後までご覧いただき、
                           ありがとうございます☺️☺️














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