誰も信用しない利己主義者の日常②【超ショートショートまとめ】
Xには『裏垢女子』と称する明らかな詐欺アカウントに群がるバカな男共が大勢いる。
俺はそういう男共のリストを作り、客に困ってそうな立ちんぼたちにリストを売り込む。
さらに男共のリストを買った立ちんぼたちのリストを作り、今度はそれを客に困ってそうなホストたちに売り込んでいる。
〈比嘉冷射士のプロフィール〉
皺だらけの手がおひつから湯気の立つ白飯を掬い、鮮やかな橙色のイクラを包み込んだ。
白飯は宙で回転しながら三角に成形され、仕上げに海苔が巻かれた。
受け取ると、「よくこれを触っていたな」というほどに熱い。
あぁ、まさか人が素手で握るタイプのおにぎり屋だとは。
無理かもしれない。
青空に月が浮かんでいる。
あれには利用価値があるのだろうか。
資源が眠っているのだとしたら、利権争いに勝つ国はどこだ?
……いつからだろう。
自然の美しさを素直に感じられなくなっている。
何を見ても、競争の対象として捉えてしまう。
子供の頃、世界は俺だけのものだったのに。
いつも以上にやかましく講釈を垂れていた女性の社員が、急に黙り込んだ。
「ちょっとトイレ……」
弱々しく言って背を向ける社員のタイトスカートから覗く太腿に、血が滴っている。
俺はすぐに「○○さんが怪我を!」と騒ぎ、皆の注目を集めた。 その社員は狙い通り顔を真っ赤にしていた。
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