桜雅

古武術を稽古しています。その中でも手裏剣術に魅了されて日々稽古しています。この難しさ、…

桜雅

古武術を稽古しています。その中でも手裏剣術に魅了されて日々稽古しています。この難しさ、楽しさ、魅力をお伝えしたく活動しています。 Youtube→https://www.youtube.com/channel/UCFxWnDzxTef8UgFNH6veIqA

最近の記事

鬼滅の刃と手裏剣

漫画、アニメが社会現象となった鬼滅の刃だが、私だけでなく多くの手裏剣術稽古者がこれを見て手裏剣と結び付けたのではないだろうか。 手裏剣術を稽古している人間としての視点でこの作品を見てみようと思う。 主人公の炭治郎は物語序盤から「投擲」を多用していた。 斧に刀、様々なものを投げつけてそれが大きな決め手となり状況を打破したり、困難な場面を切り開くきっかけとしていった。 手裏剣という言葉が示す範囲は広い。小さい金属の棒のみならず、状況を打破するために投げつけて使うものすべてが「手

    • 重い手裏剣、軽い手裏剣

      手裏剣は種類や形状も様々だが重量もそれぞれに違いがある。 分類の仕方は個々により違うので明確な定義はないが、30グラムから40グラム未満を軽量剣、40グラム以上70グラム未満を中量剣、70グラム以上を重量剣、それ以上を超重量剣とざっくり分類しよう。これは流派や個人の感覚によって大きく異なることだけは強調しておく。あくまで私が便宜上決めたことであるが、私の周りを含め手裏剣術をしている人間同士で話しをすると概ね上記の分類で話は通じる。 私のオリジナル六角形手裏剣はおよそ30グラ

      • 手裏剣を渡す話

        手裏剣の稽古をするためには手裏剣が必要である。 たいていの人は稽古を始める際に自分で代用品を見つけるか、もしくは今ならインターネットで手裏剣を購入する人が多いだろう。また、数こそ少ないが実店舗でも非常に質のいい手裏剣を扱っているところもある。 しかし手裏剣と一言で言っても大きさも形状も多種多様であるから、まずは悩むだろう。それに、決して安いものではない。 手裏剣は1本あたり2,000円から4,000円のものが多く、3,000円前後が平均的な価格ではないだろうか。ただし形状など

        • 刺さらない手裏剣の持つ意味

          手裏剣というものは刺さりにくいものである。 それをどうにか刺せるようにと必死に稽古をする。 武道の稽古の延長として手裏剣を扱う者の中には自分の求める身体操作が出来たかどうかを手裏剣で確認をする人もいる。 刺さったか刺さらないか、その結果がはっきり出るのが手裏剣であるから、刺さったとしたら自分の求めた身体操作が出来たという指針になる。そのために手裏剣を使うというわけである。 手裏剣術において直打法で手裏剣を飛ばすためには独特な身体操作が必要である。その身体操作は古武道の体術や剣

        鬼滅の刃と手裏剣

          手裏剣における「仲間」の意味

          手裏剣術は独習可能な武道であるとよく言われる。 一人で練習を始めても上達出来る武道とも言う人がいる。 間違ってはいないだろう。 間違ってはいないが大切なことが抜けている。 正確には「正しい知識と継続した努力があれば一人で練習を始めてもある程度一定のレベルまでは上達出来る可能性がある」である。手裏剣術はその人の感覚による部分が非常に大きいのだ。だからある人が上達した練習方法をそのまま別な人間に施しても同じ上達曲線を描くことはできない。それはすなわち個々の感覚によるものが大きいか

          手裏剣における「仲間」の意味

          手裏剣の威力について

          「手裏剣の実践的な有効射程距離はどのくらいですか?」 これはいろいろな場所で頻繁に聞かれる質問である。 有効射程距離というのは単純に届く、刺さるというだけはなく、手裏剣を武器として捉えて「標的に対する殺傷能力」を持った距離ということだろう。 武器であることを考えたら、しかも投擲武器ならば有効射程距離を知りたいのは当然だ。 一応、手裏剣術には相手が無手の場合は1間(1.8メートル)刀を相手に2間(3.6メートル)槍を相手に3間(5.4メートル)の距離を取れと言う格言やセオリーが

          手裏剣の威力について

          手裏剣から考える六角形の不思議

          私はいくつかの手裏剣を使って稽古をしているが、大会や練習用に「誰もが平均的に使いやすい手裏剣」をコンセプトとして私が企画した手裏剣は六角形を採用している。 これは工場で大量生産をするにあたり一番効率よくコストを抑えられる素材を探した結果でもある。一般的によく使われ継続して安定供給出来ること、加工の手間をあまり掛けないこと。これがコストを抑える上では重要で、その条件に合ったものの中で手裏剣に使える素材として選んだ。 さらに、私は焼き入れをせずに使っているが、もし焼き入れをしよう

          手裏剣から考える六角形の不思議

          手裏剣における強弱の意味

          この動画の最初から8本目まではふわりと弱い力で打剣している。 そして、最後の1本のみ、強めに打剣している。 なぜこんな練習をしているのかを解説したい。 まず、手裏剣をゆっくりふわりと、つまり弱く打つ理由だが、これはゆっくりとした動作を行うことで身体の動作を確認したい目的がある。 手だけをゆっくりと振るのはブレーキを掛けながら手裏剣を飛ばすようなものであり、かえって難しい。手をゆっくりと振るのであれば身体もゆっくりと動かし腕と身体とを調和させることが必要である。ゆっくり動くと

          手裏剣における強弱の意味

          手裏剣を作ってみた話

          私が手裏剣術の稽古を始めたとき、すでにいくつかの手裏剣が手元にあった。 父親が武道をしており、手裏剣もその稽古内容に含まれていたからだ。 手裏剣を練習したい旨を伝えたところ、三種類の手裏剣を貸してもらうことが出来た。 一つは全長15.8センチ、太さ6ミリの四角形で切っ先が長く、尾部が少しすぼまった形状のもの。 もう一つは全長16センチ前後、尾部すぼまりで先述と全く同じ形状ながら太さが8ミリほどの少し太型のもの。 最後は全長15センチ、太さ6ミリ、先端を尖らせただけのシンプルな

          手裏剣を作ってみた話

          手裏剣連続打ちの解説

          こちらの動画で私は棒手裏剣を連続で打っている。 通常であれば棒手裏剣を右手で打つ場合、これから打つ手裏剣は左手にまとめて保持している。この場合の連続打剣というのは「1本1本左手から右手に持ち替えて打剣する」という意味である。 ただ早さだけを見せたいとするならば、複数本を両手に持った上で持ち替えをせずに1本ずつ打つという技術もある。 それを両手で行ったのがこちらである。 これはナイフ投げの世界では「保弾なし」という意味で「No Reload(ノー リロード)」と呼ばれるテクニッ

          手裏剣連続打ちの解説

          Youtubeとの関わり方について

          私は手裏剣術稽古風景をYoutubeに載せている。 それは手裏剣の魅力を発信する活動の一環であり、手裏剣術の面白さを少しでも多くの人に知ってもらいたいをいう思いからである。 動画をアップロードすることで手裏剣がどんなものかを分かりやすく伝えることが出来る。そのうちに、手裏剣の基礎などを練習したいとの声が多くなり練習の仕方や解説を加えることになった。 そうした動画配信を続け、興味を持ってくれた仲間とコラボと称して時にはジャンルの違う人たちと交流を持つようになった。 私がYout

          Youtubeとの関わり方について

          手裏剣の技(打法)について

          技はいろいろ、カードは一つ。 何年も前にカード会社のテレビCMで使われたキャッチコピーである。 そのCMでは柔道の様々な技が次々と繰り出されていたのを記憶している。 動画を見ていただきたいが、私の手裏剣術は一見すると様々な技(打法)を使う。動画にある「九頭龍閃」は漫画に出来てた技名で、剣術の打突を9方向に分類してそのすべてを一度に叩き込むという技である。これにあやかり、9方向すべてから打剣をする練習を取り入れている。 一見するといろいろな打法を使っているように見えるかもしれな

          手裏剣の技(打法)について

          手裏剣術稽古における「楽しい」の意味

          手裏剣術の稽古は難しい。そして、楽しい。 それが私が手裏剣術にのめり込んだただ一つの理由だ。 しかしこの「楽しい」はいくつもの意味があるし、ともすれば一人一人違う。 この「楽しい」の意味を考えてみようと思う。 楽しいには「満ち足りている」とか「嬉しい」とか「喜ばしい」という意味がある。そして類義語に「はしゃぐ」「ふざける」「戯れる」などがある。 ここを同義語と捉えるか類義語と捉えるか、どこに線を引くかは人それぞれだろう。 手裏剣術を武道の一環として楽しむ人はおそらくだが「出

          手裏剣術稽古における「楽しい」の意味

          手裏剣術における「継ぎ矢」

          手裏剣の持ち手に糸などを巻き付けた所謂「巻き物」を施した手裏剣で稽古をしていると、先に的に刺さった手裏剣の巻き物に次の手裏剣が刺さることがよくある。 動画で私は最初に刺した少し大型の手裏剣の後ろを狙いそこに刺している。 写真で見ると、巻き物の中央部分に次の手裏剣が刺さっていることがよくわかる。 この時は、刺さる瞬間を動画に収めるために意図して狙ってこの「継ぎ矢」の状態を作り出した。 しかし普段からこんな練習をしているわけではない。 普段であればむしろ逆に「適度に離して狙う」

          手裏剣術における「継ぎ矢」

          左手での打剣について

          私は右利きである。 文字を書くのも、箸を持つのも、ボールを投げるのも右手を使う。 左手のリードを必要とするスポーツもしていたので利き手とは逆の手の重要性は理解していたが、それでも左手でものを投げることはあまり練習してきていなかった。 しかし、手裏剣に関しては左手でも打剣をする。 この理由は非常に単純なことで師匠が「左手も使えるように」と言ったからである。 それも、聞いたのは今のように手裏剣に取り組むずっと前の話である。 当時、私は師匠の仕事をお手伝いさせていただいており、合

          左手での打剣について

          房付きの手裏剣

          手裏剣の中には後ろ側(尾部)に房を取り付けたものがあることは取り上げ、手裏剣の尾部に房を取り付ける物理的な効果や意味についてはさまざまな検証もしてきた。 そこで別な側面からこの房を見てみよう。 物理的とは別な側面、つまり精神的、心理的な側面である。 房とは一言でいえば「魔除け」である。 これは面白いことに洋の東西を問わず世界中で同じ意味合いを持つ。 日本では「房飾り」西洋では「タッセル」または「フリンジ」と呼ばれているがどちらも魔除け、厄除けなどのラッキーチャームとして知ら

          房付きの手裏剣