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家を手入れしながら暮らす

新居を構え、引っ越してから早3ヶ月が経つ。
こだわりぬいて建てた家はとっても居心地が良く快適に過ごしている。

恥ずかしながら予算の都合もあり、家の仕上げの多くを施主自らの施工をすることにした。

天井は、大工工事の最中に板材を貼る前に塗装をさせてもらった。床は、引き渡し1週間前に塗装(着色とクリアの2回塗り)。
ワークデスク・本棚・ダイニングのベンチは、自前で設計し、会社の工房にあるshopbotで切り出し、研磨、塗装(着色・クリア)をして、引越し2日後に組み立て。
引越して1ヶ月後に、夜な夜な洗面台とキッチンのタイルを貼った。
庭の外構は一切やってもらわなかったので、住みながら隙間時間をみて、地ならし、防草シート貼り、砂利を敷き、通路にはコンクリート平板を敷いた。

運動不足も手伝って毎度筋肉痛にやられるなど、重労働で体力的にきついところもあったが、それ以上にデザインや資材の手配、工務店との調整など準備もかなり大変だった(その段取りをやってくれたのは妻です・・感謝)。

棚や腰掛、ありとあらゆる場所の塗装は自ら施工
フローリングは着色とクリアの2回塗装、面積が広く心が挫けそうに。。
外構、耕すところから。樹を植え、平板を並べて埋め、の重労働。
デスクや棚などの家具もオリジナルで制作。デザイン・切削・研磨・塗装。
地道に塗装、組み立て。

だけど、家がだんだんと作られ、整っていく様子をみるのは想像以上に楽しかった。自分たちで自分の暮らす場をつくっている実感と、この家と長く付き合っていくのだな、よろしくな、という会話をしているような感覚があった。

新築戸建てという選択をしたものの、それにとらわれているつもりもなく、場合によっては生活の変化により手放したりしても良いと思っている。
でも、いざ住んでみると、賃貸でなくてよかったかも、と思う。この家・このまちでの暮らしに向き合おう、という気持ちになったのだ。

妻が設計士だったため、設計・工事監理をしていたのでこの家がどのようにつくられているのか、構造的に理解している。
壁の仕上げの多くはクロスではなく漆喰にしてもらった。白なので汚れは目立つが、気になるようだったらヤスリで削れば綺麗になるし、割れたり欠けたりしたらちょこっと塗り足せばいい。実はメンテナンスしやすい素材だ。そんな風に、なにかメンテナンスが必要になった時に、どうしたらいいのかがわかる。程度によっては自分たちで直したりできる。それが暮らしの充足感につながるのかも知れないと思った。

すこし話は広がるが、自分たちの住む宮代町では、行政と無印良品がタッグを組んでまちづくりのプロジェクトを進めている。新入りながら、それに関する町民検討会みたいなものに参加させてもらっている。関わっているみなさん、すごい熱量で参加しているのだが、そこに躊躇なく飛び込んで、全力投球しよう!と思えるのは、その過程が自分の生活に直結しているからだ。

これまでは、借り暮らしだからと、住んでいるまちでの取り組みに対して積極的ではなく消費者目線での思考だった。
自分たちの暮らしを自分たちでつくるのだ、という意識が芽生えたのは、悩みながらも自分たちの住む町を決め、暮らしているからなのだろうと思う。

家もまちも似たような感覚で、ここが自分の場所なんだ、と思うことで愛着が湧くし、当事者としてアクションすることになる。

家の庭では小さく畑で野菜を育てないな〜と思っていて、お隣さんと話していたら、生ゴミを土に埋めておいたら、1ヶ月でいい肥料になるわよ、と教えてもらった。それから、ちょっとずつ生ゴミをためては埋めている。

自分たちの住まいは最小限だが、それが徐々に拡張して広がってパブリックになっていくのだとすると、ひとつひとつ、手入れしながら過ごすのは、面倒だけど健全で幸せなことだ。

ちょうどこんなことを考えていた先日、建築家の岡田さんのnoteでも素敵なことを書いていたのでシェア。

暖かくなってきたので、そろそろ庭を耕し畑をつくり、芝も張ろうと思う。手入れしていくのが楽しみだ。


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