見出し画像

保育士さん・学童の先生からの質問(同意+ジェンダーとは)@めぐみこども園

昨日は、鹿児島県阿久根市のめぐみこども園の職員研修に講師として呼んでいただきました。

1時間も時間をいただいたので、内容は盛りだくさん。いつもの絵本の朗読のクラス↓に加えて、ジェンダーとは、子供向けメディアの性暴力、おもちゃと多様性などについても話しました。

先生たちの子供と向き合おうという真剣な姿に、胸を打たれました。
講演に合わせて、「被害にあった子供への声かけの方法」の資料も作りました。こちらの合わせてご覧ください↓

さて、授業でいただいた質問や、いただいた感想から思ったことをちょっと記しておきます。

『「プライベートゾーン」の話をするときに、笑い出したり、ひやかしたりする子が出てきそう。どうしたら良いか?』

「いいタッチ・わるいタッチ」の作者の安藤由紀さんが、まさにそれを語りかけている動画があるので、そこでの言葉を引用します。

今日のお話は、みんな科学者になったつもりで聞いてほしいです!科学者っていうのは、わからないことを一生懸命研究して、わかろうわかろうとする人たち。そしてわかった時、「う〜ん、なるほど!」って言いますよ。だから、今日は、プライベートゾーンのお話しをしますが、「え〜」とか「いや〜!」とか言わないで、科学者になったつもりで「なるほど、わかった!」とお話を聞いてね。

「科学者」でなくても「お医者さん」でもいいかもしれません。

下の記事のリンクから実際の動画をご覧になってみてください。『ステップ3:「科学者になったつもりで聞いてね!」と自己防衛』にリンクを貼ってあります。

自分は嫌な時に嫌と言えますか?

画像1

自分は嫌な時に嫌と言えますか?の質問では、嫌と言えないという回答が、圧倒的に多かったです。

嫌と言える:嫌と言えない=6:20
(相手によって嫌と言えたり言えなかったりすると答えた場合は、どちらにも一票入れてあります)

「体型について言われた時、嫌なのに嫌と言えない。ポジティブに受けとるには笑いに変えるしかない。」

という非常に大切な指摘をしてくださった先生がいました。

今日の講義では、テレビアニメやバービー人形の例をとって、以前は許されていた差別的な社会の基準が、時代とともに多様性を認め受け入れる方向に変化しているという話をしました。

体型や顔のパーツなど、体についてのコメントについての考え方も、全く同じような変化を遂げています。例えば、最近のアメリカのアニメでは、多様な体型を積極的に番組に入れて、一部の体型を差別的に表現することはなくなっています。

特に、こちらのバービーの変化についての記事を読んでください。
バービーは、人形作りの変革にあたって、ぽっちゃり体型のバービー人形を作り、そのシリーズで一番の売り上げを記録しています。特定の体型だけが美しいという時代から、全ての体型は素敵だという時代に変わりつつあります。

男女平等に多様性……。バービーは時代の代弁者になりえるか?(ヴォーグ)

画像3

日本でも、女性の芸人さんが、もう体型を笑うネタはやめようと発言するなど、体型を笑う時代はもう終わっていく方向だと思います。

体型について言わると、人は傷つきます。自分ではとっさに反論できないかもしれません。なのでどうか、それを隣で聞いていた人が声をあげてください。
「OOさん、その言い方はよくないですよ。」
「私はXXさんの体型はとても素敵だと思います。」

また、もしできそうだったら言われた本人も、
「その言葉、傷つきます」
と伝えられたらいいのかなと思います。こういう場合、「あなたはひどい」というのではなくて、「私」を主語にして「私が傷つくからやめてほしい」という言い方をするとうまくいくといいます。

嫌と言えない理由

アンケートでは、嫌と言えない理由として、相手に嫌われるかもと不安になるが多いようでした。そのほか、相手の気持ちを考えると嫌と言えない、という意見もたくさんありました。

子供たちに、嫌なことには嫌と言える人に育って欲しい

それでも私たちは子供たちに、嫌なことには嫌と言える人に育って欲しいと願っています。どうしたらいいのでしょうか?

それは子供が「嫌」っと言った時、大人がそれを聞いて向き合ってあげることだと思います。すると、嫌と言っても関係が壊れることがないと学ぶことができ、自己主張できるようになります。

嫌という意見は受け止めにくいものですが、内容はともかく「意見を言ってくれてありがとう!」「気持ちを話してくれてありがとう!」ととりあえず、発言してくれた点だけについて褒めるのも効果的です。そこで、子供は自分の意見を伝えることは歓迎されることと学ぶことができます。

その後で、例えばそれが「シートベルトをしたくない」など子供の安全に関わるようなことで、子供の「嫌」を聞けないようなことだったら、ちゃんとその理由を話して理解してもらえたら良いのではと思います。案外、「言ってくれてありがとう!」と一旦受け入れてあげると、こちらの話も聞いてくれるようになったりします。

大人同士の「嫌」

では大人同士ではどうでしょう。考えていただきたいのは、大人でも、もし相手があなたを大切に思っているのなら、あなたが「嫌」と言ったくらいでは、一旦は嫌な空気になるかもしれないですが、ほとんどの場合それで関係は壊れないということです。むしろ、お互い嫌な時に嫌と言える、よりいい関係に育っていくかもしれません。あなたが嫌と言ったくらいで壊れる関係であれば、その関係自体を見直すべきかもしれません。

また、相手が自分より権力のある立場だったり、家族で近すぎる存在のため嫌と言えないという場合もあると思います。でも自分の意見を言えず、我慢している状態というのは、苦しいものです。

そういう時は、↑の本を読んでみてください。後半はワークブック形式で、受け身すぎず、攻撃的にならない「意見」の言い方が練習できるようになってます。ぜひご一読ください。

2点、この本を読むときの注意点があるので、読まれる際には下の記事で確認してください。

しずかちゃんのお風呂シーン

講演では、この後、ジェンダーとはというお話をして、子供メディアの中にある性暴力おもちゃと多様性の話をしました。

画像2

次に、しずかちゃんのお風呂シーンについてどう思うか、という質問では、「日常の風景になってしまっていて怖い」という意見、「しずかちゃんは恥ずかしい気持ち、嫌がっている」という視点がたくさんありました。

しずかちゃんのお風呂シーンで男女が逆転したらどうか、という質問では、男女が逆転しても嫌という意見が多い一方で、どのようにとらえて良いかわからないという戸惑う回答も多く、そもそも男女が逆転したものはあまりみないので、そういう状況を考えたことがなかったという声が聞こえてくるようでした。

多くの国で、未成年を性的に描くことは児童ポルノと呼ばれ禁止されています。
今日お見せしたしずかちゃんのお風呂シーンは、アメリカの基準だと児童ポルノになるので放送できず、アメリカ版のドラえもんではカットされています。それは、男女が入れかわっても一緒だったと思います。

一方で、ではどうしてスネ夫やジャイアンのお風呂シーンはないのでしょうか?
それは、作り手が男性のまなざしで、女性であるしずかちゃんを性的に描くことが視聴者にうけると考えているからではないでしょうか?テレビ業界の上層部のほとんどが男性であることも重要な点かもしれません。

詳しくは、今日紹介した「これからの男の子たちへ」の作者、太田啓子さんのしずかちゃんの入浴シーンについて書いてある記事があったのでご覧ください。

性差別社会と親子でどう向き合うか?

女の子版おしり探偵やクレヨンしんちゃんは成り立つか?

画像4

最後に、めぐみこども園の園長が、↑のスライドをみて考えさせられたと話してくれました。
「おしり探偵やクレヨンしんちゃんが女の子だったら、成り立たない。どうして今まで、そのおかしさに気づけなかったのか。」

園長は、今後、保育業界にも、ジェンダー教育を広めるよう呼びかけていきたいと言ってくださいました。

男の子の教育

ジェンダーと男の子の教育に関心のある方にぜひ読んでいただきたい本「これからの男の子たちへ」

画像5


めぐみこども園はアートなどのクリエイティビティを育てる教育にも力を入れているとっても素敵な幼稚園です。
東京の世田谷にも姉妹校を作る予定なのだそうです。
このような素敵な取組の幼稚園が、日本中に広がったらいいなと期待しています。



この記事が参加している募集

子どもに教えられたこと

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?