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未来洞察と私04.未来洞察で言う「気づきが大切」ってどういうこと?



■はじめに


「未来洞察は当たることを狙った予測ではありません。未来洞察をする過程における気づきが大切なのです。洞察とは物事の本質を見極めること、見抜くことです。アハ体験なのです。」

こんな説明を先日あるワークショップの中でしました。ちょっと待ってください。「気づき」って何でしょうか?
株価のように予測が当たって嬉しいのは分かりますが、気づきは何が嬉しいのか分からないとなる方もいるのではないでしょうか。
私も「気づき」の体験は何度も経験してきました。
確かに未来の見え方が変わり、世界観が変わるのです。
でも、「それで?」と思いませんか?

このコラムでは、普段深く説明することなく通り過ぎてしまう「気づきが大切ってどういうこと?」を深掘りしてみたいと思います。


■気づきとは新たな可能性に気づくこと


気づきがあるとどうして嬉しいのでしょうか?

私は「自らの可能性に気づく」という言い回しをここ2年位でよく言うようになりました。
世界観が変わったとき、自分が暗黙に抱いていた前提が崩れ、まるで異世界にたどり着いたように異なる世界観が現れる。新しい世界の中で「もしかしたらこんなことが自分にもできるのではないか」と気づくのです。
気づく、というのは新たな未来の可能性に気づくことであると同時に、自らの新たな可能性に気づくということなのだと思います。

なるほど、自らの新たな可能性に気づけると、確かに良さそうです。でもまた新たな疑問が出てきます。「新たな可能性に気づくって何だ?」ということです。可能性に気づくと何が嬉しいのでしょうか?
「可能性に気づく」をもう少し解釈すると、自身のとり得る未来の選択肢が増える、ということなのだと思います。
つまり「これしかない」と思っていた状態から、「あれ」か「これ」かを選べる状態になるのです。

「可能性が増えるのは良いことなのか?」という疑問もあります。選択肢が多すぎると逆によくありません。
ただし、1つしかないよりは、2~3つの選択肢から選べた方が良いというのは、納得できるのではないでしょうか。


■選択肢が多すぎると困ることもある


話はそれますが、機動戦士ガンダムUCには、可能性の獣の象徴である「ユニコーン」の名称がついたガンダムが登場します。この作品のテーマが「可能性」なのですが、その中の一幕のセリフとして「可能性に殺されるぞ!」というセリフがあります。
このセリフについて考察されていた方がいらっしゃったので、深く知りたい方は下記リンクをご覧ください。


このセリフの意味は、「起きるかどうかわからない可能性にかけていると、自分の身を滅ぼすことになるよ。」ということを言っているのだと私は解釈しています。

つまり、可能性が増えること自体は良いことでも悪いことでもある、ということです。
さて、ここでさらにもう一歩、未来洞察で可能性に気づくことが悪いことであるならば、未来洞察を行う意味はあるのでしょうか?少なくとも可能性が1つしかない、と思っている人にとっては意味があるでしょう。
でも既に可能性がたくさんある人は?選択肢が多すぎるとうるさくありませんか?
たくさんの可能性を全て頭の中に入れて、持っていくなんてことはできません。


■大事なのは可能性の中に希望を見つけること


ですので、私は

可能性の中に希望を見つけることが最終的な未来洞察の意味

だと思っています。複数の選択肢の中に、自分がより望ましいと思った選択肢が見えてくる。その選択肢がドンピシャということは少ないでしょう。
でもどの選択肢が自分の求めていたものに近いかどうかを感じられるならば、少なくとも希望の輪郭が見えるようになったと言えるのではないでしょうか。複数の選択肢の良いところを統合した新たな選択肢を作っても良いですよね。

そうして、自分の希望という捉えどころのないものを、具体的な選択肢を照らしあわせながら、形作っているのです。

長くなりましたが、ここまでをまとめると、

未来洞察によって、気づきが得られ、世界観が変わる。世界観が変わると、自分の新たな可能性に気づき、選択肢が増える。そうすると選択肢の中に、自分の希望が見えてくる。

そういうことなのだと思います。

私たちが未来洞察をしましょう、とクライアントの皆さんや学生の皆さんに言って回っているのは、つまり、あなたの希望を一緒に形作って行きませんか?ということを言っているのだと私は思います。
未来洞察は外部の未来ばかり見ていると思われるかも知れませんが、実は洞察を実践される方の内的な未来のイメージを形作る行為でもあるのです。マニアックな話ですが、未来に関心を持った方々の何かの参考になれば幸いです。



この記事を書いた人
橘田
ゆとりと遊びに溢れた自然が好きです。隙間や端っこを見つけて、そこで落ち着く傾向があります。関心…子育て/世代間ギャップ/VR/サブカルチャー/美味しいもの/キャンプ/虫取り

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