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夫婦別姓をめぐる問題を解決するために提案する、たった一つの冴えたアイデア【私見】

1   はじめに

    今日のニュースで、夫婦同姓について合憲との最高裁判決が出されました。従来の判断が踏襲されたものです。憲法論では「個人の尊厳(幸福追求権)」や「法の下の平等(夫婦間の平等)」が問題になりますが、私は裁判所が『法』で解決することは難しいと思っているので、憲法論は脇に置いておきます。
    どちらかと言えば、私は『文化』の問題と考えているので、制度作りの視点で捉えたほうが良いと思います。夫婦別姓の問題を学生時代から考えてきた中で、自分なりに練っていたアイデアがあるので、この機にnoteに公開してみようと思います。

    長くなると思いますが、よろしければ最後まで読んでいただけると嬉しいです。


2   夫婦別姓を認めてよいか

    結論から言えば、私は「夫婦」は同姓であるべきだと考えます。たとえ選択制であっても、別姓を認めるべきではないと考えます。なぜなら、同姓であることが「夫婦」の象徴だと考えるからです。

   これは「結婚」をどう考えるかという問題とリンクしていると考えます。
   私は「結婚」の目的を『幸せな家庭を築くこと』と考えます。何が『幸せな家庭』なのかは、人それぞれの価値観に基づいた考えがあると思います。
  『幸せな家庭を築く』という共通の目的の元で「結婚」によって設立されるのが「夫婦(家)」です。「会社」を設立する際には、その会社を表す名前(商号)を一つ決めます。同じように「夫婦(家)」を設立するに当たって、その夫婦を表す名前(姓)を一つ決めるべきだと考えます。
   よって、「夫婦」は同姓であるべきだと考えます。

3   夫婦別姓の最大の問題点

    夫婦別姓の最大の問題点は『子供の姓をどうするのか』です。この問題については多くの方が指摘しており、色々なアイデアも出されていますが、選択的夫婦別姓推進派の中でも見解が分かれているように、難しい問題です。

おそらく裁判官が頭を悩ますのは、この問題だと思います(裁判する目の前のカップルの別姓を認めたら、そのカップルの間に産まれた子供はどうなるんだと)。
多くの離婚裁判や少年事件に携わった裁判官ほど、不憫に思える家庭環境にある子供たちを多く見てきているので、悩ましいのではないかと思います。

   「子供の奪い合い」になるような制度は、絶対に避けるべきだと思います。離婚する夫婦が「子供の奪い合い」をするのは仕方ありませんが、結婚している夫婦でも「子供の奪い合い」が起こる事態は避けるべきです。
    中には「兄弟姉妹バラバラの姓でも支障はない」と言い張る人もいますが、差別やいじめを招きかねない同じ家族内におけるグルーピングを、社会が率先して推奨すべきではないと思います。

    子供という字は「子に人が共にいる」と書きます。子は幼いほど弱い存在なので、大人が常に側について守らないといけないからです。
   だからと言って、子は親の奴隷ではありません。親から虐待を受けている子供を見つければ、社会(周り)にいる大人が助けるための行動をとります。親のために子が犠牲になるべきではありません。

「児童相談所虐待対応ダイヤル」がありますが、覚え方は189(いちはやく)です。「不幸」の連鎖が起こらないほうが良いです。
世の中には役割分担があるので、直接の行動はとれなくても、匿名で通報することはできます。

4   親の姓を引き継ぐこと

  「私はこの氏名で今まで生きてきたのに、好きな人と結婚するためとはいえ、氏が変わるのはイヤだ」「今の苗字に愛着がある」「氏名が変わるので、過去の業績が自分の評価から漏れるリスクがある」という気持ちや訴えはよく理解できます。
    少子化が進む中で一人っ子同士が結婚する場合に、一方の姓は消滅してしまっていいのかという問題もあると思います。

    私は、「夫婦(家)」の名前(姓)を決めるに当たって、結婚前の自分の姓と相手の姓の二択しかないことに問題意識があります。結婚すると夫婦だけの新たな戸籍が作られます。夫婦ともに今まで入っていた親の戸籍から追い出されますが、その際に「夫(又は妻)の氏を選択し…除籍する」という文言が記載されます。
    なぜこの二択でなければいけないのでしょうか。
   「家系」を繋ぎ保つためや「墓守」を担ってもらうためというのも分かりますが、一方の姓を捨てさせ、片方の姓に合わせる制度でないと本当に達成できないのでしょうか。

5   私が提案するアイデア

    私は、結婚届を出す際に、自分たち「夫婦(家)」に新たな名前(姓)を自由に付けることができる制度にすべきだと考えます。いわゆる「新姓(創姓)論」です。
   その上で、両者の家系を追えるように旧姓も残します。そのため「ミドルネーム創設論」と言われます。

   「ミドルネーム創設論」に対して、まず日本の伝統に反するとの批判がありますが、そもそも全ての国民に姓を名乗ることが認められたのは、明治になってからなので150年程度しかたっていません。
    由緒ある家系の方は、新姓も旧姓と同じにすればよいと思います(それを『幸せな家庭』と感じる相手と結婚すればよいです)。例えば、戸籍や住民票、マイナンバーカードには「徳川   徳川   家康」と記載されても、生活は全て「徳川家康」で過ごせるようにします。
    なお、「明智   惟任   光秀」のように、昔の日本では姓を二つ名乗ることがあったはずなので、伝統には反していないと思います。

    次に、戸籍等の整備に費用がかかりすぎるという批判がありますが、現在の戸籍は全て電子データ化されています。紙の時代なら大変ですが、現在ならシステム改修するだけです。
    民法と戸籍法を改正した後の結婚からミドルネームの対象にすればよいので、改修の時間は十分とれると思います。全国民を対象にしたマイナンバー制度ほど費用がかかるとは思えません。

    現在以上に旧姓使用を認めます。旧姓(親姓)と新姓(婚姓)のどちらも正式な姓にします。どちらか一方の姓の使用で、何ら問題ないことにします。例えば「明智光秀」のままでも、結婚を機に「惟任光秀」に変えてもどちらでもOKです。本人確認にはマイナンバーカードを使用するので、職場や免許証は「明智」で、通帳や保険証は「惟任」といった具合に、姓を使い分けできるようにします。
    子供の姓は新姓(親の婚姓)ですが、親が離婚した場合は、新姓のままか、親権をとった側の旧姓にするか選択できるようにします。

    文化として「定着」するのに時間がかかると思います(姓名診断する占い師が困りそうですが、良い姓を紹介する商売が流行りそうです)。
   反発は大きいと思いますが、ミドルネームを認めれば、夫婦別姓で提起された問題は全て解決するのではないかと思います。

裁判所の判決(司法)ではミドルネーム制度の創設はできないので、内閣(行政)と国会(立法)で決める必要があります。
明治以来の大改革であり、歴史に残る偉業になるのは間違いありませんが、改革に伴う反発がある割りに票と金にはつながらないと思います。割りに合わないので、誰も率先してやらないだろうとは思います。

6   おわりに

    以上が私見である「夫婦同姓を前提としたミドルネーム創設論」です。
    私が新姓(ミドルネーム)をつけるなら「鳳凰院」や「大神」とかいいなと思いますが、無難に互いの旧姓から一字ずつとって新姓にすると思います。自分たちが「結婚」することで築こうとしている『幸せな家庭』に相応しい名前を付ければいいと思います。
    憲法論では相手にされていませんが、文化・制度論として検討できるのではないかと考えます。

    選択的夫婦別姓に「賛成」か「反対」か以外の全く異なる方向のアイデアも、世の中には存在することを少しでもアピールできたらと思い、noteに書きました。私が提案するのはこの一つだけですが、世の中にはもっと良いアイデアがあるかもしれません。視野は広く持っておくべきです。


    長くなりましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


    

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