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【小説】「禁断の恋 オフィスラブで揺れる早川ケイと有能課長の関係」~後編

早川ケイは、早川三姉妹の長女で、大学卒業後に都内の某商社に就職した。彼女は国際部に配属され、そこで佐藤課長と出会った。佐藤課長は、ケイに仕事を教えてくれるだけでなく、優しく気遣ってくれる人だった。ケイは次第に佐藤課長に惹かれていった。

一方、ケイには彼氏がいる。やや遠距離恋愛している地方公務員の松本タカシだ。しかし、ケイと佐藤課長は不倫関係に陥ってしまう。そして、タカシにそれが知れるところになってしまった。

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「いいか。ケイ。おれは愛想をつかしたぞ!! それは浮気がどうとかじゃない。おれにウソを吐いたことが許せないんだ。チッ、商社のエリートと、地方公務員のおれでは比較にならないんだろう。道理で言えないハズだ。そいつがゆるせないんだよ!!」

「そ、そんなことではないのよ!」

「図星だろ! 二股かけて、おれをキープしてたってワケか。いい加減にしろよ! 調子に乗るんじゃねぇ!!」

タカシは激怒し、ケイと別れることを決めた。

ケイには彼を追う資格はない。そう思い、あきらめるよりほかになかった。

ケイはまだ社会人としての自覚もなく、友人にそれとなく相談しようとも考えたが、いつ、それが知れれば自分の居場所をなくし、また、佐藤にも迷惑をかけることになる。

そんな苦悶の日々だけがただ、過ぎて行く。

カンの鋭い次女のサキは、そんな姉のケイが佐藤課長と不倫関係にあること知らないワケがなかった。彼女は姉に対して、その関係を終わらせるよう説得にかかる。

「ちょっと、ケイちゃん、話があるよ。私、お姉ちゃんのことが心配で…」

「どうしたの?」

「ケイちゃんと佐藤課長の関係、知ってるんだよ。それでさ…」

「…。」

「お姉ちゃん、本当に大丈夫? あなた、松本さんのことも好きだったじゃない。それに、佐藤課長は既婚者なんでしょ…」

「でも、私、佐藤課長のことがホンキで好きなんだよ。タカシのことも大切だったけど…」

「だったって、なにそれ、、それってダメじゃない? 佐藤課長は既婚者でしょ? それに、あなたがやっていることって、本当に正しいこと?」

「でも、私たちはもうお互いを愛しているんだよ。それに、佐藤課長も奥さんと別れるつもりだって言ってたんだ」

さらに声を荒げるサキ。

「でも、それって本当? ケイちゃんが勝手に信じてるだけじゃないの…そんなん、モテ男の常套手段じゃないの?? しっかりしなよ、学生じゃあるまいし。男に免疫なさすぎじゃん」

「でも、私たちはお互いを信じているんだよ。それに、私たちが幸せになれるなら…」

「でも、本気だとしてもだよ。それって他人を傷つけることじゃない? あなたがやっていることって。お姉ちゃん、落ち着いてよ、もう」

「あ、うん。ちょっと頭を少し冷やしてみる・・・」

佐藤課長から何度かLINEに通知が来ていたが、それを未読のままにしておいた。すっかり食欲もなく、ときにはもどしたりもしていた。

それから数日後。慌てて、レイが部屋のドアを叩く音がする。

妹のレイが大学の友人から聞いたびっくりするような話があったという。レイの友人ミユキが社会人商社マンとの合コンに参加したら、イケメン男性陣が現れたらしい。その合コンは銀座のコリドー界隈で行われたとのこと。ミユキとその友人たちは男性らから声をかけられ、名刺をもらったそうだ。

レイはミユキの話を聞いて、咄嗟に「大手商社って、もしかして姉の会社関係?」と思い、友人らが撮影した合コンのスマホに格納してある集合写真をケイに見せて確認してみた。

するとケイは驚いた声を出した。

「間違いない。これは佐藤課長だ!」

佐藤は既婚者でありながらケイにアプローチし、それに飽き足らず、他の女子大生たちとも遊び回っていたのだ。さらに、左の薬指には結婚指輪もなかった。

妹のレイも驚きながらも、「えっ、まさか」と言葉を失った。

ケイはショックで何も言えずにいた。

「結局、私の何に興味を持っていたのかしら・・・」

レイ「……..」

茫然としたケイは、突然、大声を張り上げて奇声を発してしまう。

「ちくしょう! こんな男だったのか。くっ、これはタカシを裏切った罰だ」

ケイは初めての失恋が酷くて苦しく、こんなにも愚かなものだったと思った。

「お、お姉ちゃん。。。。」

まだ、佐藤の妻には知られていなかったのが救いだったのか。その夜、ケイはメイクも落とさずベッドに落ち、泣きはらすまでに泣き、その悔しさと、一人で舞い上がっていた自分をたしなめていくしかなかった。サキにもレイにも姉として、それは黙っていた。むろん、母にもである。それが彼女の矜持(きょうじ)でもあったのかも知れない。

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紅葉の時期は、日本各地で美しい景色が広がっている。風情のある紅葉の美しさは、季節の変わり目を感じさせてくれるだろう。

「なんて、きれいで、それでいて厳かで・・・派手さはないのに印象強く映るのかしら」

ケイは、そうした紅葉の美しさに心を奪われながらも、不倫や裏切りの痛みに苦しみもがいていた。彼女は、自分が一方的に愛していた人と別れたことを悔やみ、心が折れそうになっていたことは言うまでもない。しかし、彼女は前を向き、新しい人生を歩むことを決意しようとしていた。彼女は、自分自身に嘘をつかず、真実を受け入れることで、少しずつ前進していくことができると信じている。

翌朝。

佐藤のLINEをブロックして、会社に赴き、国際部の同僚にも本当の理由は告げずに、人事へと退職願を提出する。退職届では無礼にあたるだろう。

引き止められるのも構わず、業務の引継ぎを速やかにして、翌月、彼女は会社を去った。

不倫のリスキーさと、男の本性を知ったケイ。勤務した会社に別れを告げた10月の末。社会人としてまだ2年にも満たなかったが、どんな場所でも良いから、アナウンサーとして再起を図ろうと願っている。残された猶予はあまりないが、ケイはそうすることでしか自分自身の未熟さから卒業できないと確信している。転職はそうそう甘いものではないだろう。しかし、それに向かっていく努力を怠るほどの姉ではない。サキとレイは黙って彼女の背中を見守っていた。。。


ハロウィンも過ぎ、年の瀬も迫り、クリスマスを迎えようとしていた。
大好きなロゼワインや食事もかなり控えめにしていた。
アナウンサーに転職するためには、大手民放の「キー局」の試験は、1000倍を超える高倍率にのぼることもめずらしくない。 一般的には、4年制大学からテレビ局などに就職するのが通常である。 また、スキルとしては、正しい敬語・言葉遣いと発音・滑舌のよさ、アナウンサーとしてのキャラクター、自己管理能力が求められる。未経験からアナウンサーに転職する方法もあるが、とてつもなく競争率が高く狭き門。条件も破格の厳しさだ。

ケイは、短期間集中で、アナウンサーとしての再起を図るために、転職活動を開始する。アナウンサーとしてのスキルを磨くために、様々なトレーニングや勉強会に参加した。インフルエンザで高熱を出しダウン。
それでも不撓不屈の意思で、ためらわずに迷わずにケイは誰とも口も利かずに不眠不休での勉強に向かう。発声練習。語学の反復練習。活舌の訓練。
体力面での特訓としてジム通いも欠かさない。

しかし、奇跡が起こった。
ケイの商社の国際情報部での経験や、少なからず芸能関係でのバイトの経験も生かされた。バレエやピアノの能力もだ。そして、ひょんなことから書いた私小説が評価を得て、ついに彼女は念願のアナウンサーの仕事を手に入れたのだ。都内メジャー局ではなかったものの、視聴者にニュースや社会情勢を伝えられる仕事は天職ではないかと自負している。

彼女は、そっと見守ってくれてくれたサキとレイに感謝しながら、新しい人生をスタートさせるのだった。


「もう、過去は振り返らない。心機一転。みんなに喜んでもらえるような恋をしよう。それから全力で仕事をするぞ。イチからやり直しだ!」

「サキちゃん、ケイ姉ちゃん、立ち直ったみたいで良かった。最近すごくいい顔してるよね」

「そりゃ、そうだよ。私たちの一番頼れるお姉ちゃんだよ。私たちも後に続かなきゃだよ」

「うん!! そうだね」


(1) 【小説】「禁断の恋 オフィスラブで揺れる早川ケイと有能 .... https://note.com/shin640815/n/nb2859fde1d47.
(2) オリジナル作品・創作・小説|Jun Tachibana ... - note(ノート). https://note.com/shin640815/m/med3643999c10.
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