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アルコール、カフェインと片頭痛

今日のポイント

  1. 片頭痛のある人はアルコールで頭痛が生じやすい

  2. カフェインの習慣的な摂取は片頭痛のリスクを高める

  3. 個人差が大きいため、自身の経験則も大切にすると良い

参考文献
[Lancet Neurol. 2022 Oct;21(10):911-921.]
[Headache. 2019 Oct;59(9):1566-1581.]

本文

片頭痛患者さんの多くが「頭痛の原因になるかもしれない」と考えて、1種類以上の食事や飲料を避けて生活していると言われています。また、多くの webサイトで片頭痛患者さんが避けるべき食事や嗜好品が挙げられていたり、医療機関でお配りしている片頭痛患者さん用の説明用紙にも、同様の記載があったりします。しかし果たして、それらの食事や嗜好品は本当に避けるべきなのでしょうか。今日は嗜好品の中でも代表的なアルコールとカフェインについて、片頭痛とどのように関係するのかお話ししたいと思います。

まずアルコールですが、片頭痛がある人は一般の人に比べると少ないアルコール量でも二日酔い頭痛が起きやすいことが分かっています。そのためか、片頭痛患者さんの多くは受診時点ですでにアルコールを摂取していないことが多いです。外来で実際に患者さんに伺ってみると「なんとなくお酒が好きじゃない」と仰ることが多い印象です。では、片頭痛患者さんで飲酒している人はどうすべきでしょうか。実は、禁酒しても必ずしも片頭痛が良くなるわけではないと言われています。ですので、適量で楽しめているのであればそれで良いのです。ただし、お祝いの場などで、ご自身にとって普段よりかなり多い量の飲酒をすると翌日頭痛が起きやすいことが報告されていますので、飲み過ぎにはご注意を (片頭痛がある人に限らない話ですが・・)。

次にカフェインです。カフェインと片頭痛の関係は色々言われていますが、今回参考にした論文では、以下のように述べられています。
 1. カフェインの習慣的な摂取は片頭痛の発症リスクを高める
 2. カフェインの習慣的な摂取を中止するとカフェイン離脱性頭痛が生じうる
 3. カフェインの推奨摂取量は 1日およそ 400mgまで
我々の生活からカフェインを完全に除去することは難しいですし、またカフェイン摂取を中止するとなると、離脱性頭痛が生じるリスクもあります。人によってはカフェイン摂取を中止することのストレスがとても大きいという人もいらっしゃるでしょう。そのため、明らかにカフェインが悪いという経験則がある人でなければ、常識的な範疇でカフェインを摂取する分には OK とされています。ただ、過剰なカフェイン摂取は片頭痛のリスクになるとのことですので、コーヒーや緑茶の飲み過ぎには注意しましょう。

アルコールとカフェインは片頭痛と関連すると考えられている食事生活要素の中で、最もエビデンスが多いものです。しかしそれでも、ご自身にとって明らかに悪いということがなければ、摂取しすぎには注意しましょう、程度のことなのです。片頭痛の誘因となる食事や嗜好品はいろいろ言われていますが、個人差が大きいとされています。ご自身の経験で明らかに良くなかったものは避けていただき、それ以外はあくまで参考程度、くらいに考えていただけると良いと思います。

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