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フィットネス愛好者は現地での参加を求めている。ClassPassの最新レポートから

こんにちは、株式会社Pit-Stepの御前です。
ジムレルというジム友マッチングアプリを開発しています。
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今回は、スポーツ・フィットネスにおけるシェアリングサービスとその現況についてお話しします。今回紹介するのは、ClassPass(アメリカ)牛々成長(中国)の2つです。

ClassPass(アメリカ)

ClassPass』は、フィットネスジムにサブスクで通うことのできるサービスです。2013年にスタートし、2020年1月には310億円を資金調達しユニコーン企業になりました。日本で同様のビジネスモデルを展開しているサービスとしては『Nupp1』があります。

ClassPassは海外マーケット進出に力を入れているとともに、法人向けプログラムも展開しています。従業員が利用した場合に雇用者が助成するという、少しユニークな方式を採用しているそうです。

同社は現在28カ国で展開しているが、海外マーケットでの成長が最優先事項だった。小さなスタジオやジム、ウェルネスサービスを含む3万超のパートナーと提携している。

(中略)ClassPassは法人が従業員のClassPass利用を助成する法人向けプログラムを導入した。このプログラムでは各従業員が使用するかどうかに基づいて雇用者が助成するというもので、これは他の法人向けサービスと異なっているとCEOのFritz Lanman(フリッツ・ランマン)氏は話す。

2021年7月1日時点で、ClassPassの展開先は30カ国、パートナー数は4万、法人向けプログラムの導入先企業は2千超とされています。

上記を見ても、2020年時点で、Google、Facebook、Morgan Stanley、Goldman Sachs...など錚々たる大手企業が法人向けプログラムを活用していたようです。海外マーケット & 法人向けと、一気に「面」を取りに行って成功したことで、ユニコーン企業になれたことが伺えます。

ClassPassはウェルネス事業者を取り込みながら提供するサービスを拡大している。共同創業者のPayal Kadakia (パヤル・カダキア)氏は、会社を興す当初からユーザーが新たな体験を見つけて楽しむことができるポータルとしてのClassPassを描いてきた。この考えはフィットネスを超えたものであり、ClassPassの次のターゲットはウェルネスだ。

驚くことに、ClassPassは創業当初から「ユーザーが新たな体験を見つけて楽しむことができるポータル」を目指していたとのことです。Amazonの "Everything Store" 構想に通ずるところがありますね。瞑想クラスなどウェルネス領域にも進出することで、TAMを広げています。

一方で、COVID-19の影響でゴールドジム(アメリカ)が破綻したというニュースも会ったとおり、昨年はオフラインのフィットネス業界にとって受難な年になりました。2021年7月現在、アメリカではCOVID-19ワクチン接種が進んでいますが、ClassPassの現状はどうなのでしょうか?

上記によれば、米国のClassPass会員の93%が、完全または部分的に予防接種を受けていると回答しています(レポート作成時点)。興味深いことに、コネクティッドフィットネス先進国であるアメリカでも、現地でのクラス参加を希望している人が多数を占めています。また、今年に入って友人をクラスに招待するユーザーが増加したことから、人々の「より一緒にフィットネスをしたい」欲求が強まっていることが示唆されます。

・予約を受け付けている体験のトップ10のうち、デジタル体験は1つだけ(それ以外のユーザーは、現地でのレッスン / 体験の予約を選択)
・2021年1月以来、友人をクラスに招待するユーザーが64%増加
・2021年5月には、友人をクラスに招待したユーザーが
ロックダウン前以来最大を記録

また、現地のクラスに参加する動機を調べた所、精神衛生面・追い込みやすさ・ルーティン化のしやすさの3点で、ユーザーはリアル参加を選択していることが分かりました。家でフィットネスができるPelotonが流行っている国で、これは中々の衝撃です...

・60%の人が、自宅でのデジタルトレーニングよりも、対面式のクラスやアポイントメントの方が精神衛生上良いと回答
・5人中4人が、自分一人で行うよりクラスで自分を追い込めると回答
・67%の人が、スタジオでのレッスンの方が日課を続けやすいと回答

あくまでフィットネス人口の多いアメリカの数値ではありますが、今後日本でもCOVID-19ワクチンが普及した後、同じ反動が来ることも十分予想されます。特に、緊急事態宣言化では健康に対する意識が高まったとも言われていますので、なおのことです。ClassPassについては、今後も注目していきたいと思います。

牛牛成長(中国)

筆者が個人的に気になったサービスに、中国の『牛牛成長』があります。牛牛成長は、2018年にスタートした「出張型児童スポーツ教育プラットフォーム」ですが、そのビジネスモデルに大きな特徴があります。

牛牛成長は2018年にソーシャルEC「拼多多(Pinduoduo)」のような共同購入型モデルと、民泊仲介サービス「Airbnb」のような都度活動場所を選択するモデルをかけ合わせた手法で児童向けスポーツ市場に参入。

「空きスペースを予約して友達とスポーツをやる」だと普通のアイディアですが、ソーシャルを活用してスポーツ仲間を募るという要素は、今後さらに熱狂を生んでいきそうです。中国EC界でアリババの成長率を凌駕した拼多多のモデルは、フィットネス含め他業界でも有効そうですね。

具体的な利用方法としては、保護者が牛牛成長のミニプログラムから、近所でスポーツ教室ができそうな広場を確認して体験レッスンの実施を呼びかけ、他の参加者を募る。希望者が集まりレッスン実施が決まったら、担当コーチを派遣して指定の場所でレッスンを行うというものである。

これは分かりやすいですね。ジモティーのような掲示板を、児童スポーツに特化させてモバイルアプリ化したような形でしょうか。似たようなモデルだと、旅行の企画を立てて参加者を募集するTrippieceというサービスもありますね(筆者は3回ほど利用しました)。

牛牛成長は独自のレッスン内容と使いやすいプラットフォーム取引メカニズムにより、まず上海で急速に拡大。その後事業は広東省の深圳市や広州市、四川省成都市へと展開を広げ、生徒の総数は5000人を超える。

牛牛成長は(UberやAirBnBの初期のように)エリアを一都市に限定して検証・拡大、その後ほかの都市に展開する戦略をとっています。また、プラットフォーム自体は真似されやすいものですが、レッスン内容で参入障壁を築いていきそうです。一方で、5000人という生徒数は、中国の人口を考えると、まだまだ伸びしろがあるのではないでしょうか。なお、牛牛成長は昨年、シリーズAで数億円を調達しており、さらなる事業拡大が期待されます。されます。

今回のまとめ

日本でサービスを立ち上げる際のヒントにもなりそうだと感じました。
こういうサービスも面白かったよ!とコメントある方は、ぜひ御前のtwitterまでお知らせください!

株式会社Pit-Step 御前

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