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悲愴

最近、コンサートが続いている。

昨日はすみだトリフォニーホールへチャイコフスキーの交響曲第6番〈悲愴〉を聴きに行った。

オーケストラは新日本フィルハーモニー交響楽団。

指揮者は、オランダ在住でヨーロッパで活動している50代の女性指揮者、阿部加奈子氏。

彼女が指揮する演奏を聴くのは初めてだった。


現代音楽のスペシャリストとしてヨーロッパを中心に活躍しているというだけあって、細部にわたって非常に丁寧に音楽が作られ演奏されていた。


有名なロシアの作曲家、チャイコフスキー。


チャイコフスキーは、この悲愴交響曲の初演を指揮した9日後に53歳で急逝している(1893年)

静かでゆったりとした演奏から、突然雷が落ちたかのような激しくスピーディーなテンポへの緩急等、オーケストラも指揮者の意図を汲み、表現力のある素晴らしい演奏だった。

第4楽章の後半では、奈落の底にゆっくりと、かつ美しく落ちていく様が見事に表現され、私は鳥肌が立ちそうになった。

こんな風に美しく静かに息を引き取ることが私の理想だとも思えた。

演奏終了後、指揮者は感極まったのか30秒ほど指揮棒を下すことなく、観客も音楽が完全に終わるのを静かに待った。

その後、観客からの力強い温かい拍手が長く続いた。今回のコンサートの成功を表していたのではないかと思う。

もしかしたら、個性的な演奏で好みが分かれたかもしれないけれど、私にとってはとても衝撃的で心惹かれる演奏であった。

阿部加奈子氏のX(ツィッター)を覗いたら、自ら大阪のオバチャンと称していて親近感が沸いた笑。彼女の指揮する演奏会、機会があったらまた聴きに行ってみたい🎵

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