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久々に読んだ本『土葬の村』

土葬と聞いて真っ先に思い出すのは
江戸川乱歩の「パノラマ島奇譚」。
こんにちは、じゅんぷうです。

『ザ・グローリー』シーズン2も
配信と同時に一気見、
一方で毎週リアルタイムでドラマを見るという
胸躍る楽しみを蘇らせてくれた
『ブラッシュアップライフ』も終了、
頭の中はまだ『タイタニック』乗船中ですが
ちょっと一息ついて読書のターン。

久しぶりに書店で目について購入した本、
それが『土葬の村』です。
2021年刊行のルポルタージュ。

わたしの関心や探求の傾向を
noteを通じて把握している方も
いらっしゃるかと存じますが
ここ半年ほどを振り返っても

・日航機墜落事故
・朝鮮戦争
・脱北
・タイタニック沈没事故

そして今、土葬です。

著者による切り絵の表紙がまたいい

もともと日本では
庶民には土葬が一般的でしたが
宗教や環境問題もあって
時代により推奨がまちまちだったのが
やはり衛生問題と、火葬施設の近代化で
1970年代からぐっと火葬が全国的に。
それでも2000年ごろまではまだ
土葬の地域がわずかながら残っていて
それが10年ほどの間で急激に消えていった。

現在では99.9%が火葬で
わたしも実際土葬のお葬式は目にしたことも
周囲から聞いたこともありません。

市川崑監督『獄門島』の
「このへんはどこでも土葬であった」とか
冒頭に書いた『パノラマ島奇譚』での
墓を暴くシーンとか
上の画像の表紙のような
野辺送りのシーンを昔の映画やドラマで見たり
時代劇や落語の描写でうっすらと
土葬というものを認識している程度。

座棺も知識としてはありましたが
土葬をする、ということは
亡くなった人の家族
そして地域の共同体
それぞれが何をどうしなければならないのか
そのプロセスまでは想像していませんでした。

近年まで土葬が行われていた地域での
著者の聞き取り調査からなるこの本は
初めて知る土葬のほか
さまざまな弔いの風習についての
興味深いエピソードばかりでした。

〈土葬にはしきたりがいろいろあるが
ムダをたくさんすることが故人の弔いになる〉

家族や共同体、たくさんの人が手をかけ
時間をかけムダをすることで
死者と向き合い送り出す。

人が自宅ではなく
病院で亡くなるようになっていった時点で
そうした弔いは過去のものになったのですね。

コロナによってますますお葬式の在り方は
変わってきているし
わたしもいつか自分が送られるときは
できるだけコンパクトでいいやと思っていました。

わたしは風になりたいのか
それとも土に還りたいのか
どっちだろう?

・Kindle版


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