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国連「私たちの共通アジェンダ政策要綱10 教育の変革」(仮訳)

この文書は2023年5月にグテーレス国連事務総長名で提案された政策要綱「私たちの共通アジェンダ」の一つです。現在、世界中でこの提案の検討が行われています。全部で11あり、それらはこちらのサイトからダウンロードすることができます。

ここに掲載するのは、そのうちの教育に関わる文書「教育の変革」です。仮訳なので、適宜修正を加える予定です。(なお、表1は未訳出ですが、いずれ訳を追加したいと思います。)また、読みやすいように原文よりも改行を増やしています。

この報告書は、SDGsと教育の関係について言及しており、これはすなわち新たなESDの方向を提案していると言ってもいいでしょう。ESDは日本の学習指導要領の土台に位置づいていることを考えると、日本の教育にとっても大きな意味を持つと考えられます。


序文

私たちが直面している課題は、より強力な国際協力によってのみ対処可能である。2024年に開催される「未来サミット」は、現在と将来の世代の双方にとってグローバルガバナンスを強化し、より良い明日のための多国間解決策に合意する機会である(総会決議76/307)。私は事務総長としての立場から「私たちの共通アジェンダ」(A/75/982)と題する私の報告書に盛り込まれた提案に基づき、行動指向の提言という形で、サミットの準備に向けた提案を要請されている。この政策要綱は、そうした提案のひとつである。

これは、加盟国からのその後の指針や、1年以上にわたる政府間協議およびマルチステークホルダー協議を考慮しつつ、国際連合憲章、世界人権宣言およびその他の国際文書の目的と原則に根ざし、「共通のアジェンダ」で最初に提案されたアイデアをさらに詳しく説明するものである。

要綱の目的

教育、知識、学習は個人の尊厳、成長、発展の中心である。何世紀にもわたり、教育は偉大な平等装置であり、国家建設の原動力であり、社会的、文化的、経済的、技術的進歩の原動力であった。しかし今日、公平性と妥当性という2つの危機に見舞われ、私たちが知っているような教育は、もはや目的にそぐわなくなっている。

かつてないほどの豊かさと深刻な不平等を背景に、教育関連の持続可能な開発目標やターゲットに向けた進展は停滞している。何億人もの子どもたちや若者たちが、依然として学校に通っていない。学校に通っている数十億人の子どもたちは、基本的な知識すら身に付けていない。女児は教育における差別を受け続けており、他の地域と同様、最も脆弱で周縁化された人々、とりわけ低所得層、障害者、先住民族、移民、難民、避難民が最も大きな打撃を受けている。その一方で、教育資金における世界的な不公平が、低・中所得国が追いつくことをほとんど不可能にしている。

さらに、私たちの世界が、急激な技術革新や、気候変動という存亡に関わる課題に直面し、二極化、不確実性、不信感が高まる中、現代の教育制度の妥当性そのものが、かつてないほど問われている。ほとんどの場合、教育制度は子どもたちや若者たちが大人になるための準備をするためのものであり、子どもたちやあらゆる年齢の学習者が生涯を通じて学ぶ能力を身につけることを支援するものではない。教育制度は依然として暗記学習に根ざしており、生徒が不確実な未来で成長する方法を学ぶのを支援するのではなく、社会が必要と考えることを生徒に教えることに重点を置いている。場合によっては、教育システムが、不平等や分断、環境破壊を助長する有害な固定観念や慣習を強化することで、私たちの共通の目標に逆行していることさえある。

教育における公平性とレリバンス(妥当性)というこの2つの危機は、個人の権利、各国政府、さらには国際社会全体にとって、甚大な影響を及ぼす。モノ、サービス、資本、そして人の移動がますますグローバルになり、デジタルとグリーン(環境)の移行が私たちの集団行動を緊急に求めるようになるにつれ、世界のあらゆる場所に住む人々が、進化し続ける知識、技能、能力を保有する必要性も高まるだろう。すべての人が市場や不確実な未来に備えることができるよう、教育システムをグローバルにリセットすることに失敗すれば、2つの速度を持つ世界をさらに定着させ、不平等を深め、世界の不安定性を悪化させるリスクがある。

『私たちの共通のアジェンダ』に概説されているように、私たちの世界は、破綻か躍進かという厳しく緊急な選択を迫られている。どのように学ぶか、何を学ぶか、いつ学ぶか、どこで学ぶかを見直し、持続可能で公正な未来のための新しいスキル、能力、考え方を社会に備えることで、すべての人にとってより良い未来への突破口を開くために必要な原動力を生み出すことができる。

要するに、世界を変革するためには、教育システムそのものを世界中で変革しなければならないのである。教育の変革サミットと教育の未来に関する国際委員会の報告書を踏まえ、本政策概要では、現在の教育の危機をより詳細に検証し、教育を変革するための各国と国際社会のビジョンと指針となる一連の行動を提示している。最後に、「未来のサミット」に向けて加盟国が検討すべき、2つの包括的な提言で締めくくっている。

a) 2030年アジェンダおよび2022年教育変革サミットでのコミットメントを履行し、「未来のための協定」において、以下の6つの原則を中心とする学習社会創出のための新たなビジョンにコミットする。
i) 不確実な世界において、教育と生涯学習の統合システムを構築する。
ii) 教育における、また教育を通じての公平性、アクセス、インクルージョンの確保。
iii) 教育課程と教育法を今日と明日に適したものにする。
iv) 教員が学習プロセスにおいて創造的なガイド役、促進役としての役割をますます果たすよう、教職の位置づけを変える。
v) デジタルツールとリソースを活用し、アクセスを拡大し、学習を改善し、未来を切り開き、デジタルデバイドを回避する能力を高める。
vi) 教育への投資をより多く、より公平に、より効率的に行う。

b) 教育と生涯学習をグローバルな公共財として認識し、持続可能な開発目標4を達成しつつ、教育への投資と変革のための国際協力を活性化する。

教育の変革は持続可能な開発と国連の広範な目標に貢献する

教育は国連の活動の中心である。包摂的で公平な質の高い教育を確保し、すべての人に生涯学習の機会を促進することは、持続可能な開発目標4の包括的な焦点であると同時に、17の目標すべてを達成するための基本でもある(下表参照)。教育はまた、社会から疎外されたグループ、先住民族、マイノリティ、難民やその他の強制的避難民、障害者などにエンパワーメントを与えることによって、誰一人取り残さないという2030アジェンダの定義原則に応えるための極めて重要な手段でもある。さらに、教育は、社会的、経済的、環境的正義の追求において、個人や社会が積極的な主体となる力を与えるために不可欠である。

教育は、1948年12月10日に総会で批准された世界人権宣言の下で人権であると宣言された。教育を受ける権利は、経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約や、その他いくつかの国際人権文書で再確認された。現在までに、107カ国が自国の憲法に教育の権利を明記している(1)。

教育は、女性と女児のエンパワーメントと、持続可能な未来に不可欠なジェンダー不平等の抜本的是正に向けた最も効果的な戦略のひとつであり、2023年3月に開催された女性の地位委員会第67会期の主要な焦点であった。世界銀行によると、中等教育 を修了した女児は、より健康で豊かな大人になるための資質が 高く、少人数の家族で、子どもたちは病気や死のリスクが少なく、 成功する可能性が高い(2) 。さらに、ジェンダー平等の視点を教育システムに取り入れることは、有害なジェンダー規範や固定観念に取り組 むことに役立ち、男児、女児、そして広く社会の利益になる。

包括的な人間の多様性を認め、違いを理解し尊重し、紛争に立ち向かい解決する能力を個人的にも集団的にも高めることにより、質の高い教育は、平和の促進、構築、維持に不可欠な要素でもある。これは、平和の維持、平和文化の促進、青少年と平和および安全保障に関する国連決議でも認められている。教育もまた、紛争の影響を深く受ける可能性がある。
2022年には、世界全体で約2億2,200万人の学齢期の 子どもたちが危機の影響を受けた(3) 。2020年1月から2021年12月までの間に、教育に対する攻撃や学校の軍事利用が5,000件以上あり、85カ国で9,000人の生徒や教育者が誘拐、逮捕、負傷、殺害された(4)。

教育はまた、将来のリスクを予測し、予防し、管理するための鍵でもある。このことは、意思決定への有意義な若者の参画の促進、将来世代の権利の保護、情報の完全性の確保、グローバルデジタル協定の策定など、未来サミットの文脈で検討されている多くの課題と教育との関連性にも反映されている。

表1 教育の変革と持続可能な開発目標

岐路に立つ教育

教育は、持続可能な開発目標を達成し、より広範な社会的課題に立ち向かい、不確実な未来に向けて社会を準備する上で、極めて重要な役割を担っているが、現代の教育制度はもはや目的に適合しておらず、深刻な資金不足に陥っており、公平性とレリバンスという2つの危機に瀕している。

公平性の危機


第1の教育危機は、学習機会からの持続的かつ広範な排除に根ざした、公平性とアクセスの危機である。最近、世界的に教育へのアクセス全般の拡大が進んだにもかかわらず、コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行、複数の武力紛争、気候変動、景気後退、それに伴う移住などの影響は、持続可能な開発目標4の達成に向けた進展に大きな影響を与えている。

現在、約2億4,400万人の子どもたちが学校に通っておらず、その中には学齢期の難民の子どもたちの半数近くも含まれている(5)。国際労働機関によると、若者の4人に1人が教育、雇用、訓練から排除されている。国連教育科学文化機関(ユネスコ)統計研究所のデータによると、7億7,000万人以上の若者と成人が読み書きができず、その大半が女性である。

サハラ以南のアフリカ、北アフリカ、西アジ アでは、就学前教育を受けられる子どもは全体の約半数 にすぎない(6) 。学校へのアクセスだけでなく、学校 に通っている子どもたちの多くは、創造的、批判的、科学的思考 や、デジタル、社会的、情緒的スキルはおろか、基礎的な識字 能力や計算能力といった必要な基礎を身につけていない。

学習貧困(10歳までに簡単な文章を読んで理解できな い子どもの割合と定義)は、パンデミックの間、低・中所得国で 58%から70%に悪化したと推定されている(7) 。全体として、たとえ各国が持続可能な開発目標4の国別ベンチマ ークを達成したとしても、2030年には推定8,400万人の 子どもと若者が学校に通えなくなり、推定3億人の生徒が、 人生で成功するために必要な基本的な数字能力と識字能力 を身につけられないだろう(8) 。

不公平、排除、効果的な学習に関する課題は、複雑で、しばしば相互に関連する問題の結果である。教育の中核的・付随的費用を支払う能力、栄養不良や健康状態、ジェンダーに基づく規範の影響など、個人的・社会的環境は、就学と成果の両方に大きな影響を及ぼす可能性がある。教育的排除はまた、世代間や歴史的なものである可能性もある。実際、子どもたちや青少年の教育成績の主な予測因子のひとつは、その家庭の責任者である大 人の収入と就学状況である。ユネスコ(9) によれば、持続可能な開発目標4を達成するためには、世界全体で少なくとも6,900万人以上の教員が必要である。にもかかわらず、公的セクターの賃金に対する財政抑制が蔓延しているため、削減や凍結が行われ、質の高い教員の新規採用が著しく妨げられている(10) 。

質の高い教育へのアクセスにおける格差は、教育への投資不足と不平等な投資にも深く関係している。世界教育モニタリング報告チームの最新データによると、低・中所得国 は、2030年までに持続可能な開発目標4の目標を達成するために、 年間970億ドルの資金ギャップに直面している(11) 。このギャップは、富裕国と貧困国の間の教育支出における劇的な不公平を反映している。下図で強調されているように、高所得国は世界の教育投資の63%を占めるが、学齢人口のわずか10% にすぎない(12) 。このことは、学習者1人当たりの投資額という点では深い不平等につながる。1人当たりの教育支出は、高所得国では年間8,000ドル以上であるのに対し、低中所得国ではわずか300ドル、低所得国ではわずか50ドルにすぎない(13)。

今日の教育財政格差は、多くの開発途上国が直面している、公的収入への厳しい圧力と劇的な財政制約を反映している。
特に、世界の極貧層の半数が住む52の開発途上国が、深刻な債務問題に苦しんでいる。最近の調査によると、重債務貧困国25カ国は、対外公的債務を返済するためだけに、公的歳入の20%以上を費やしている(14)。同時に、長期的な投資決定を見送り、短期的な経済的・政治的目標を優先せざるを得ないトレードオフに直面する政府もある。発展途上国の中には、低賃金によって、熟練労働力をほとんど必要としない、洗練されていない、生産性の低い投資を誘致しがちな、低水準の均衡や貧困の罠に陥っている国もある。しかし、財政余地を拡大し、教育と保健のための予算を大幅に増やすには、対GDP税比率を高めることが重要である(15)(16)。

国際通貨基金(IMF)は、ほとんどの国でこれが可能であることを示唆している。しかし、経済的・政治的な力学によって、意思決定が富裕層に偏り、逆進的な税制が再強化され、すべての人に質の 高い教育を提供する国家の能力がさらに弱体化することが多い(17) 。国連児童基金によると、低所得国では、公教育資源のわずか 11%が学習人口の最貧困層20%に使われ、42%が最富裕層20%に使わ れている(18) 。

教育分野における国際社会からの大規模な支援が不十分であることも課題である。経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会によると、ほとんどの高所得国は、政府開発援助全体のコミットメントを達成していないだけでなく、教育に対するドナー支出は、ニーズが大幅に増加しているにもかかわらず、2018年以降ほとんど横ばいのままである。今日、教育への援助は援助支出全体のわずか8%、世界の人道資金の3%を占めるにすぎない(19)。加えて、低所得国への援助は全体の20%程度に過ぎず、援助国の優先順位は実に多様である(20)。最近、「教育のためのグローバル・パートナーシップ」の86のパートナー国を代表する教育相は、教育援助資金調達アーキテクチャを強化するために、「外部援助を調和させ、各国の優先事項や公約に整合させ、分断をなくし、取引コストを削減することによって、国主導の変革」を呼びかけた(21)。

レリバンスの危機

公平性の危機と並んで、レリバンスの深刻かつ深い危機が、急速に変化する世界において、個人、社会、経済の学習ニーズに応える現代の教育システムの能力を疑問視している。
教育の未来に関する国際委員会(International Commission on the Futures of Education)の分析やその他の情報源から、相互に関連する4つの主要な世界的潮流が、私たちが知っているような教育制度の根本的な改革の必要性を強調している。

第一に、急速に変化する仕事の世界は、教育の「何を、どのように、いつ」行うかについて大きな問いを投げかけている。自動化、人工知能、ギグ・エコノミーの出現は、すでに仕事の世界に大きな構造的影響を及ぼしており、大幅な雇用離職や、より脆弱で一過性の労働力の出現を引き起こす可能性がある。また、これらのトレンドは、新たな再生可能なスキルセットを求め、仕事と余暇の関係を大きく変化させる可能性がある。教育制度はこのような変化への備えが不十分である。ユネスコの報告書によると、2022年には159カ国の70%以上がこの分野での進展を報告しているにもかかわらず、2019年には15歳以上の人口のわずか5%しかインフォーマルまたは非正規教育に参加していない(22)。

さらに、雇用主は、職業教育や高等教育プログラムの卒業生が、仕事の世界で必要とされるスキルと大きくミスマッチしていると報告している(23)。暗記学習や、社会が必要と考えることを生徒に教えることに重点を置いた教育が続くことは、生徒がどのように学び、どのように行動し、どのように共に生き、どのように充実した有意義な人生を楽しむかを学ぶことを支援するのではなく、生徒が将来成功する能力を損なうことになる。

第二に、デジタルの時代と強力な人工知能の開発ペースは、教育や研究にとって変曲点を意味し、重要な新しい地平を開くと同時に、まだ十分に理解されていないリスクもある。この問題に関する議論は、しばしば両極端に分かれる。教育テクノロジーとデジタル学習は、教育格差を根本的に縮小し、膨大な教育資源へのアクセスを増加させ、学習成果の向上を支援する可能性があると指摘する者もいれば、学習者一人ひとりの成長をより深く洞察できるようになり、教員がよりダイナミックで自律的な学習プロセスを促進できるようになるなど、その可能性を指摘する者もいる。

また、デジタル教育技術がかえって不平等を拡大し、学習者の注意力を低下させ、孤立を深め、教育の過度な商業化、他のタイプの情報よりも数値データセットの特権化、他の文化の知識よりも西洋の知識の特定の系統の優位性をもたらすのではないかと危惧する人もいる。こうした二律背反の結果はどちらも必然的なものではないが、現状では、ほとんどの教育システムが教育のデジタル化に対応し、デジタル化が進む世界で活躍するために必要なものを教員や生徒に身につけさせる準備が不十分である。最近ユネスコが450以上の学校と大学を対象に行った調査によると、生成的人工知能アプリケーションの使用に関して、組織の方針や正式なガイダンスを策定しているのは10%未満であった。

第三に、世界的な気候危機は教育に深刻な影響を及ぼす恐れがあり、教育セクターの重要な対応が求められている。異常気象、災害による移住、教育施設の破壊や再利用、家庭への間接的な経済的圧迫は、あらゆるレベルの教育へのアクセス、特に女性と女児に悪影響を及ぼしている。教育を受けている人々にとって、気温の上昇は学習や認知に影響を与える可能性があり、世界の学校や家庭のほとんどはそれに対応するための設備が整っていない。同時に、教育はより環境にやさしく、より包括的で公正な発展の道へと軸足を移さなければならない。気候変動に適応し、気候変動を緩和し、気候正義を要求し、グリーン経済で繁栄するための学習者の能力を育成し、開発する必要がある(24)。

しかし、ユネスコのデータによると、世界の国家教育カリキュラムのうち、気候変動に言及しているのはわずか半分にすぎず、言及されている場合でも、その優先順位は非常に低い(25)。さらに、気候変動の深刻さについて自信を持って教えられると思う教員は40%に満たず、気候変動が地域や地元に及ぼす影響について説明できると思う教員は3分の1しかいなかった(26)。

教育に影響を与える4つ目の傾向は、社会の分極化と分裂が進み、政府やその他の制度に対する信頼が弱まっていることである。教育は、より強固な社会構造の構築、男女平等の推進、社会的結束の強化に不可欠である。教育は、あらゆる背景を持つ人々に力を与え、多様性、人権、平等、学習、知識を大切にする価値観を推進することによって、これを実現することができる。しかし今日、地域社会や国家間の分断が進むにつれ、教育実践の中には、社会的、経済的、環境的に持続不可能な開発傾向を助長するような、時代に逆行した態度を助長するものも見受けられる。たとえば、偏見や差別、二極化、有害なジェンダー規範や固定観念を永続させるカリキュラムや方法論もある。

また、気候変動などの重要な問題を軽視したり、狭い物質主義的なアプローチや、社会的不平等や環境悪化を悪化させる個人主義的な成果主義、競争主義、勝者総取り主義、例外主義に基づくモデルによって知らされているものもある。世界がすべての人にとってより良い未来を切り開くためには、教育制度がより公正で公平な、持続可能な開発の道へと緊急にシフトすることをよりよくサポートすることが不可欠である。

世界を変えるための教育変革:原則と行動

「私たちの共通のアジェンダ」に関する私の報告書は、社会契約を強化し、すべての人が生涯を通じて質の高い学習へのアクセスを確保するための世界的な取り組みを呼びかけた。
2022年の「教育の変革」サミットは、130の加盟国による国内公約の提出、補完的な多国間イニシアティブの出現、そして「教育の変革に関するユース宣言」を通じた若者からの強い呼びかけへとつながり、教育に待望のスポットライトを当てた。サミットは、現在から2030年にかけての「持続可能な開発目標4」の達成に向けた行動を加速させるための強固な基盤を築いた。しかし、教育が世界をより良い方向へとシフトさせる上で、私たちの最も強力な資産のひとつとなるためには、教育の変革を真に受け入れることによって、さらに前進しなければならない。

伝統的な固定的な教育ビジョンから脱却し、適応可能で効果的な生涯学習システムや、国家建設、平和、人権、より広範な持続可能な開発への主要な貢献としての真の学習社会の出現に向かうべき時が来ている。また、抜本的なインクルージョンを追求し、教育内および教育を通じて平等を達成するために、学習環境を再構築することも不可欠である。根本的に変わりつつある世界のために、学習者が教育から身につけるべき知識、技能、考え方、能力について、新たな国民的、世界的なコンセンサスが必要である。

この新しい教育システムにおける教員の役割も、教育とデジタル技術の関係と同様に、再考されなければならない。そのためには、国家の発展や個人と集団の未来への長期的投資としての教育の役割を認識し、教育財政をめぐる優先順位や考え方を根本的に転換する必要がある。

教育は依然として主として国家的な取り組みであるが、その国際的な重要性と、ますますグローバル化する多くの側面から、教育は、対応するグローバルな責任を伴うグローバルな公共財として認識されなければならない。教育の性質上、その変革は漸進的で文脈に固有なものであるが、必然的に以下の7つの必須構成要素と関連する行動を取り入れることになる。

A. 教育・生涯学習の統合的・包括的システムへの移行

真の学習社会を推進するためには、教育制度は硬直的で断片的な構造から脱却し、フォーマルな場とインフォーマルな場の両方において、生涯を通じての学習、再教育、スキルアップの機会を基盤とする生涯学習のプロセスへと移行しなければならない。また、学習経路と学習成果に焦点を当てた学習者中心のアプローチも必要である。そのためには、次のような主要分野での果断な行動が求められる。

a) 幼児期の保育・教育、技術・職業教育、高等教育を、従来の初等・中等教育と並ぶ包括的な生涯学習システムに統合する。
b) 国の憲法、法律、規範、政策、予算、統治機構において、教育と生涯学習の権利を認めること。
c) あらゆる年齢の市民が生涯学習の機会にアクセスできるよう、生涯学習資格、学習口座、その他の提供システムを確立すること。
d) 教育と生涯学習を政府全体の責任として位置づけ直し、省庁や公的機関にまたがる役割を明確にする。
e) 様々な状況におけるフォーマル、ノンフォーマル、インフォーマルな学習を評価する承認、検証、認定の仕組みを改善し、拡大する。
f) 学習者、親、家族、教員、校長、地方自治体、政治指導者、地域社会の長老、若者、労働者、企業グループの教育変革プロセスへの関与を通じて、教育に対する社会全体のアプローチを構築する。

B. 教育における平等とインクルージョンの確保

すべての人が学習社会を支持するためには、すべての人とすべての家族が、特に最も弱い立場の人々が、学習社会から恩恵を受けることを理解しなければならない。学校とすべての学習環境は、カリキュラムと教育法を推進し、平等とインクルージョンを支援する、よりインクルーシブで、安全で、健康的で、刺激的な場所に進化しなければならない。そのためには、以下の分野での取り組みが必要である。

a) すべてのグループ、特に農村部の人々、低所得世帯、移住者、難民、避難民、性別、障害、民族性、宗教、言語、性的指向、性自認、法的地位などの理由で差別を受けている人々など、社会から疎外されたり排除されたりしがちな人々の教育システムへのインクルージョンを確保するために、法律、政策、資源を方向づける。
b) 特に科学、技術、工学、数学などの分野における女子の教育を支援し、あらゆる教育レベルにおけるジェンダーの固定観念を排除する。ジェンダーの視点からカリキュラムと教育法を変革する。
c) 心の健康、栄養と幸福を含む学習者の健康を優先する。
d) さまざまな状況や環境における学習と技能の進路に関する包括的なデータの利用可能性を改善すること。

C. カリキュラムと教育課程を今日と明日に適したものにする

このため、カリキュラム、教育法、評価の変革が求められている。
a) 基礎的な学習の提供を優先し、基礎的と理解される内容を、従来の読み書き能力、計算能力に加えて、創造的、批判的、科学的思考、デジタルリテラシー、社会性と情動のスキルを含むように拡大する。
b)科学、技術、革新、将来の経済や仕事の世界に関連する技能における持続可能な開発のための教育に特に重点を置いて、現在と将来に関連したカリキュラムを作成する。市民の責任、平和、人間の多様性を尊重する文化を育成すること。また、地域社会のニーズと伝統に立脚し、学習者がグローバルな市民となるための準備をすることである。
c) 堅苦しい暗記学習から脱却し、不確実な世界の中で、探究心、経験、好奇心、協調性、共同的な問題解決に基づく、柔軟で学習者中心の構造化された教育法を推進する。

D. 学習プロセスにおける創造的なガイドおよびファシリテーターとしての教員の役割の再位置づけ

教育と生涯学習の「何を、どのように」を見直すことは、教員と学習者の適切な相互作用を通してのみ、真の学習をもたらす。だからこそ、教育を変革するためには、教育そのものを変革しなければならないのである。最近設立された「教職に関するハイレベル・パネル」は、将来の教職と教育労働力に関するビジョンをさらに明確にし、そのビジョンを実現するための明確な勧告を提示するのに役立つだろう。しかし、現時点では、教職の変革には以下の要素を取り入れる必要がある。
a) 教員の役割を、学習における創造的なガイドでありファシリテーターとして位置づけ直し、そのアプローチを受動的なもの(passive)から能動的なもの(active)へ、一方向的なもの(unidirectional)から協働的なもの(collaborative)へと変化させる。
b) 教員がカリキュラムを解釈・管理し、内容と教育法を適応させ、優先順位をつけられるようにする。
c) 学習のプロセスと成果を確実に向上させるために、定期的かつ形成的な専門能力開発と教員の評価を実施する。
d) 労働条件を改善し、公正な給与と充実した魅力的な職業経験を確保することによって、世界的な教員不足に取り組む。
e) 新規教員の採用と教員の給与改善を妨げる公共部門の賃金制約を回避する。
f) 教員の結社・表現の自由と団体交渉の権利を保護し、教員の声と経験が教育の意思決定の中心にあることを確保する。

E. アクセスを拡大し、学習を改善し、未来を切り開く能力を高めるために、デジタルツールとリソースを活用

生徒の学習の指導者、推進者としての役割を果たすためには、教員は十分なリソースを必要とする。これには、デジタルツールやリソースへのアクセスも含まれる。デジタルツールやリソースは、アクセスの面でも、コンテンツや教育法の面でも、学習を変えつつある。

グローバルデジタル協定の提案で構想されているように、私たちは、オープンで自由、安全で人間中心のデジタルの未来をすべての人のために推進することを集団の野心としなければならない。これは特に教育と学習に関して当てはまる。
人工知能ツールに関する最近の議論が明らかにしているように、私たちは新しいテクノロジーを真に理解し、文脈化し、あらゆる場所の教員や学習者、特に最も周縁化された人々のニーズに、排除することなく、アクセスしやすく、対応できるようにすることが不可欠である。

教育のためのコネクティビティに関する「リワイアード世界宣言」(27)、「万人のための質の高い公的デジタル学習に関する変革教育サミットの行動呼びかけ」(28)、そして「人工知能の倫理に関する2021年ユネスコ勧告」によって提供された基盤に基づき、デジタル教育に関する各国の取り組みが、以下の重要課題に取り組むことが不可欠である。

a) デジタル学習プラットフォームへの手頃なアクセスを通じて、また、障害のある教員や生徒、先住民族コミュニティを含む不利な立場にある多様な背景を持つ生徒のアクセスに十分配慮することによって、すべての学習者、教員、養育者が、質の高い、カリキュラムに関連したデジタルコンテンツを利用できるようにする。
b) 教員、学習者、教育関係者の能力、スキル、知識を強化し、エビデンスに基づき、生涯を通じてますます自立的で自主的な学習のためにデジタルツールを効果的に活用できるようにする。
c) 教育機関と個人がデジタル革命の教育的利点を効果的に享受し、デジタル・デバイドを回避できるよう、適切なデジタル接続を促進する。
d) デジタル教育・学習リソースと教育内容・方法を効果的に連携させ、ネットいじめ、有害なジェンダー・ステレオタイプ、ジェンダーに基づく差別や暴力、プライバシーの侵害など、オンライン上の否定的な現象に立ち向かうようにする。
e) 学習者と教員が、増加する偽情報や偽の情報の流れをナビゲートする能力を強化する実践を取り入れる。

F. 教育により多く、より公平に、より効率的に投資する

公正とレリバンスの両面で、教育の真の変革は、現在の支出レベルでは不可能である。加盟国は、より多く、より公平に、より効率的に投資しなければならない。公教育の長期的かつ持続可能な資金調達を優先するためには、抜本的な行動が必要である。そのためには、政府と社会は、教育計画を苦しめる短期的思考を捨て去り、公共財であり、高い正の外部性と中長期的に大きな見返りをもたらす重要な投資であるとして、教育財政に対する世界的・国家的アプローチを再構築しなければならない。そのためには、以下の分野で緊急に行動を起こす必要がある。

a) 教育への投資を増やし、国内総生産の少なくとも6%、政府総支出の20%を教育に充てるという国際公約を実現する。歳入を増やし、財政的余地を開くために必要な措置を講じることを含む。 また、一人当たりの公的教育投資の増加を測定すること。
b) 教育機関への近さ、十分な資格のある教員の確保、学校給食制度の存 在、交通手段の確保、多くの生徒の就学に伴う機会費用を補うための条件付現金給付の利用など、個人のアクセスに影響を与える要因を考慮に入れて、 投資が公平に配分されるようにする。
c) 効果と成果を最大化する介入策や政策から得られた証拠を活用し、慎重な計画を進め、成功した戦略や十分に実績のある実践に依拠し、教員のパフォーマンスを監視し、学習成果を体系的に評価することによって、教育への効率的な支出を確保する。

G.持続可能な開発目標4を達成し、教育を変革するために、国際協力を急速に拡大する

教育に関する政策立案と資金調達の責任は、国や自治体の権限に属するが、国際社会も重要な役割を果たしている。これは、単に共感や連帯感、グローバルな正義感によるものではない。それは、教育がグローバルな公共財であり、その供給と質が、市場、テクノロジー、移民を通じてこれまで以上につながり、気候変動、戦争、難民危機の影響を受ける世界において、私たちすべてに影響を与えるからである。したがって、教育を変革し、目標4を達成することは、地球規模の連帯責任として理解されなければならない。そのためには、以下の分野での行動が必要である。

a) 持続可能な開発目標への刺激策を求める事務総長の呼びかけを実現し、国際金融アーキテクチャーを改革し、世界的な租税協力を強化する努力を加速することにより、開発途上国が教育により多くの投資を行う余地と機会を創出する。
b) 特に、教育投資を直接的に抑制し、教員と学習者に害を与える制限的な財政政策と公共部門の賃金制約に関して、教育に関する世界的な公約と国際金融機関の活動を横断する政策の一貫性を確保すること。
c) 緊急時、危機、危機後の状況における教育資金調達の課題に対処するため、政府開発援助を国民総所得の0.7%に引き上げ、教育援助の割合を政府開発援助全体の20%に引き上げる。
d) グローバルデジタル協定に関する政策要綱に盛り込まれた提案に沿って、公共的でオープンソースのデジタル・コモンズを開発し、学校接続を拡大するための既存の取り組みを拡大することにより、質の高い、文脈に即したデジタル学習への公平なアクセスを支援する。
e) デジタル革命とその共通善としての教育への影響を効果的に活用するために、責任あるガードレールを提供する関連国際基準を策定する。
f) 職業資格、教育、生涯学習の承認に関する世界的なコンセンサスを確立する。
g) SDG4-教育2030ハイレベル運営委員会のガイダンスの下、グローバルな教育資金調達アーキテクチャーと教育基金の貢献を最大化することを含め、グローバルな教育コミュニティから途上国への支援の一貫性とインパクトを強化する。
h) この分野における国連開発システム、特にユネスコ、ユニセフ、その他の主要機関の貢献を強化する。これには、持続可能な開発目標共同基金に教育の変革に関する専用窓口を設けることも含まれる。

持続可能な未来のための学習社会に向けて:加盟国および国際的アクターへの提言

変革教育サミットは、世界がエネルギーを再注目し、優先事項を再確認し、2030アジェンダの達成に向けた機運を高める機会を提供するとともに、新しい世界へと変革するための重要性を認識するものであった。2023年の持続可能な開発目標サミット、そして2024年の未来サミットに向けて前進する中で、この勢いを失わないことが不可欠である。本政策要綱では、教育の変革をさらに野心的な目標へと導くためのビジョンと優先事項のセット、そして提案を示す。それは、包括的で真の学習社会の実現である。

世界が経験しつつある劇的で加速する変化を考えれば、教育は後手に回って、単にその変化に順応することはできない。教育は、個人と社会がその変化を利用し、世界をより包括的で、住みやすく、持続可能な未来へと導く力を与えるために必要な条件を整えることで、世界をリードしなければならない。この目的を達成するため、私は、「未来サミット」の準備において加盟国が考慮すべき2つの重要な提言を行う。

a) 2030アジェンダおよび2022年教育変革サミットでのコミットメントを履行し、「未来への盟約」において、以下の6つの原則を中心とした学習社会創出のための新たなビジョンにコミットする


i) 不確実な世界における教育と生涯学習の包括的で統合されたシステムを構築する。
i) 不確実な世界において、教育と生涯学習の包括的で統合されたシステムを構築する。
iii) 教育課程と教育学を今日と明日に適したものにする。
iv) 教員が学習プロセスにおいて創造的なガイド役、促進役としての役割をますます果たすよう、教職の位置づけを変える。
v) デジタルツールとリソースを活用し、アクセスを拡大し、学習を改善し、未来を切り開き、デジタルデバイドを回避する能力を高める。
vi) 教育への投資をより多く、より公平に、より効率的に行う。

b) 教育と生涯学習をグローバルな公共財として認識し、持続可能な開発目標4を達成しつつ、教育への投資と変革のための国際協力を活性化する

附属文書


本政策要綱で提示する提言は、以下を参考にしている。
a) 2022年に行われた教育の変革に関する国内協議
b) 2022年と2023年に行われた教育の変革に関する青少年協議
c) 2022年9月の教育改革サミット
d) 教育の未来に関する協議
i) 国連教育科学文化機関、国連児童基金、国際労働機関、国連難民高等弁務官事務所を含む国連パートナーとの協議
ii) ビル&メリンダ・ゲイツ財団、教育のためのグローバル・キャンペーン、教育のためのグローバル・パートナーシップ、レゴ財団、国際通貨基金、女児の教育権マララ基金、世界銀行など、その他の利害関係者との協議

脚注

1 See United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization (UNESCO), Right to education handbook (Paris, 2019).
2 See World Bank, Missed Opportunities: The High Cost of Not Educating Girls (2018). Available at www.worldbank.org/en/news/factsheet/2018/07/11/missed-opportunities-the-high-cost-of-not-educating-girls
3 See Education Cannot Wait, Global Estimates: Number of crisis-affected children and adolescents in need of education support (2022).
Available at www.educationcannotwait.org/sites/default/files/2022-06/ecw_globalestimatesstudy_june2022.pdf.
4 See Global Coalition to Protect Education from Attack, Education Under Attack (2022). Available at www.educationcannotwait.org/sites/
default/files/2022-06/educationunderattack_2022.pdf
.
5 UNESCO, New measurement shows that 244 million children and youth are out of school (2022). Available at https://worldeducation-blog.org/2022/09/01/new-measurement-shows-that-244-million-children-and-youth-are-out-of-school/.
6 See UNESCO, Global Education Monitoring report 2021/2: Non-state actors in education. Who chooses? Who loses? (Paris, 2021).
7 See World Bank and others, The State of Global Learning Poverty: 2022 Update (2022).
8 See UNESCO, Setting commitments: national SDG 4 benchmarks to transform education (Paris, 2022). Available at www.unesco.org/gem-report/en/2022-sdg4-benchmarks.
9 UNESCO, The world needs almost 69 million new teachers to reach the 2030 Education goals (2016). Available at https://unesdoc.unesco.org/ark:/48223/pf0000246124.
10 See ActionAid, The Public Versus Austerity: Why public sector wage bill constraints must end (2021). Available at https://actionaid.org/publications/2021/public-versus-austerity-why-public-sector-wage-bill-constraints-must-end.
11 See UNESCO, Global Education Monitoring Report Team, The annual financing gap to achieve SDG4 targets is almost $100 billion (2023).
Available at https://world-education-blog.org/2023/04/14/the-annual-financing-gap-to-achieve-sdg-4-targets-is-almost-100-billion/#more-32023.
12 Using 0 to 14-year-olds as a proxy indicator for children of school-going age.
13 See Global Education Monitoring Report Team and others, Education Finance Watch 2022 (2022).
14 See UNDP, Building blocks out of the crisis: The UN’s SDG Stimulus Plan (2023). Available at www.undp.org/publications/dfs-building-blocks-out-crisis-uns-sdg-stimulus-plan.
15 See International Monetary Fund, Fiscal Policy and Development: Human, Social, and Physical Investments for the SDGs (2019).
16 See ActionAid, Who Cares for the Future: finance gender responsive public services! (2020). Available at https://actionaid.org/publications/2020/who-cares-future-finance-gender-responsive-public-services.
17 See Daron Acemoglu and James Robinson, Why Nations Fail: The Origins of Power, Prosperity, and Poverty (London, Random House,2012).
18 See UNICEF, Transforming Education with Equitable Financing (New York, 2023).
19 See Global Education Monitoring Report Team and others, Education Finance Watch 2022 (2022).
20 See Center for Global Development, The state of global education finance in nine charts: another update (2023). Available at www.cgdev.org/blog/state-global-education-finance-nine-charts-another-updateutm_source=20230621&utm_medium=cgd_email&utm_campaign=cgd_weekly.
21 Global Partnership for Education, GPE education ministers call for education aid financing reform (2023). Available at www.globalpartnership.org/news/gpe-education-ministers-call-education-aid-financing-reform.
22 See UNESCO Institute for Lifelong Learning, Fifth Global Report on Adult Learning and Education (Hamburg, 2022).
23 Boston Consulting Group, Fixing the global skills mismatch (2020). Available at www.bcg.com/publications/2020/fixing-global-skills-mismatch.
24 See United Nations Framework Convention on Climate Change, What is the triple planetary crisis? (2022). Available at https://unfccc.int/blog/what-is-the-triple-planetary-crisis.
25 UNESCO, Getting every school climate-ready: how countries are integrating climate change issues in education (Paris, 2021).
26 UNESCO, Only half of the national curricula in the world have a reference to climate change, UNESCO warns (2023). Available at www.unesco.org/en/articles/only-half-national-curricula-world-have-reference-climate-change-unesco-warns.
27 UNESCO, “The Rewired Global Declaration on Connectivity for Education: #ConnectivityDeclaration (Paris, 2022).
28 Available at www.un.org/en/transforming-education-summit/digital-learning-all.

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