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あるNPOの軌跡~10年で1億の寄付を集めた非営利組織

~営利・非営利のソーシャル事業の成長が、社会課題の解決を加速させ、より良い社会を築くと信じて執筆~

2009年に米国で設立されたNPO法人ホープ・レインズは、10年間で年間収益を100万ドル(日本円で約1億)へと急成長しました。この事例は、地道にやることをしっかりと丁寧にやることで成長していける、という勇気がもらえる内容に思います。

1.設立前

2009年、NPO設立を考え始めた創業者のチレットは、まずファンドレイジングのトレーニングプログラムに参加しました。そこでが、ファンドレイジングの具体的な手法とともに、『支援者をお金の出してとして考えてはいけない(つまり、一緒に課題解決に向かうパートナーとして考える)』という理念を学びました。この理念が、団体内でしっかしと活き、ファンドレイジングの成功に繋がっていきます。

また、幸運にも設立前に、彼女の構想を聞いた地元の教会が、牧場となる土地を格安で提供しても良いという申し出をしてきました。しかし、彼女は回答を保留しました。組織を本当に運営していけるか疑念が頭にありました。

そこで、法律・金融・企業経営・NPO経営など必要なスキルのリストを作成し、友人知人のネットワークをフル活用して7名の専門家を集め、設立準備委員会を創りました。彼らとともに組織をどのように運営していくのか、資金調達をどう想定しているのかなどを組織経営について議論したことで、彼女の中でも設立することが腹落ちし、土地を借りることにしました。

ちなみに、7人のうち3人のメンバーが設立後に理事として関わることになりました。

2.設立後

設立してすぐに、彼女は家族とすべての友人知人に、協力依頼の手紙を書きました。その結果、3頭の馬を提供してもらえ、サービスを開始することができるようになりました。

ただ、彼女も理事も、組織基盤を整えるためにファンドレイジングの必要性を感じておりました。そこでまず、助成金(25,000ドル-日本円で○円)を申請し、それを元手に翌年、キックオフイベントを開催しました。イベントでは、出席者に寄付をしてもらえることを目的とした構成にすることで、予想を上回る120,000ドルの寄付を集めるととに、多くの熱烈な支援者を集めることができました。

さらに彼女は、イベントに参加した人々と1対1で会い、長期的に支援してくれることを依頼しました。

その後数年間は、こうしたイベントを中心として、幅広い支援者を募っていき、2014年には年間340,000ドルを計上するようになりました。

設立から5年が経った2014年の暮れ、低額の融資を受けられる話が舞い込んできました。彼女にとっては、新しい牧場の獲得費用として喉から手が出るほど望んでいた融資でした。しかし、理事から「新たな牧場は、支援者が本当に望んでいるのだろうか。その声を聞こうではないか」という意見を受け、組織として寄付キャンペーンを行い、その目標金額を超えたら融資を受けようという決断をしました。

彼女は、購入予定地となる牧場を一時的に借りて、その場所に、支援者、ボランティア、スタッフの家族など、あらゆるステークホルダーを招いたイベントを、5か月で20回以上開催しました。参加者に向かって、新しい牧場で何ができることで、1,000人の子どもたちの手助けとなることを熱心に伝えました。さらに彼女は、参加した人達に個別に会ったり、電話するなどのフォローアップを熱心に行いました。その結果、キャンペーン中に目標を超える407,427ドルを得るだけでなく、その後3年間でプレッジした735,635ドルを得ました。

2015年に、念願の新たな牧場に移りましたが、当然のことながらこれまで以上に費用が増加しました。

さらに2016年には、寄付が伸び悩み、スタッフの雇用すら危ぶまれるという、彼女にとっては極めて辛い1年となりました。

しかし2017年には、地元の著名人から300,000ドルの寄付を得ることができました。この寄付は、彼女をはじめスタッフにとっては「私たちの活動が認められた瞬間でもあった」と回想するほどのものでした。

そして現在、新たな寄付プログラムを提供し始め、さらなる飛躍を目指しているようです。

~営利・非営利のソーシャル事業の成長が、社会課題の解決を加速させ、より良い社会を築くと信じて執筆~


参考
https://hopereins.org/uncategorized/the-chronicle-of-philanthropy-how-one-founder-started-a-nonprofit-and-raised-1-million/

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