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非営利組織の最も近い仲間「理事会」とのパートナーシップ~理事に期待したい4つの役割

~ソーシャルセクターの成長が、社会課題の解決を加速させ、より良い社会を築くと信じて執筆~

非営利組織を経営する上で、切っても切り離せない関係として理事会があります。この理事会ですが、組織を成長させる上で大変頼りになる存在でもあります。今回は、この理事会についてみていこうと思います。

1.事務局とのパートナーシップ

理事と事務局とは、健全なパートナーシップを維持することが何よりも大切です。お互いに組織全体に対してリーダシップを発揮し、ともに信頼し尊敬しあい、適度なコミュニケーションを取り合う関係性を創る努力を惜しまないようにしたいものです。これが弱いと、しばしば見かける「形骸化した理事会」となったり、逆に理事会の干渉が強すぎて、事務局のフットワークが重くなったりします。

そのためには、事務局長と理事が定期的に会談したり、事務局スタッフ内に理事会担当の仕事を設けて、定期的に理事会マネジメントを業務として行うなどがあります。

2.理事に期待したい役割

理事について、P.F.ドラッカーは『理事とは地位ではなく責任である』と述べています。実際にどのような責任があるのか、責任と言うと少し言葉が強い印象もありますので、組織として理事にどのような役割を担ってもらいたいのかを見ていこうと思います。

役割①:「監査役」として不正を防ぐ
理事として、組織として法的及び倫理的な不正がないかを、事業面と財務面において監督します。いわゆる営利企業での監査役に近い役割になるかと思います。
今日多くの理事会では、この役割を十分に意識してやられているように思えます。

役割②:「コンサルタント」として組織の成長をサポートする
理事として、組織としての成長戦略の策定に協力し、その計画を承認し、実行をサポートします。そして、その成果を評価します。これは、一緒に伴走してもらうコンサルタントのような役割になるかと思います。

最近は外部環境の変化も早くなり、これまでのように3-5年の中期計画を策定し、それを年1‐2回の理事会でフォローアップする形が難しくなってきています。そのため、数名の理事が事務局スタッフと組んでタスクフォースのような形の委員会をとり、月1‐2回ぐらいの頻度でMTGを行うなどして、進めていくことも手段としてあります。また『インパクト評価』という考え方も広く浸透してきておりますので、自組織に合った評価を改めて検討してみるのも良いかもしれません。

いきなりここまでやるのが難しい場合は、まずは事業とその成果がミッション・ビジョン・バリューに則っているかをウォッチすることから始めると良いでしょう。実は理事が何よりも見るべきポイントはココだと思います。

役割③:「ファンドレイザー」として資金調達をサポートする
理事として、組織のファンドレイジングに協力します。いわゆるファンドレイザーとしての役割になるかと思います。

事務局が行っているファンドレイジングの施策をフォローし、大口寄付者との面談を一緒に行ったり、自らの人脈などを駆使してインフルエンサーになり得る人を紹介してもらうなどのサポートがあり得ます。時には、現場に足を通わせるのも良いかもしれませんし、理想的には、自らファンドレイジングを行い、新規支援者の開拓までできれば良いかと思います。

役割④:「アンバサダー(大使)」として組織・事業をアドボケイトする
理事として、組織のミッションや活動のPRに協力します。これは、アンバサダー(大使)としての役割になるかと思います。理事に就任する人のなかには、実業家や著名人などがいたりします。そうした方には特に、その影響力や人脈を活かしてのPRをお願いしても良いかと思います。なお、ファンドレイジングは、このアンバサダーの延長にも当たるため、手法としては同じように考えることもできます。

(ファンドレイジングは、組織のミッションや課題解決のソリューションを説明して、そのことに支援者が共感してもらえた時の一つのアンサーが寄付という形になるため)

最後に

これらのうち一つではなかく、4つ全ての役割を担って貰えるのがベストかと思います。
ただ、「そうとは言え、なかなか実現するには…」と感じることもあるかと思います(私もそう思います…)。こうした理事会を組織するにはどの辺がポイントなのか、改めて今度まとめてみれればと考えています。

~ソーシャルセクターの成長が、社会課題の解決を加速させ、より良い社会を築くと信じて執筆~

参考文献
『非営利組織の経営』(P.F.ドラッカー 著)
『非営利組織のマネジメント―使命・責任・成果』(島田恒 著)

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