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【自費出版】少女へのプレゼントから始まった「不思議の国のアリス」

最近、アリスと島崎藤村に
関心が行ってしまう。
共通点は、自費出版!です。

アリスは、最近、
東京で「アリス展」があるため、
ポスター広告や
展示会の記事を見かけますが、
『不思議の国のアリス』は
もともとは、イギリスの数学者
ルイス・キャロルが
寮長の子供で3姉妹の次女アリスに
せがまれ、物語を即興で語りました。
その後、キャロルはそれを膨らませ、
一冊の手作り本をイラストもつけ、
カバーも付けて、アリスに
プレゼントしました。

世界でたった一冊の本。

それが家族や友人の目に止まり、
評判もよくて、
数ヶ月後には、
本を出したことがある人にも
背中を押され、
イギリス有数の出版社から
豪華なイラストつきで発売され、
人気作品になったのです。

この話で気になるのは、
まずはルイス・キャロルが
仲良しの少女を喜ばそうとして
書いたプレゼント本だった点です。
根底にあるのは、サービス精神?
いや、ホスピタリティ精神ですね。

もしかしたら、
読む人へプレゼントのつもりで
書くというサービス精神は、
現代の我々も見習うべき、
大切な大切なポイントに違いない、 
そんな気がしますね。

ちなみに、
アリスはだんだん成長してくと、
キャロルおじさんが
あれこれかまってくるのがうざくなり、
距離をとっていったそうです。
切ないなあ、キャロルおじん、涙。

ただ、アリス研究者では
少女愛(ロリコン)をテーマにする人も
いるくらいですから、
アリスから見てキモかったのは、
あながち間違っていなかったかも。

もう一つ、自費出版で今、
気になるのは、島崎藤村です。

若い頃から
詩歌と私小説で明らかな成功?を
手にしていた島崎藤村。
そんな彼が、作風を変え、
社会派の作品をテーマにします。
それが社会派作品『破戒』です。
部落差別問題を真正面から
取り組んだ名作ですね。
もうすぐ映画化されますね。

夏目漱石なども
この『破戒』は非常に
優れた作品だといったそうですが、
当時は、部落差別の本とわかると
今まで藤村によくしてくれていた
本屋さんも、態度を変えて、
あまり買い取ってくれませんでした。

そこで、藤村はどうしたか?
ほとんど売れ残った本を、
自分でリアカー(手押し車)に
何十冊も乗せて、
自分であちこちの本屋に
売りにまわったんです。

部落差別は当時まだ
日本社会、特に文学世界では
扱えないタブーだったんでしょう。
冷たいですよね?

それを書いた藤村はえらい!
なにより、自費出版して、
リアカーで売りまわる汗と努力。

後に、作品の評判から
置きたいという本屋さんも、
出てくるのですが。
東京という街は坂道が多く、
谷も多く、
リアカーに本を何十冊も乗せて歩くのは
どんなにきつかったでしょう。

『不思議の国のアリス』と
『破戒』。

どちらも自費出版?から
スタートした名作でした。

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