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『観察の練習』を読んで観察の練習をしてみた

多摩美術大学講師の菅俊一さんが書いた『観察の練習』という本を読んだ。つい最近までアマゾンで品切れになっていたぐらい人気だ。

この本では

観察とは、日常にある違和感に、気づくこと。(はじめにより)

と定義されている。

日頃無意識に通り過ぎているものでも、よく見ると違和感のあるものは多い。当たり前と思って見てしまえば見られるし、当然だと思考を停止させようと思えば簡単だ。
年をとればとるほど、当たり前に感じることが多くなるけど、思考停止したオヤジにはなりたくないから、ふとしたものに疑問を感じ続けられる人でありたい。
この本はクリエイティブの最前線にいる筆者が日頃観察したものを解説している本だ。これを読めばすぐクリエイティブの考え方がわかるというわけではないけれど、一つ一つの観察がとてもおもしろい。

この本に触発されて、僕もちょっと世の中を観察してみた。ここに4枚の写真がある。全部、ぼくが違和感を感じたものたちだ。ちょっと眺めて、何か違和感がないか考えてみてほしい。

1. 駅にあった空港への案内掲示

2. 駅までの道

3. インクの箱

4. ニート出身


1. 駅にあった空港への案内掲示 

押上駅の構内にあるこの看板、パット見わかりにくくないだろうか? 押上駅というのは成田空港には京成線で、羽田空港には都営浅草線から、2つともちょうど1時間ぐらいで行くことができる。そして、この看板だ。この標識はとても紛らわしくないだろうか? もし成田に行きたいのに羽田行きに乗ったらなんと、羽田から成田までは2時間もかかるのだ。押上からは3時間である。このデザインのせいで飛行機に乗り遅れた外国人は少なくないことだろう。

2. 駅までの道

 押上駅の外にあるこの看板、これだけ見ると何も不思議はない。どの表示も「入口までの距離」は正しく表示している。しかし、この看板を見た人は、この距離からさほど歩かなくても電車に乗れると期待するのではないだろうか? しかし、その期待は裏切られる。この位置から押上駅の電車に乗るにはあと500mぐらいある。正しいけど、本当に知りたい情報は乗っていない標識だ。


3. インクの箱

 会社の会議ではよくホワイトボードを使う。マーカーのインクはしょっちゅうなくなるので替芯を買ってある。会議をしていたら黒色のマーカーのインクがなくなったので、箱から出そうとした。そしたら、なんと赤色だったのである。僕が見ていたのは左の写真の面。どう見ても黒色のインクが出てきそうじゃないですか? しかし、反転して見てみると赤色のシールが張ってありました。この赤色のシールが見えるように置かなかった人が悪いのか、それともメーカーの工夫が足りないのか、どちらだろうか。


4. ニート出身

 せせりさんというWebサービスを個人で開発している人がいる。せせりさんのtwitterをみてもらうとわかるのだが、ニートと言うには働きすぎている。確かにどこかの企業に勤めては居ないかもしれないが、9割以上の会社員よりは稼いでいるだろう。そんな人の紹介文が、「ニート出身」だ。そもそも「ニート」は出身になりうるのだろうか? 「ニート出身」は違和感のある言葉だ。

『観察の練習 (菅俊一)』

※ ちなみにこれは電子版は販売されていない。筆者に確認をとったわけではないが、紙の本でないと、写真をみて何を感じるか?というのを考える体験が満足行くものじゃないからだろう。

http://numabooks.com/kansatsu.html


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