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【Jドラマ】「ブラッシュアップライフ」(上)~女子会の“あるある”会話はホントに愉快だった

「ブラッシュアップライフ」は、<タイムリープ>ドラマの傑作

2023年冬ドラマのうちでは、「ブラッシュアップライフ」安藤サクラ主演、日テレ)が、ときに腹を抱えて笑うほど抜群におもしろかった。
 
平均視聴率(※1)こそ、6.23%とふるわなかったが、連れ合いの妹さんも「面白かった」と言って話がずいぶんとはずんだし、視聴者の評判は同時期に放送されたドラマの中ではピカイチだったらしい。

(※1)最近の【Jドラマ】は、視聴率10%が成功かどうかの目安と言われる――同季の話題のドラマでは、「Get Ready!」妻夫木聡主演、TBS)が9.37%でトップ、「罠の戦争」草彅剛主演、フジ)が8.55%、「100万回言えばよかった」井上真央・佐藤健W主演、TBS)が7.76%と、いずれもスポンサーの期待には今一つこたえられなかったようだ。

2023年冬ドラマで視聴率トップだった「Get Ready!」妻夫木聡主演、TBS)

「ブラッシュアップライフ」は、安藤サクラ演じる主人公の近藤麻美が、赤ちゃんのときから人生を5度もやり直すという、いま大モテの<タイムリープ>(※下欄)ジャンルのコメディードラマ。

★「タイムトラベル」は「ドラえもん」や映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のように、機械やシステムを使って移動する。
「タイムスリップ」は映画「テルマエ・ロマエ」のように偶発的な事故で移動する。
★「タイムリープ」は「時をかける少女」のように、自身の能力を使って移動する。

(WEBザ・テレビジョンより)

だが、これまでのような「タイムリープ」ドラマの枠を超えて、人生をやり直すたびに、国家資格が必要だったり、難度の高い職業に就くという、タイトルどおりブラッシュアップ(磨き上げる)の遍歴を描いているところも見どころの一つだ。
 
1周目は、市役所の職員

2周目は、薬剤師
3周目は、遺伝子研究者
4周目は、TVディレクター→プロデューサー
5周目は、航空パイロット
 
麻美は、いつも決まって運悪くクルマにはねられ、昇天するたびに、死後の世界の案内人から得体の知れない生物への生まれ変わりを告げられる。
 
でも麻美は、オオアリクイとかサバとかは避けたいので、ヒトとして再生するためには、「徳」を積まなければならない、と必須条件をつけられる。
 
たとえば、(2周目の)勤め先の薬局の先輩が既婚者であることを彼が指にはめている指輪で察知し、てっきり独身だと思い込んでその男と交際している学校の同級生役の黒木華(※2)に「あの男は不倫相手にすぎない。別れたほうがいい」と、次に生まれ変わったときに忠告し、黒木華を男女の修羅場から救いだすといったぐあいだ。
 
(※2)ほんとうのことを知った黒木華の嘘つき男に対するキレっぷりが真に迫っていて、演技の新境地を開いたのではないかと感動した。
黒木のほかに、松坂桃李、三浦透子、江口のり子、浅野忠信といった他作品では主演を張っている俳優たちがゲスト出演していたのも、(韓国ドラマでは多用される手法だが)なんともぜいたくなドラマだと思った。

<女子会>の“あるある話”はシナリオか、俳優のアドリブか

「ブラッシュアップライフ」より)

白髪まじりのおっさんが、これほどクスクスゲラゲラ笑えたというのは、実際に聞いたことはないけれど、<女子会>の場で出そうな“あるある”会話を生々しく聞かせてもらうことができたからなのだが、では、その功績は、のびのび演じた俳優たちの力量によるものか、それともバカリズムのシナリオによるものか。
 
あれこれ考えてみたのだが、シナリオどおりに俳優が演じていたとするなら、これほど面白く仕上がっていたか、はなはだ疑問だ。
 
なぜって、バカリズムの脚本ドラマをWOWOWなどで観ているが、今回の「ブラッシュアップライフ」ほど面白くは感じられなかったからだ。
 
(つづく)

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