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パレスチナ事業チームから感謝をこめて

こんにちは、JVCエルサレム事務所の木村です。
2023年も残りわずかですね。金・土曜日定休のエルサレム事務所では、いつもより早く28日(木)が今年の仕事納めとなりました。
 
エルサレム事務所では例年、クリスマスのタイミングでJVCならびにパレスチナでの活動に心をお寄せていただいているみなさまに向けて、感謝のメッセージをお伝えしてきました。今年もその予定でいたのですが、10月7日から始まり今なお続くガザでの空爆の状況を受け、聖地エルサレムをはじめキリスト生誕の地であるベツレヘムなどパレスチナ各地でクリスマスツリーの点灯なども控えられているため、私たちもクリスマスに毎年撮影していたメッセージ動画やご支援いただいた方へのクリスマスカードの送付について、今年は見送らせていただくことにしました。
 
その代わり、この場をお借りして私たちの近況をお知らせするとともに、みなさまへの感謝の気持ちをお伝えできればと思います。
 
パレスチナでの活動にいつも温かいご支援をいただき、有難うございます。みなさまからパレスチナに注がれた深い愛情と応援の気持ちは、パレスチナの女性たちの社会的・経済的自立や、ガザの子どもたちの健全な成長につながっています。
 
また、この間、多くの方がガザはもちろん、エルサレムに駐在する私たちスタッフの身の安全も心配してくださり有難うございます。おかげさまで、エルサレム事務所に勤務するスタッフ3名は現地で無事に過ごしております。10月7日からしばらくはエルサレムでも空襲警報が鳴り、コロナ禍に戻ったかのようにお店も閉まり、学校も休校となり、人通りもなくなりました。その後、10月半ばになると少しずつお店も営業を再開し、買い物をする人たちの姿も見られるようにはなりましたが、以前と比べるとかなり静かな雰囲気です。クリスマスで期待された観光客はなく営業時間を短縮するレストランもあり、旧市街のダマスカス門前でおしゃべりに興じる女性や若者の姿も見かけなくなりました。そんな街中の雰囲気からも、今が戦時中(非常時)だということを感じます。

閑散とした東エルサレムの繁華街・サラハッディーン通り(2023年10月8日撮影)

東エルサレムで実施している「女性の生計向上とエンパワメントの活動」は、休校になり自宅にいる子どもたちの世話をしたり、道路封鎖の影響で研修場所へ来ることが困難な女性も多かったため、10月7日から3週間ほど職業技術訓練などの研修を休止していました。今は状況も少し落ち着いたため、研修を再開し女性たちが熱心に学んだり、受講生同士で楽しく語り合う姿が見られています。

ネイルアート研修で熱心に学ぶ女性たち

一方、ガザで実施している「子どもたちの栄養改善のための活動」は、10月7日以降、活動を停止せざるを得ない状態が続いています。12月27日現在、現地パートナー団体(アル・デル・インサーン)のスタッフや活動を支えてくれているボランティア(地域保健促進員)の女性たちの無事は確認できていますが、空爆や砲撃などがガザ全域で絶え間なく続き、ほとんどの人が何日も通信できず、次の瞬間人々がどうなってしまうのか、全くわからない状況です。それぞれが自分や家族の日々の安全や生活、食料を確保することで精いっぱいの毎日です。多くの人たちはガザの南部へ避難していますがそこも決して安全とは言えず、飢餓や感染症、親しい人たちの訃報に接するなど「死の恐怖」と隣り合わせの日々が続いています。

ガザ市内の海岸沿いにあるモスク(2022年3月撮影)

ガザからの悲痛な叫びを聞くたび、「一刻も早い停戦を実現するために、私たちに何ができるのだろうか」という問いが頭から離れることはありません。取材やイベントなどを通じてガザの状況を報告する機会をいただきますが、「ガザのために日本でできることはありますか」と聞かれることも増えています。その問いに対し「もちろん。日本から、日本だからこそできることはたくさんあります」と答えています。
 
10月7日から間もなく3ヶ月になろうとしています。国際社会はガザの状況を画面越しにリアルタイムで見ることができその悲惨さを実感できるにもかかわらず、未だに停戦を実現することができません。残念ながら日本では国内政治の腐敗にかき消されガザに関する報道も減っているようですが、ガザではこの間にも10分にひとりの子どもが亡くなっています。アンテナを張って関心を持ち続ければ、NGOの発信などを通じてガザの現状やそもそもなぜこのようなことが起こったのかというパレスチナ問題の背景を知ることができます。「背景を知り、正しく理解する」ことはできることの第一歩となるでしょう。
 
日本の各地で行われている停戦に関するデモンストレーションやCeasefire Nowなど全世界的にも展開されている停戦を呼びかける署名活動への参加など、停戦に向けて声をあげたり、具体的なアクションを起こすことも大事です。「アラブの春」と呼ばれるアラブ諸国での民主化運動も、最初は小さな声から始まり、SNSを通じてやがて一国の政権が変わる事態にもなりました。ひとりひとりの声は小さくても、それが集まってやがて大きな声になれば、ガザへの攻撃に対して傍観している国々の政府もその声を無視することはできないはずです。

ガザの人々は、「恒久的な停戦」を求めています。

都内での停戦に向けたデモンストレーション(11月10日撮影)

ガザに限らず、被災地で現地のひとたちからよく聞くのは「忘れられてしまうのが一番悲しい」ということです。是非、「忘れてないよ」という応援の声を発信するとともに、ガザの人たちの声に耳を傾けて、その声をまわりの人たちにも伝え続けてもらえたらと思います。
 
私たちも一秒でも早い停戦の実現に向けて、他の支援団体とも協力しながら日本政府や報道機関への働きかけを続けます。また、停戦が実現したとしても、壊滅状態のガザが日常を取り戻すためには息の長い支援と多くの資金が必要になります。一緒にガザの人たちの命と尊厳を守るための活動にご協力をいただけたら幸いです。

◆JVCガザ緊急支援のサイトはこちら
 
ガザでの戦争が終わり、2024年がみなさまにとって、パレスチナの人たちにとって心穏やかな年になりますように。                来年もどうぞ宜しくお願いいたします。
 
●パレスチナ事業チーム●
冒頭の写真左から、                         木村万里子、ヤグムール・アヤット、大澤みずほ(エルサレム事務所)   
小林麗子(東京事務所)


JVCのパレスチナ事業では、現地に暮らす人びとの意思を応援する形での支援を行なっています。また、パレスチナの問題を日本社会にも伝えることで、一人ひとりが取り組むための橋渡し役を担うことも試みています。 サポートしていただいた分は全額、JVCのパレスチナ事業に寄付いたします。