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人生、綴ってみた 【結婚・前編】 #16

 診断がついてもつかなくても
 病院を駆けずり回ることに変わりはない
 やるべきことがいっぱいで
 私はいつも疲れきっていた

 深夜に帰宅する旦那
 育児などやってくれるはずもない

 お酒を飲みながらぼんやりと考える

 どうして
 一人で生きていけるなどと
 思っていたのだろう
 結婚して、地元を離れ
 家族に何かあれば、それに振り回され
 女は仕事をするどころではなくなる
 女って、不利だ
 そんなことばかり考えていた

 薬を服用するようになって、三カ月
 息子に変化があらわれた

 言葉を得て

 自分の気持ちを伝えるようになった

 夢にまで見た、子供との会話
 言葉の一つ一つがなんて愛おしい

 私は全身でその喜びを噛み締めていた

 遠くて
 何年も会っていない母から手紙がきた

「人生はいろいろあります。
 いい事よりも悪い事の方が多いです。
 借金をするのは
 良くない事だと私も思います。
 だけど、せっかく縁があって
 一緒になったのだから
 最後まで添い遂げてほしいです」

 寂しい寂しいといつも言う母
 私の幸せを願って書いてくれたのだろう
 母の気持ちが心に沁みた

 そんな母が亡くなった
 大動脈瘤破裂
 苦しくてたまらないのに
 救急車を呼ぶことすら遠慮したと聞いた

 お葬式が終わっても
 涙が出ない私を見て、旦那が言った
「ざまあみろ」
 喉賃こを見せて笑っていた
 ドロリとした嫌な感情が流れた

 旦那にも言い分はある
「俺を悪みたいに責めるな。
 お前を戒めるために言っただけだ」

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