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KOBE

地方ロケの1日の振り返りを夜の街を徘徊しながら
ダラダラと写真を撮るのが私の中で儀式と化している。

この日も先ず名古屋での出張撮影を終えると、
その足で次日の現場の神戸に向け
急足で新幹線に乗った。

新幹線は以前も投稿した「電車嫌い」の私にとっては
ただの電車上位互換に過ぎない。
機材の詰まったペリカンケースをわさわさと
動かしながらやっと着席した時には
すでに滝のように汗をかいており、
今読んでいる京極夏彦の『虚談』は
それはもう虚無を禁じ得ず
(面白いという意味だが、、)
神戸へ着く頃には
それこそ夏彦のどろりじっとりとした怪談話に似た
マスク内の湿気にぐったりしてしまっていた。
厭である。

やっとこさ
本日の宿に着くと、
すぐにでもベッドにダイビングタックルをかましたくなるのだが、
ここは神戸
私にとって初めての街である。
簡単な身支度を済ませると
左肩にのる小悪魔に寝てしまえと
後ろ髪を引っ張られながら
同じく右肩にのった天使に促されるまま
神戸ー三ノ宮の街に出たのだった。

昼間は遠くに山も見え、
地方独特の雰囲気を感じるこの街も
夜になり人工的な照明に侵食されると
どこか東京などと変わりない賑やかさを感じる。
線路沿いなんかは上野アメ横、
通りなどは五反田のように、
道のそこここに酔っ払ったサラリーマン
ヤンチャな感じの兄さん姉さんは、
品川のそれと見紛うようである。
東京のあっちこっちを凝縮したようでいて、
どこかのんびりした雰囲気と
道行く道に微かに漂っている
神戸牛なのか、
誇張なしにほんのり香る焼肉のような匂い

私はすでにこの街が好きになっていた。

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