わかさ鮨

最近寿司が食べたくて仕方がない。
別に回らない寿司屋である必要はないのだ。
スシローでいい。
とにかく腹一杯に寿司を頬張りたい欲が毎日16時以降に押し寄せる。

そんな時、SNSに流れてきたショート動画の一つに目が釘付けとなった。
それはiPhoneを比較対象とし、しかし全く負けてないマグロ寿司一貫を見てしまったからだ。
その寿司は「わかさ鮨」なる鮨屋で握られるらしい

そうと決まれば食べに行くのみ

私は破竹の勢いで車を走らせた

わかさ鮨は先程のようにSNSでバズってしまい、
沢山の客が来店したようだ
しかし、何やら色々あったのだろう
私が行った時には誰もおらず、
店主と店員2人体制のそのお店はかたわらの扇風機の静かな音と電話の呼び鈴の他は静寂であった。

少し拍子抜けした私だったが、
さっさと目的の特上を注文しよだれを蓄える。

てやんでぇを実体化したような店員が鮨を持ってきた時、私はここ最近の食べ物で一番ぶち上がった
下駄の上に並びたるは、そうiPhoneサイズの鮨鮨鮨
下駄の上面を見せぬが如く巻き寿司で補強し
揃ったテトリスのように綺麗に敷き詰められていたのだ
兎にも角にも、「主役ですが何か」みたいな佇まいのマグロの握り達
エビなんかもはや首を垂れて下駄からずり落ち、
王に忠誠心を誓ってしまっている
そして、恐らく巻き寿司は門兵か何かなのだろう城の囲いに配属された彼らは恵まれなかった体の大きさからか申し訳程度に鎮座している、
がしかしプライドは捨てず
「我らの中に流れている血は王族の血」みたいな感じでマグロが入ってる

てやんでぇはカウンターに置く際に、「君にこれが食べられるかな」と言った空気を醸し出してきたが、
確かに映え狙いできた客の中にはこの鉄壁の要塞に完膚なきまで叩きのめされた者も少なくはないだろう
しかし、私は長年二郎で鍛え上げてきた胃袋がある
さっさと門兵をやっつけ、城内に侵入するとバッサバッサと歴戦の猛者共を切り倒していった

ちなみに、この戦いは戦場カメラマンは入場不可であり、お店のカメラアレルギーをほのかに感じたため一切の記録がない
悔しいが仕方ない、一抹の未練を感じつつも立ち止まることはせず、そうこうする内に王族の間へとたどり着いた
中心の玉座に座るマグロは正しくこの城(下駄)の王であり、上品で白く繊細な霜降りは王冠であろう


私は、わさびと醤油の連携ニ段技を駆使して、
なんとか一振りで王の首を討ち取ったのであった
とろける大トロの食感は他の戦では感じられない感動を味わわせてくれた
シンプルに量の問題なのだが、この量感でちゃんと寿司として食べた感があるのはとても良い

さて、実はこの戦いはものの15分で終わっている
私は終始上手い上手いと呪文のように唱えていたのもあり、2人とも食後は入店時の警戒が解けたように感じられた
何があったのかは分からないが、
ちゃんといただけば何の問題もないのだ
とても美味しかった

冬にでもまた行こうと思う

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