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ベトナムを知る~クワットの約束 - 富と繁栄のテトの祈り

Cây quấtクワットの木(金柑の木)は、ベトナムで旧正月(テト)に飾られる伝統的な植物であり、学名で「Fortunella」とも呼ばれるキンカン科の植物です。この木は、小さな柑橘類の果実をつけ、旧正月に向けて美しい緑の葉とともに、金運や幸運をもたらすとされる、黄色い果実を実らせます。


クワットの木は、ベトナムの大地に深く根ざした、生命と緑の息吹を宿す果樹です。

特に、テトの訪れと共に、春の訪れを告げるこの時期には、その存在が、一層、際立ちます。

風水の世界では、クワットの木はただの植物ではなく、豊かさと繁栄の強力な象徴とされています。その緑豊かな葉と黄金色の果実は、新たな年に、家族全員に、無限の幸運と満ち足りた生活を約束する神秘の力を秘めていると言われています。

この木を、家に迎えることは、幸福と繁栄の風を招き入れ、家族に対する深い愛と願いを象徴する、とても大切で、伝統的な習慣なのです。

1.テト(旧正月)に輝くクワットの木の深遠なる意味

テトの訪れと共に、ベトナムの家々はクワットの木で飾られ、その煌びやかな黄金色の果実が、新しい年の到来を告げます。この習慣は、ただの伝統を超えた、深い意味を持っています。

ハンノイ音で「クワット」が「吉」を意味する「cát」に響き似ていることから、この木は幸運と繁栄の象徴とされています。

緑豊かな葉と黄色い果実をつけるクワットの木は、まるで自然からの豊かな恵みを受け取るかのように、新年を、豊作と繁栄、そして生命力に満ち溢れたものへと導きます。

風水の専門家たちは、クワットの木が持つ特別な力について、語っています。この木は、宇宙の基本要素である五行―金、水、木、火、土―を完璧に備えているとされ、それぞれの要素が互いに生み出し合うことで、家庭に、一年中良い運気をもたらすと言われています。

テトに飾る、クワットの木は、五行を完全に備えた数少ない植物の一つです。金(白い花)は、水(濃い緑の葉)を生み、水は、木(植物の茎)を生み、木は、火(熟したオレンジ色の果実)を生み、火は、土(鉢の土)を生み、土は、金(白い花)を生みます。

そのため、この種の観葉植物を飾ると、家族に一年中良いことが訪れます。金の白い花から水の濃い緑の葉へ、水から木の茎へ、木から火の熟したオレンジ色の果実へ、そして火から土の鉢の土へと、この循環は家族に富と幸福を約束します。

実をつけたクワットの木は、まるで財運を象徴するかのように、その豊富な果実で家族に富をもたらします。花が咲く瞬間は、生命力の象徴であり、これら全てが、財運や職業での成功を意味します。

また、民間伝承によれば、実をつけたクワットの枝は、健康、平和、長寿、そして、恋愛運の幸運を象徴し、家族の世代間の絆を強化します。

クワットの木を家に飾ることは、一年中家族に喜びと幸運をもたらす願いを込めた行為です。ビジネスにおいては、オフィスや店舗にクワットの木を置くことで、大きな吉気を引き寄せ、賢明な投資と豊かな財運を約束します。

この木の形状は、龍の姿を模しており、緑豊かな葉と黄色い果実、白い花芽、新しい葉の「四季」が必要です。これは、新年が豊作で、繁栄し、健康に満ちたものになることを象徴しています。

クワットの木は、ただの植物以上のもの―それは家族の幸せと繁栄、健康と長寿、そして未来の成功と幸運を願う、心からの祈りを込めたシンボルなのです。

2.テトのクワットの木にまつわる伝説

昔々、遥か彼方の一軒の村に、心を通わせた三人の親友がいました。クワンは剣の舞と武術に情熱を燃やし、モックは緑豊かな自然の中で植物を育てる術を極め、シューは詩と音楽に魂を揺さぶられる青年でした。

この中で、クワンは幼い頃から、聴覚と発声の障害を抱えるという逆境に立たされていましたが、その障害を乗り越え、武術において類稀なる才能を開花させたため、「クワットの鞭(むち)」という畏敬を込めた、あだ名を頂戴したのでした。

数年が経過し、平和だったその国は外敵の侵攻に直面します。国民は一丸となって抵抗しましたが、圧倒的な敵の力の前には、なす術もありませんでした。そんな絶望的な時、クワットの鞭は、戦場への参加を決意。彼の強い意志は、二人の友人を通じて将軍に伝えられました。

許可を得て戦場に立ったクワットの鞭は、3日間に渡る激戦の末、見事に敵を打ち破りました。英雄として帰還した彼に、王は、一つの貴重な木の種を授け、「富と繁栄を求めるならば果実を摘み取り、災難を避けたいならば、枝を折って大地に埋めよ」との神託を伝えました。

翌年、その冬は、村を覆う雪と冷たい風、とても厳しい冬となりました。
クワットの鞭は、仙人の言葉に従い、その神聖な木の枝を折り、村のあちこちに植えました。すると、奇跡が起こり、空は晴れ渡り、凍てつく寒さが消え去り、植物も動物も、そして人々の心も再び生き生きと躍動し始めました。クワットの木は、村を覆う雪と冷たい風に立ち向かう、まさに、希望の象徴となりました。

以来、新春のテトが訪れるたびに、村人たちはクワットの木を自宅前に植え、平和と繁栄、そして、クワットの鞭への感謝の意を込めて、その木を「クワット」と呼び続けています。彼の勇気と友情の物語は、今もなお、人々の心に深く刻まれ、世代を超えて語り継がれているのです。

ベトナムを身近に感じていただけると幸いです。


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