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Tokyo

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東京っぽい文章をまとめました。
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中央線は今日も行く

中央線は今日も行く

平日の朝7時

乗る車両は決まってる

降りるドアも決まってる

何事もなく穏やかに

マナーとおもいやり胸に

頼むから目的地へ

突然の急停車

説教し始めるおやじ

優先席で寝る男性

叩き起こす女

互いの汗が絡み合う

遅延で始まる一週間

平日昼下がりの三鷹

程よく空いてる車両

突然怒鳴り散らす輩

対面いてもシカトする

私立の制服小学生

メンタルつよつよ女子大生

週末家路に

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周波数

周波数

夜なのもあるだろうか

新しいビルが立ったからだろうか

久しぶりに降りた駅は
驚くほど他人行儀だった

偶然の乗り換えミスに意味をもたせたい私は
見慣れた道をあてもなく歩く

ふと記憶の波に攫われそうになるのは
まだ私の一部がここにあるせいだ

東京は狭くて人も多いわりに
不思議なくらい知り合いに会わない

でもそれはきっと気づいていないだけで

もしくは気づかないようにしているだけで

実際は

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宇宙船六畳一間カプセル号に想いを馳せて

宇宙船六畳一間カプセル号に想いを馳せて

今から約50年前に「それ」は生まれた。

高度経済成長、バブル崩壊を経て、働き方やライフスタイルの変化をコロナ禍がさらに後押しする2022年現在。

今こそ求められるコンセプト、デザイン性、その実用性に、やっと時代が追いついたようにも思える。

しかしそんなタイミングで「それ」の取り壊しが決まるという数奇な運命は、一体なにを意味するのだろう。

内部見学会に行った際に購入したパンフレット(復刻版)

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ドブ川に風情

ドブ川に風情

急勾配に息があがる

少しペースを上げて

夜の繁華街を抜ける

歩道橋を渡るその瞬間

肺いっぱいに取り込む空気が

鼻をついてむせかえる

それは春のいぶきでも 秋の金木犀でもない

吐き気をもよおすドブ川のにおいと

それを誤魔化す塩素のにおい

黒く濁った水から立ち込める臭気はいつも

私が東京に生きてることを自覚させる

ここを通るたび試されてるような気になるのだ

ドブ川から風情を

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