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電通とリクルート

を読みましたので簡単にまとめ③。著者は山本直人氏。前回は電通とリクルートが広告をどのような目的で使用してきたかをみました。

 次には電通とリクルートの共通点、そして現在(といってもこの本が書かれた2010年くらい)二社が直面している課題についてみていきます。

 共通点は、二社とも情報の流れの「元栓」を押さえていること。課題は、インターネットによって優位性が脅かされつつあることです。

 まず共通点。実はこのnoteの電通とリクルート①では、電通は広告業で「元栓」(四大メディア)を押さえた一方、リクルートはそうした情報から漏れた「毛細管」を押さえたという話をしました。しかし、見方を変えれば両者「元栓」を確保していたとみることもできるといいます。

 電通は戦後に生まれた商業放送の可能性に目をつけ、1953年の日本テレビでの民放放送開始に伴って、テレビでの広告制作をほぼ独占しました。テレビが政府や企業など様々な思惑と結びつき出すとともに、それらをまとめることで電通は「元栓」を押さえる覇者となったのでした。

 一方リクルートはそうしたメディアに扱われない情報を扱ってきました。そこには大手メディアの情報には飽き足らなくなった消費者のニーズもありました。そこで、そうしたメディアにない情報をみるには、リクルートの情報雑誌を手に取るしかなかったのです。つまりリクルートは、メディアにない情報の「元栓」を押さえていたと言うこともできる。消費者は欲しい情報を手に入れるためには、リクルートを通過するしかなかったわけなので。

 ところがこれら二社の優位性を脅かすものが登場します。それがインターネットでした。
 まず電通は、テレビを見てもらわないとそもそも消費者に訴求できないという点があり、これがインターネットの台頭で明確になってきた。テレビよりネットで広告を流そう、という方向にシフトした広告主もいたのではないでしょうか。また2000年ごろから大手広告主が広告代理店を競わせるようになったといいます。理由はコンペにしてより質の高いCMを作らせるためだったり、競争させて手数料を下げさせるためだったり。これも、広告の効果がネットで測れるようになるなどした影響かと。
 そしてリクルートは、その強みに情報を整理する力がありましたが、インターネットでそれが容易になったことで競合が参入してきたのでした。(VSホームズとかVSマイナビとか)。現在も競争は激しいです。だからリクルートは新興して競合になりそうな企業を全力で潰しにいこうとするのですね。

 また、インターネットの登場で消費者の志向が変わったことも、広告には影響しているのです。次回はそこらへんを。

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