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電通とリクルート

を読みましたので簡単にまとめ⑥。著者は山本直人氏。

 前回は、視聴者の「買う理由」を強固にするための戦略として広告出稿側が意識するようになった「ストーリーという理由」の解説をするといい終わりました。

 「ストーリーという理由」を視聴者に提供するとは、「この商品はあなたにふさわしい」というメッセージを送ることである。前回の「合理的理由」という、消費者の条件に合致しているかどうかを知らせるものと似ていると思うかもしれないが、違う。必ずしも消費者の条件を満たしている必要はなく、いかに視聴者に「これだったら私も……」と思わせられるかが重要になってくる。

 この種の広告が台頭しだした1980~1990年代は、そういう風潮があったのかもしれません。例えばトレンディドラマは、その物語の延長に自分を置くことで「これだったら私も……」と思わせていた。JRの広告「クリスマス・エクスプレス」も、「これだったら私も……」と思わせたのではないでしょうか。

 このように広告はある種消費者の憧憬を描き出していました。しかしこういった広告に替わって現在の広告からは憧憬が消えているといいます。

 バブルも弾けインターネットが普及し、「自分のことは自分で決める」時代が続いている。そうした中で、人々は現実を見るようになった。そこでは、リクルート的な、情報を前面に打ち出す広告が必要になってくる。

 この本では車のCMを引き合いにだしていますが、かつては「いつかはクラウン」のように、憧れを持たせて購買意欲を煽るようなものでしたが、今では「価格」とか「エコカー減税」とか現実味のある情報を前面に出している。
 つまり、結局リクルート的なCM・広告が今では作られるようになったということでしょう。

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