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電通とリクルート

を読みましたので簡単にまとめ④。著者は山本直人氏。

 前回は電通とリクルートの共通点と課題をみました。今回は、人々の広告の受け取り方の変化をみます。

 簡単に言うと、人々は現実を見るようになったということです笑。

 戦後、電通が成長した時代には朝鮮特需から始まる経済成長があり、人々は何か憧れを求めて日々を過ごしていました(実際ぼくはその時代生きていないのでなんとも言えませんが笑)。テレビを見るのも、テレビでしか見られない人を見たいとか、テレビでしか体験できないことを疑似体験したいとか理由があるわけで、それは少なからず人々の「憧れ」と結びついていた。電通の大衆向け広告はそうしたところを突いたものでした。

 でも高度経済成長も終わり、人々は現実を見るようになった。リクルートが扱う情報は、徹底的にリアルなものといえるのではないでしょうか。住宅の価格とか、転職するならどことか。自分自身を見つめ直すようになったということですかね。

 よく心の幸福は金銭とは関係ないという意見がありますが、この本ではそれに疑問を呈しています。やはり心の幸福も金銭と結びつくはずで、もし結びついていなかったら、リクルートの情報雑誌を眺める必要はないのではないでしょうか。

 物質的な豊かさは経済成長の過程で確かに満たされつつあった。しかしそこから心の豊かさを求めるように完全に移ったかと言われれば、どうやらそうでもないようです。
 最終的には「新たな迷いの時代に入ったのではないか」というように書かれています。今でも、外食する前にその店の評判をネットで確認したりするではないですか。物質的豊かさが満たされたあと、心が満たされる生活を送ろう!と思うようになっても、結局権威ある情報を頼ったりしてしまう。消費者が迷いの時代に入ったというのも、頷けるような気もします。 

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