妄想:長寿とベーシックインカム

80歳を超えて、「長寿のために働き続ける」ことができるだろうか。「社会のため(負担を掛けないため)に健康で長生き」であることが要求される。

以降、PS:(生産と供給 production and supply):人工知能とロボットと改造生物による生産と供給と定義する。

***** おそらく、2030年には「年金は国が定めた条件に合致する人のみ申請でき受理される」システムになっていくかもしれない。それまでの間に、老化を遅らせるあらゆる手段が研究・開発されるのだろう。それにより、労働と報酬を得る期間が延びていく。

だが、労働環境も変わっていく。PSが経済全体の半分を賄うことになり、残りの半分がニンゲンの労働領域となる。そこには報酬を分けるだけの利益を確保する経営能力が求められる。

同時に、少子化で数が激減しているが若い世代(実年齢:20歳~50歳、若返り年齢:15歳~35歳)の働く場を用意しなければならない。ひしめく若返り年齢:35歳以上との市場の奪い合いが始まる。

そこで、「PSをニンゲンに公平に分配するベーシックインカム」というシステムが練り上げられる。ニンゲン一人一人が経営者となってPSから得られる利益を享受する仕組みと仕掛けである。ニンゲンは「欲しい・必要」を事業として運営していく。つまり、究極の「欲」経営である。

ニンゲンに割り当てられたPSで自身の「欲」の試作を行い、それを他のニンゲンに充ててみて「欲」の取引が成立すれば利益が得られる。互いに「欲」を交換しあい、需要と供給が成り立つ。

だれもが発する「欲」を見つければ利益が広がるチャンスがある。同時に、ライバルも増え薄利のリスクも生む。そうやって、新旧入れ替わりのある活性化した経済が生まれる。

だが、その欲の中に「次世代を生み育む」という「欲」はない。ひたすら自身を永らえるための「欲」しかない。その「欲」も「社会のため(負担を掛けないため)に健康で長生き」という正義として受け止められる。「次世代を生み育むより、PSを増産することの方が社会のためになる」ということだ。

この時代、2020年時代の貧しい途上国の人々もPSの分配を受けられるようになり、世界的にニンゲンの数が減少していき、PSの数が指数関数的に増えていく。

やがて、人工知能による「雇い主の『欲』の推論」が発達し、ニンゲンが発する前にPSによる試作が作られ、自動でニンゲンへの提案がなされ、ニンゲンが気づく前に潜在する「欲」に合致するなにがしかの供給が得られるようになり、需要と供給は成立するが、経営に対する利益が生み出されない現象が多発する。

「PSをニンゲンに公平に分配するベーシックインカム」システムは利益を生まない仕組みと仕掛けとなって、激減していくニンゲンは人工知能に飼いならされた受給者として存在するのみとなる。

*****

#日経COMEMO #NIKKEI

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?