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コラボレーションの意味

以前にも取り上げましたが、「それってパクリじゃないですか?」にすっかりハマっています。
私自身は割と北脇さんに近い性格なのですが、今までのリーガル物と異なり、毎回第三の解決方法が提示されるのがいい。

第二話

月夜野ドリンクの看板商品である「緑のお茶屋さん」のパロディ商品である「緑の落合さん(チョコレート菓子)」という商品を発見した月夜野社員たち。亜紀などは「パロディを訴えるのは野暮ではないか?」と疑問を呈していましたが、話はそう簡単ではありません。
落合製菓の社員の一人は「偶然だ」と言い張りましたが、社長がポロッと漏らした言葉により、本社のデザインを変更するたびにそれに合わせて意図的に落合製菓の意匠を変えるなど、パクリであることは明らかでした。
商標や意匠は会社全体の努力の証であり、人によっては、上辺だけを安易にパロディとして扱われるのが許せないくらい、傷つく人もいます。
さらに、落合製菓の商品に不良があった場合、第三者によって一方的に関連付けられ、月夜野のイメージダウンにも繋がりかねません。

……とここまで書くと、落合製菓が完全に悪者のようなイメージを持ちますが、ところがどっこい、地元の緑町では「地域貢献の企業」として、皆から愛される会社。
知財部の亜紀(ヒロイン)もそれは認めており、落合製菓を許すか、それとも訴えるかの狭間で揺れ動きます。法律上はたとえ悪気がなかったとしても落合製菓に非があり、月夜野ドリンクは落合製菓を訴えることが出来るのです。仮に訴訟となった場合、落合製菓のイメージダウンは計り知れないでしょう。

ですが、月夜野が出した結論は「緑の落合さん」の販売を一旦差し止めてもらう。その代わり、チョコレート部分に月夜野の「緑のお茶屋さん」を使ってもらい、月夜野ドリンクのOEM(業務委託)品として、新たな「緑の落合さん」の販売を認める、というものでした。
社長である落合氏も、「たとえ落合側に悪気がなかったとしても、月夜野社員の商品にかける思いへの配慮を怠っていた」ことを認めました。

北脇らが「OEM品として新たに販売してもらう」というWin-Winの戦略を選択した裏には、地元の優良企業である落合製菓を訴訟で提起すると、却って月夜野のイメージダウンを招きかねないという事情もあります。
何でも「勝てばいい」というものではなく、形を変えて「共存」するという選択もあるのですよね。また、落合社長の「自分たちが何のために物を作っていたか忘れていた」という言葉が、印象的でした。

第六話

これは、月夜野ドリンクと大学の「共同研究開発」がテーマの話です。時々、コンビニ商品などでも見かけますよね。
月夜野の新商品である炭酸飲料(じゅわっとフルーツスパークリング)ですが、大学が「商品開発にまつわる研究成果を学会で発表する」という話が飛びこんできました。大学の味覚研究に優れた研究室に月夜野が出資し、新商品開発に当たっていたのです。

ここで月夜野と大学側は、「共同開発研究契約」の壁にぶつかります。月夜野としては自社の利益のために製品に付随する「特許」を取っておきたいのですが、まだその要件が不十分です。一方、大学側は「研究成果を発表しなければ、大学としての実績が認められない」。大学が学会で研究成果を発表してしまうと、特許に必要な「新規性」を失ってしまい、月夜野は特許を取得できません。そもそも、研究開発の目的が食い違っていたのです。

ですが学会の締切までは二週間しかありません。しかも、大学側は契約上の「発明品の公表は、特許出願後まで認められない」という項目を見落としていたのでした。法律用語で言えば、大学側の「重大な過失」です。
険悪になる両者。大学のある学生は、「研究の成果を金を使って独占しようとしている」と非難し、それに対して亜紀は「これはビジネスなんです。ビジネスに正義なんかありません」と反論します。

ついに大学側は、自ら共同研究開発の契約を破棄する決意を固めました。ですが、亜紀と五木(月夜野総務部の同僚であり、大学のOB)はそれに疑問を呈します。「大学側の今までの研究成果を無駄にしていいのか?」と。
月夜野側も、大学側の学会発表期限までに特許を取得するために、ウルトラCの技を見つけ出そうと最後まで諦めていなかったのです。
そして、亜紀の言葉をヒントに北脇が「ウルトラC案(官能検査を用いたデータによる裏付け)」を繰り出し、無事特許を取得できました。これで、学会の発表にも支障がありません。めでたしめでたし。


というわけで、ここまでがドラマの概要でした。「Win-Win」の解決方法を見つけ出そうとするのは、やはり賢いやり方だと感じている次第です。

また、ドラマを見ていて思い出したのが、かつてnoteで「コラボ」を試みたものの、結局は作品封印に追い込まれた苦い経験。
相手方の気まぐれ・思いつきの一方的な投稿をきっかけに、誹謗中傷めいた投稿を繰り返され、作品を提供したことすらなかったことにされ、ネタパクリのおまけつき(特殊ジャンルの記事なので、すぐに分かりました)。これだけのコンボを喰らえば、いくら気が強い私でも、クリエイター同士のコラボや各種企画に対して臆病にもなろうというものです。

実際、白杯以来ほぼ毎回「みん俳」に投稿してきましたが、唯一の例外が、昨年春の「宇宙杯」でした。宇宙杯が開催された頃は、俳句を始めた&その世界での新しい仲間が出来たことについてまで有料記事内で嫌味を書かれ、noteを止めようか、葛藤を繰り返していた時期でもありました。もちろん、お声掛け下さったみん俳のスタッフに非はなく、私自身の内面の問題です。
そこで、「できるだけ角が立たない方法」を考え抜いた結果が、スピンオフ企画で「短歌」を詠むことでした。ですがこれをきっかけに、寡作ながら短歌も詠むようになったのですから、何が福に転じるかわからないものです。

――やや話が逸れましたが、そもそも、コラボレーションは決して悪いものではないのですよね。現在、あるクリエイター(note外の話)とのコラボ話が持ち上がっていて、表現技法が全く違うジャンルということもあり、成功すればお互いにWin-Winの関係になれるはず……と感じています。
私が「コラボしてみたい」と感じた理由は、次のようなものです。

  • 地元ネタという共通点があること

  • その方の作品も地元愛が溢れていること

  • 私とは違う強みを持っていらっしゃること

  • 密かにリスペクトしていたクリエイター様であること。コラボできたら……と、時々夢想していました(笑)。

そして何よりも、私の作品に対する愛が感じられた点でしょうか。
そこが、かつてのコラボ失敗のときと違います。当たり前のようですが、コラボするならば、原作への愛があってほしい。
かつてのコラボ失敗についての詳細は、クリエイターが特定できることもあり有料記事扱いにしましたが、やはり佐々木君(仮)にとって私の作品は、所詮「自分を売り出すための消耗品の一つ」に過ぎなかったのでしょうね。

コラボ予定作がコンテスト出品作ということや、著作権の絡みもあり、どこまでやれるかはまだ未知数です。ですが、せっかくのご縁は大切にしたいもの。できる限り、そのクリエイター様にメリットを提供できるよう何らかの形でコラボを実現させ、地元のために、そしてお互いのために、強力なコンテンツに仕上げられたらいいなあと思っています。

©k.maru027.2023

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