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ファン歴12年のOL信者が愛を語る。

「気があう人はHUNTER×HUNTERが好き」つまり、「HUNTER×HUNTERが好きな人とは気があう」という理念の元生きているHUNTER×HUNTER大好き女子がHUNTER×HUNTER再開を祝してHUNTER×HUNTERをまだ見たことない人にその面白さを紹介するためのnote (3000字くらいある)

■「強さ」と「念」

HUNTER×HUNTERの面白さの一つに「絶対的な強さ」の指標がないことがあげられる。一応の強さの指標である「オーラ」(生命エネルギーのこと。通常の人間は常に微量に垂れ流しになっており、その存在に気づかず一生を終える。登場人物たちはそのオーラを自在に操ったり絶対量を増やすことで様々な局面を乗り越えていく)が多かろう少なかろうが、「巧妙な策」と「相性」で勝敗が予期できないところが最高に気持ちいい。

また、先ほど上記で説明した「オーラ」の細かい設定が胸熱。(※作中では、オーラを元に開発されていった能力を念能力と呼ぶ)

「強化系」「変化系」「具現化系」「特質系」「操作系」「放出系」とオーラには6つの種類があり、それぞれがそのうちのどれかの系統に属することになる。

自分の系統に沿って能力開発を行なった場合100%の力を出せるが、自身の系統から離れれば離れるほどパーセンテージが下がる。以下に例をあげる。

ex) オーラの系統が「強化系」の場合

◯自分の愛用武器の攻撃力をあげる

✖️疲労回復マッサージ師具現化(できないことはないが精度威力が落ちるので時間をかけて能力取得するには効率が悪い)

つまり、念の能力開発を行うための最初の作業「自身の系統を知る」段階で、「自分がバトルタイプなのか、補助タイプなのか、それとも不意打ちタイプなのか、そもそもバトルに向いていないのか」を知ることになり、活躍の場が制限されてしまうのである。

選別の仕方はこちら。(水見式を使わなくとも性格でなんとなく診断する方法もあるが根拠はない)

ここで「冨樫大先生、さすがすぎる!」と思ったのは2点。

1点目は「オーラ診断が実際に行えてしまう」ということだ。HUNTER×HUNTERファンなら必ず一度はやったことがあると思う「水見式」(某テレビ番組でも大人達が楽しそうに水見式やってた...)そして、「ヒソカのオーラ別性格分析に基づいて、クラスの人物の系統を考える」

「水見式」「オーラ別性格分析」の2段構えにすることで、より一層ファンを巻き込める。

小学生や中学生の頃、「葉っぱが揺れた!操作系ww」「あいつ性格的に放出系だよな〜」「わかるw」みたいな会話をしたかと思うのだが、読者を体験者とすることで話題化をはかり、ファン(及び認知者)を増やしていく策は見事だなぁと思う。

2点目は「特質系」の水見式で起こりうる変化を「その他の変化」と設定したこと。作品が長く続くことはあらかじめ予想されていたかとは思うが、やはりパワーバランスの崩れ、インフラ化は避けられないし、キャラの強さや特異性、差別化の描写にも限界はくる。

そこで「特質系」を設けることで、キャラの輪郭を際立たせることに成功した。

まだ戦ってもいないのに、見るだけで不安や恐れを読者に植え付ける。

■「念(オーラ)」と「キャラクター」

先ほどから念の話をしているが、この「念」というのは、キャラクターの原体験や価値観に基づいて、形作られていくのである。

例えば、

◉貧しいエリア出身、盗賊をやっている男性(26)の場合:「相手の念能力を盗んで自由自在に引き出せる」という念能力

◉見た目年齢13歳可愛い女の子(実年齢50)の場合:「オーラからマッサージ師を具現化、オーラを若返り成分配合のローションに変化、自身の体を癒す」という能力

◉ピエロのような見た目の戦闘マニア、小さい頃はガムが好き(26)の場合:「オーラをガムやゴムの性質をもつ物質に変える」

(石田スイ氏が書いたスピンオフはこちら:http://www.shonenjump.com/p/sp/1606/hyskoa/)

キャラクター達が、どの念能力を選択したのかの背景には様々なストーリがあり非常に興味深い。「このキャラクターは一体誰で、何の目的があって、何の行動をして、どのように物語に絡んで、どんなワクワクを読者に伝えているか」が非常にはっきりしているのだ。

「HUNTER×HUNTERはキャラクター1人1人に詳細なストーリーがある」

(スタートアップ界隈にHUNTER×HUNTER好きが多い理由はこの辺りにあるのかなぁと思っている。「共感できる!」「ワクワクする!」「続きがきになる!」と感じるのはその人の原体験に基づいてアウトプットを考えるという構図がHUNTER×HUNTER内で完成されているからではないのだろうか)

ちなみに登場人物は非常に多く、相関図はかなり複雑となっている。

■ どのサイドからも楽しめる

これは、先ほど述べた「キャラクターのストーリー設定がはっきりしている」に起因するのだが、仮に別サイド(主人公側ではない)から見ても話に違和感がない。

HUNTER×HUNTERには、読者にどのサイドから読ませても納得させられる強さがある。

なので、悪役とされているキャラクターが超かっこよく見えるし、時にその理念に共感してしまうこともある。(おそらく違和感なく描こうとすればするほど「人間らしさ」がキーとなってくるのかと思うのだが、その散りばめられた「人間らしさ」に知らずのうちに惹かれているのだろう。)

敵キャラの目線でサイドストーリーが書かれた場合、超大作になる可能性があると妄想できる。完全に私の持論だが、「良い作品には他者が議論に参加できる、話の広がりを妄想できる隙がある」と思っている。

■主人公の透明さとブレ具合

少年ジャンプ内でカラーが薄い主人公ランキングがあればおそらく首位となりうる素質を備えているのが「ゴン=フリークス」だと私は考えている。

彼の目標は「ジン(彼の父親)を探す」こと。ではあるのだが、それは最優先事項というより、人生で最終的に叶えるぞ〜程度の温度感である。

なので作中では、他者の人生に介入し、好奇心が赴くままに行動を起こすキャラクター像を貫いている。敬愛してやまない「ビスケット=クルーガー」が言った「あんたはフローレスゆえに危うくもあるんだわね」という言葉は全くその通りである。(※不純物がない、何にも染まっていないからどう転ぶかわからない際どさがあると解釈している)

また、主人公の色をなるべく消し、どこにでも柔軟に介入できる設定にしたため、他キャラが際立っていき、それぞれにファンがつくことで作品が伝説化しているのではないだろうかと考えている。

■各話に色がついている

ハンターハンターは、一話完結ではなく各編によって構成されており、それぞれの話で目的がある。

「ハンター試験編」「天空闘技場編」「ヨークシン編」「グリードアイランド編」「キメラアント編」「協会選挙編」「暗黒大陸編」

があるのだが、それぞれの編の色が非常に濃いのだ。(戦いのルールすら変わっている。)

例えば「グリードアイランド編」では、ゲームの中に入り込み(実際は念能力で別の島に飛ばされて、あたかも仮想空間でゲームをプレイしている気分になるだけ)様々なミッションをゲームのルールに乗っ取った特殊スキルカードでクリアしていく。

「従来の念能力」と「ゲーム内のカードスキル」が合間って戦いのスケールがとんでもないものになっている。頭脳戦がメインなのでかなり面白い。

■あとがき〜冨樫義博の信者として今語りたいこと〜

冨樫大先生が紡ぐストーリーになぜ魅了されるのか、壮大なストーリー作成の片鱗がちらっと垣間見えるのが「ヘタッピマンガ研究所R」

「アイシールド21」「ワンパンマン」で有名な村田先生が様々な大御所漫画家にインタビューして秘訣を探っていく構成となっている。

そこで、冨樫大先生にもインタビューするのだが、その中で

「世の中でB級と評されている映画をひたすら見て、それがなぜB級と言われているのかを考え、自分なりにA級に書き換えることでストーリー作成の勘を磨く」

といったようなことをおっしゃられていた。HUNTER×HUNTERには少年漫画にしては強すぎるストーリー性を持っていたり、SFっぽさがあったりするなぁとは感じていたがこのインタビューを読んで納得した。

HUNTER×HUNTERは世の中の才能の原石を磨いたものの集合体なのかもしれない。

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