夏森かぶと@文フリ東京5/19

書店員として働きながら、エッセイを書いています。 著者(ZINE)に『本のある日常』…

夏森かぶと@文フリ東京5/19

書店員として働きながら、エッセイを書いています。 著者(ZINE)に『本のある日常』『本のある生活』。 文学フリマ東京38(2024/5/19)出店予定。 ツイッター:https://twitter.com/kbt0401 お問い合わせ:kbt1101@gmail.com

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【新刊案内】3冊目のZINE『本と抵抗』を刊行します

1冊目『本のある日常』、2冊目『本のある生活』に続き、このたび3冊目のZINE『本と抵抗』を刊行します。 既刊の2冊は正直驚くほどの反響があり、1冊目『本のある日常』は2刷、2冊目『本のある生活』は全国16の本屋さんで取り扱っていただいています(2024/04/17現在)。 →『本のある生活』の取り扱い店舗 3冊目のZINE『本と抵抗』も「いいものができた」と感じているので、読んでいただけるとうれしいです! お知らせ2024/5/19に開催される文学フリマ東京38に出

    • 調子の悪さに比例して読書量が増えていく

      年度末は忙しさのあまり調子を崩す人は多いと思う。 かくいう私もその一人で、この3月は膨大な仕事に追われ、また上司との面談を控え関係がギクシャクしてしまいストレスフルな状況だった。 私は生活の調子が悪くなると、すがるようにして本を読むクセがある。 そういうわけで、3月は27,143円分の本を買い、16冊の本を読むことになった。 どうして、つらいときに読書量が増えるのか。 自分の現状と似たような内容の本を読み、「わかる。つらいよね」と支えてもらいたいからである。 例えば、私は3

      • 休み明けは仕事に行きたくない

        9時、アラームに起こされる。 頭が覚醒するにつれて絶望が胸を満たしていく。 うわ、今日から仕事じゃん…… どうしても現実を受け入れられず、布団の中で「仕事 行きたくない」とツイッター検索し、同じ気持ちの人を見つけて自分を慰める。 指に任せて、延々とスクロール。 「仕事 行きたくない」 「仕事 行きたくない」 「仕事 死にたい」 9:30になり、そろそろ準備しなきゃと、布団から身を剥がすようにして起きる。 朝、自分の身体を動かすのはやる気ではなく、遅刻するかもしれないという

        • 本を読んだら生きやすくなった

          よく30歳を超えると生きやすくなる、なんてことが言われる。 逆に言えば、20代は大概の人が生きづらさを感じるときなのだろう。 私も社会人になってからうまくいかず退職したり、しばらく無職としてすごしたりと不器用な20代を送ってきた。 そんな私も今年で30歳を迎え、確かにちょっと生きやすくなってきたな、と感じる。 でもそれは、単に年齢を重ねたからではなく、社会人になってから始めた読書のおかげが大きい。 本という媒体はグレーゾーンを尊重するものだと思う。 白か黒かではなく、グレ

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        【新刊案内】3冊目のZINE『本と抵抗』を刊行します

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        • 本のある日常
          41本
        • 仕事と生活のバランス
          2本
        • 週末日記「本を買ったり読んだり」
          8本

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          休日に何をすればいいかわからない

          毎週、休日を持て余している。 何をすればいいかわからないからだ。 エッセイを書いたり読書をしたりと、趣味はある。 でもそれで丸一日過ごせるわけじゃない。 午前中をそれらに費やしたとしても、午後にはぽっかりと時間が空く。 そんなときにどうしたらいいのかわからない。 何かに熱中していないと孤独を感じるタチで、暇な時間ができるとソワソワしてしまう。 友達に相談したら、「そんなの、ごろごろすればいいじゃん」と言われたが、そのごろごろができないから苦しんでいる。 自分の中のよくわから

          休日に何をすればいいかわからない

          一箱古本市で本を売る

          一箱古本市を知っているだろうか。 本屋さんじゃない人でも、気軽に自分の本を売ることができるイベントだ。 本のフリーマーケットと言えば、想像しやすいかもしれない。 そんな一箱古本市に、私は今までで4回ほど参加している。 一箱古本市はとにかくお客さんとの距離が近い。 本棚を挟んで、すぐ目の前のお客さんが本を眺める。 おずおずと手を伸ばし、気になった本をパラパラとめくる。 そして、気に入れば、小銭を手渡しして本を買ってもらえる。 戸惑ったのは、お客さんに「この本おもしろかった?

          一箱古本市で本を売る

          【短編小説】雪かき

          「いらっしゃいませー」 コンビニのドアが開いて、お客さんが入ってくる。 ああ、いつものじいさんか。 近所に住んでるのだろう、毎日朝の決まった時間にやってくる。 そして、パンと牛乳を買い、おぼつかない足取りで帰って行く。 今日はジャムパンだった。 朝食を買いに来るということは、ご飯を作ってくれる人もおらず、一人で寂しく暮らしているのだろう。 「ありがとうございましたー」 ああはなりたくないな。そう思いながら小さな背中を見送る。 その日の休憩時間、たばこを吸いに外に出てみる

          ふだんは読まない本を読むという冒険

          読書歴が長くなってくると、「自分が好きそうな本」というのが大体わかってくる。 そして、そうした本ばかり買って読むようになる。 たとえば私だったら、ちょっと暗めのエッセイや哲学、人文学などの人文書ばかり読んでいる。 だけど書店員をやっていると、ふだんは読まないような本を読む機会に恵まれる。 お店で売れている本はどうしても気になってしまうし、「これは売りたい」と思った本はできるだけ自分でも読むようにしている。 そんな自分の興味から少し外れたような本を読むと、毎回驚くのだが、わか

          ふだんは読まない本を読むという冒険

          電車で本を読むという抵抗

          通勤電車の中ではできるだけ本を読むようにしている。 もちろん読書がしたいからであるが、最近は私が本を読む姿を見てもらうことによって読書に興味を持ってもらおうという草の根活動も意識している。 読書に興味をもってもらうには、面白そうに本を読んでいる姿を見せるのが一番だろう。 それを電車の中で実践しているのだ。 電車の中で読書している人は本当に少ない。 たまに車両内を見渡してみるが、本を読んでいる人は一人もいないことが多い。 乗客のほとんどがスマホをいじっている姿を目にすると、書

          電車で本を読むという抵抗

          本の帯どうするか問題

          長年私を悩ませている問題がある。 そう、本の帯をどうするか問題である。 もともと几帳面な性格もあり、本の帯が捨てられない。 ただ、その几帳面な性格ゆえに読んでいるときは帯が手に当たって気になる。 かといって、本から外して取っておくと、本棚の上に謎の本の帯がワシャワシャしているコーナーが出来上がる。 本の帯はけっきょくどうするのが正解なのか、いいかげんこの問題に結論を出したい。 まず、どうして本の帯を捨てられないのか。 それは、なにかもったいない感じがするからである。 本の帯

          本の帯どうするか問題

          書店員だけど接客の正解がわからない

          私は小さな本屋で働いている。 個人店の小さな本屋なので、お客さんとの距離が近い。 せっかくお客さんとの距離が近いんだから、会計の際に小粋な一言でも言って、お客さんにまた来てもらいたいと思う。 例えば、お客さんの買った本を見て「私もこの本好きなんですよ」とか言えば、話が弾むかもしれない。 ただ実際にやってみると、笑顔で返してくれる人もいたが、苦笑いをする人や無視する人もおり、落ち込んでしまった。 「話しかけ方がまずかったかな・・・」などお客さんが帰ってから反省会をすることもし

          書店員だけど接客の正解がわからない

          歴史小説の門を開ける

          長年、歴史小説には苦手意識を持っていた。 漢字が多いし、文体も固い。 なにより、登場人物の名前がみんな似ていて、誰が誰だかわからなくなり、物語に全然入っていけない。 そんな私だが、最近夜な夜な「戦国無双」というゲームを楽しんでいる。 「戦国無双」は歴史上有名な武将を操り、敵をばったばったと切り倒していくアクションゲームである。 仕事終わりで疲れている夜に、自分が強い武将となって雑兵をなぎ倒すのがいいストレス解消になっているのだ。 武将になりきって戦っていると、登場するキャ

          歴史小説の門を開ける

          私が本を読める場所

          私は家ではあまり本が読めない。 読もうとしても、YouTubeやアニメやら他のことに気が移ってしまう。 そんな私が集中して本を読めると思うのは、電車の中だ。 電車では読書以外にやることがない。 スマホは見れるが、電車内が明るくて画面が見づらいし、情報量が多くて脳も疲れてしまう。 でも目的の駅までボーッとしてるのも退屈。 そんな状況はまさに読書にぴったりなのである。 駅のホームで文庫本を読み始めるから、電車を待つ時間も苦にならない。 電車に乗ってからもあっという間で、集中し

          本屋納めと本屋始め

          本好きにとって、その年の最後に行く本屋と、新しい年になって最初に行く本屋はやはりちょっと特別である。 年末は「これが最後の本屋か」となぜか襟を正すような気持ちになるし、年始に本屋に行くのはワクワクする。 2023年、私の本屋納めは12月30日だった。 朝、吐く息が白くなる寒さの中、なじみの古本屋に向かう。 道中の公園では、何匹もの鴨が寒い川に浮かんで年を超そうとしている。 見るとやる気がなく川に流されている鴨もいる。 古本屋の道すがら、公園を散歩するのは気持ちがいい。 古

          書店員の私が本を読むようになったきっかけ

          当時、私は無職だった。 新卒で入った会社を辞め、会社という組織を信じられなくなっていた私は、どうにか一人で稼げるようになりたかった。 そんなときにあるYouTuberがすすめていた『お金持ちになれる黄金の羽の拾い方』という本を読んだ。 その本は簡単に言うと、会社員は税金が取られすぎているから自分で小さい会社を作った方がいい、という内容だったのだが、読み終わった後に感じたのは「本を読まないことはリスクだ」ということだった。 というのも、会社員をやっていたとき、そんなに都合よく

          書店員の私が本を読むようになったきっかけ

          近所の本屋がつぶれた

          私が今のアパートに引っ越してきたのは、1年ほど前のことだった。 新しい土地に来て、まずうれしかったのが「本」という看板を掲げる店が近所にあったことだ。 期待して入ってみると、お世辞にも品揃えはいいとはいえない。 でも家のすぐ近くにあって、夜遅くまで開いているその店は、すぐに私のお気に入りの場所になった。 週に1回は通い本を買った。 落ち着かない夜にその店に行けば、本に囲まれる空間があって安心した。 マンガの品揃えはよかったので、新刊が出ると足早にその店に通った。 私は書

          近所の本屋がつぶれた