バゲット道に入門しました
ボンソワー!ケイチェルおじだよ。
パン作りを始めて約2年のおいたん。これまで月1ペースくらいでいろんなパンを焼いてきたかな。先月はカンパーニュも焼いたことだし、そろそろバゲットに手を出してもいい頃だろう。
前にも書いたけど、バゲットは一見素朴なパンに見えて、実は最も難しいパンらしいのだよ。なので、おいたんはここ1ヶ月ヒマさえあればYouTubeのバゲット動画を見て作り方を研究してたわけ。
*以下5000字近い長文なので、製パンに興味ない人は画像だけ見てください(笑)
何が難しいって、最大のポイントは「クープが開く」っていうところ。皆さんもバゲットを買うと、表面に模様みたいなのがついてるのは認識されてると思うけど、あれは焼く前に入れた切り込みが、焼成中にパンが膨らむにつれてパカ〜と開いてできる模様なんだね。
で、このクープが開くかどうかは単に見た目の問題じゃなくて、バゲットというパンの根幹そのものに関わる問題なのだ。つまり「クープが開かない」というのは膨らむ前に表面が焼き固まってしまったということであり、そうすると開いたところから蒸気が抜けず大きな気泡もできない。結果、目の詰まったパンになってしまう。配合や焼き加減によってずっしりだったりもっちりだったりフワフワだったりするけど、まあバゲットとは別の食感のパンになってしまうってことだな。
クープにばかり拘るのは如何なものかという話もあるみたいだけど、とりあえず初心者は「クープが開いて気泡ボコボコ」を目指した方がいいみたいだ。
では、どうやったらクープぱっくりのバゲットが焼けるのか?と言うと、これがもう材料の準備の段階から最後のオーブンの扉を閉めるまでの、あらゆる要素が関わってるらしい。挙げればキリがないのだけど、とりわけ重要視されてるものは以下の5つかなあ。
①熟成時間
②温度管理(捏ね上げ温度や発酵温度)
③生地のハリ
④クープの入れ方
⑤オーブンのテクニック
①加水率の高いハード系パンは、捏ね作業は少ない代わりに、水と小麦粉が馴染む「水和」がしっかりしてないといけないらしい。なので、冷蔵庫で長時間低温発酵させる方法が一番やりやすいようだ。ストレート法でも一次発酵に3時間はかけなきゃいけないとか。暇人じゃなきゃ作れないパンだよな。GWのおいたんだ(笑)
②長時間発酵させることに加えて、もともと生地中のイーストも少ないし、イーストの餌になる砂糖も入らないので、ちゃんと温度管理をして適切な発酵をとらないといけない。らしい。
③生地にハリがなくだらーんとしてると、二次発酵や焼成時に上に膨らまず横に広がってしまう、というのはまあ想像がつくね。もちろんクープが勢いよく開くためには表面が張ってないといけない。
④クープの入れ方も重要で、単に向き・角度・深さだけでなく、生地自体の重量や長さによって適切なクープの長さや本数があるらしい。
⑤オーブン焼成では、先述したように表面が乾燥して焼き固まる前に生地を膨らませないといけない。そのためにスチームを入れて表面を糊化させるのは必須。加えて、アルミホイルを被せて上からの火と熱風を防いだり、なかにはオーブンに石を入れてお湯をかけてスチームを出し、最初の数分間はオーブンの電源を切って蒸気の熱だけで生地を膨らませるというやり方もあるみたい。
という具合に程よく頭デッカチになったところでいよいよ実践だ。とにかく時間がかかるパンなので、連休ぐらいしか作る気にならない。このGWは絶好のチャンス。
ところが!本当は前日夜に生地を仕込んで冷蔵庫に一晩入れるオーバーナイト法にしようと思ってたんだけど、昨日の夜はマカロン作って疲れて11時前に寝ちゃった😴
でもそのおかげで朝5時半に目が覚めたので、早朝からストレート法で作ることに変更。一次発酵とベンチタイムと二次発酵だけを合わせても5時間かかるけど、まあ大掃除でもやりながら作ればいいか。
というわけで6時半から作業開始。材料はこちらです。
レシピはこちらの大野有里奈先生のYouTubeを参考にしました。
動画では「材料は絶対守って下さい」と言われてるにも関わらず、勝手にモルトパウダーを省略するおいたん(笑) モルトパウダーは麦芽糖という糖分でイーストの餌になるだけでなく、何とかっていう酵素が発酵を促進するらしい。また風味と焼き色にも影響するとか。だけど、本場フランスではモルトを使ったものは「フランスパン」とは認められないらしい。それより何より、1年にそう何回も使うわけじゃない材料をわざわざ買う気がしなかっただけ(笑) 賞味期限が5年くらいあるなら買ってもいいけどねえ。
ちなみに最難関のパンであるバゲット作りにおいて、ストレート法は最も難易度が高いらしい。それなのにモルトは省くわ、もちろん発酵器なんてないわ、オーブンは(デロンギとは言え)最高220度のトースターみたいなオーブンだし、不利な条件ばかりだけど、まあそれだけやりがいがあるってもんよ。
まずは粉と水を混ぜて20分放置します。
タッパーに移して一次発酵に入るんだけど、捏ね上げ温度を測ったら18度。完全に室温。本当は24度前後じゃなきゃいけないのよね。最初の水を35度程度のぬるま湯にしたんだけど、それじゃダメだったみたい。材料の準備段階から勝負は始まってるとはこのことなんだよなー。
というわけで、オーブンを保温温度(60°)に予熱して電源を切り、40度程度になってからタッパーを入れて温めました。
バゲット作りにおいてこたつ発酵などの高温発酵は御法度とされてるみたいだけど、おそらく時短するのがいけないってことだと思う。本来であれば発酵器27度をキープするところだけど、まあ発酵具合の辻褄が合えばいいんじゃなかろうか。とりあえずこのままオーブン内に2時間放置してみます。
大掃除してたら2時間は案外すぐ過ぎた。
再びタッパーに戻して、さらに一次発酵を室温で1時間取ります。大掃除も今日のぶんはお終い。疲れた。
マットに取り出して、ペシペシ叩いてガス抜きをしながら広げ、裏返して三つ折りで楕円形にします。
濡れ布巾を被せて20分ベンチタイムを取ります。いよいよ成形!
うちの天板は斜め32cmなので30cm強まで伸ばしました。
両手中指を閉じ目に沿うようにして生地を持ち上げ、キャンバス布に移します。
なんでこんなことするかと言うと、布が水分を吸ってくれるのと、二次発酵で横に膨らまないようにするためらしい。
これに濡れ布巾をかけて80分二次発酵させます。この間にスーパーに昼食の材料を買いに行きました。
普通は取り板として、段ボールにストッキングを巻いたものを使うらしいのだけど、おっさんがストッキング売り場で物色するのはちと厳しい😂
ここでも一体なんでこんなことするのかと言うと、二次発酵後のパン生地って柔らかすぎて手で持ち上げたりできないのよね。で、天板には閉じ目を下にして置かなきゃいけないから、いったん取り板に180度転がして、そこから天板に180度転がすという風にするわけ。
要は1回転してクッキングシートに乗せればいいんだろ?ってことで、キャンバスでワンクッションかましてクッキングシートにゴロンと乗せてみることに。
クッキングシートを切る前にまっすぐになるように整えたんだけど、ちょっと捻れたかなあ。やっぱり取り板必要かも。
何はともあれ、いよいよクープ入れだ。
いやー、このときはもう泣きそうになったね。今までの時間と労力が全部台無し。
でもまあ、焼くしかない。最高温度の220度に予熱したオーブンに15回霧吹きをして、下段に天板を入れます。
このオーブンのテクニックもめちゃめちゃ迷ったけど、まずは一番シンプルな方法で試すことにした。幸いうちのオーブンは下火があるので、薄い天板を使えば火の通りはいいかもしれない(先代オーブンの天板を取っておいて良かった)。またコンベクションをOFFにできるのも都合がいい。
で、クープが開くかどうかは最初の8分くらいで決まるらしいので、もうずっとオーブンに張り付きまくりよ。だけど、あまりにクープが汚すぎて開いてるのかさえよく分からない状態に😭
とりあえず25分ほど焼いたのがこちら。
粗熱が取れたらカットしてみよう。
これ、クープさえしっかり入れられてたらもっとボコボコになったんじゃないかね。
食べてみたら、充分美味しいわ。やっぱり自分で作ったパンは美味しいなあ。おいたんは普段は味の付いてないパンをそれだけではほとんど食べない人類だけど、これは何も付けずに3分の1本ほどムシャムシャ食べてしまった(朝から何も食べてなくてお腹が空いてただけ説あるけど)。
正直、オーブンから出した姿を見て、やっぱりうちのオーブンでバゲットは無理だろうから潔く諦めようと思ったんだけど、食べてみたらまた作りたくなってきたわ(笑)
まずはクープナイフ買わなくちゃだな。せいぜい1000円くらいだし、クープナイフは他のパンにも使えるしね。あとは取り板のためにストッキング買うか?これはハードルが高いなあ😂
というわけで、初のバゲット奮闘記でした。noteご近所の製パン勢は一緒にバゲット道に入門しましょう。今のところゆのきりょうこさんとichiシェフが作られてたくらいかな。
https://note.com/chef_ichi/n/n1adb6bbff0ea
そう言えばさぬき広島のからちゃんもいたわ。
自分で作ってみると、パン屋さんのバゲットが神々しいものに見えてくるな。製パン勢じゃない皆さんもたくさんバゲット買って食べようね。できるだけ町のパン屋さんで買うのがいいと思うね。
おわり。
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