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OD(オーバードーズ)をして死の淵を彷徨った話

精神科ナースになる前の私は、うつ病を患って、しかも仕事がうまくいっていませんでした。『ストレスですね』精神科にかかってもその一言で、精神状態は全く変わりません。

そしてある休日の日、死んだように眠りたいと思い、OD(オーバードーズ)をしました。ご存知の通りODとは、『過料服薬』つまり、多量に薬を飲む自傷行為のひとつですね。

夕方、薬を準備して、だいたい致死量の70%くらいの量でいっかいのりょうの30倍の薬を飲みました。薬の名前はあえて伏せさせていただきますが市販薬です。

飲んだ直後の記憶はありません。夜中、途中目が覚めて、強烈な全身の震えと喉の異常な渇きにおそわれました。水を飲もうにも、手足が震えて立てないし、ペットボトルを手に持っても全く飲むことができず、全部こぼしてしまいました。歩くとびっくりが彫って頭を強打したのを覚えています。

なんとか水分をとって、ベッドになんとか寝たら今度は尿意で目が覚めました。全身の震えの中、なんとかトイレに行くと、『これは夢か?』とおもいました。尿の色が紫色なのです。幻覚だと言い聞かせて朝まで寝ました。

朝になると震えは止まっていましたが、今度は全身の激しい筋肉痛に襲われました。また、排尿すると、また紫色の尿が出ました。これはやばいと思いましたな。あと何故か、視界がとても狭く感じました。

私は看護師をしていたので、全身の筋肉が溶ける横紋筋融解症になったのではないかと疑いました。もしそうなら致死的です。

体の痛みと倦怠感、薄れゆく意識の中で、妻が救急車を呼びました。そのまま救急病院で検査を受けました。そこで聞いたのは、

『全身の筋肉が溶けている。大病院じゃないとみれない。このままでは溶けた筋肉の成分で腎臓が詰まり死んでしまう。』

検査値の値は正常の50倍あり、肝障害と腎障害を併発しているとのことでした。すぐに大病院に移り、治療開始しました。ICU(集中治療室)の最重症患者の部屋に入れられました。

嫁は、今夜が峠との説明を受け、延命処置をどこまでするか尋ねられたそうです。

身体中に医療器具と管をつけられ入れられ、とにかく全身が苦しい中でベッドに横たわっていました。

病状にもよりますが、通常長くても3日くらいでICU(集中治療室)から出て、一般病棟に移るのですが、私は1週間出られず死の淵を彷徨いました。

奇跡的に回復して、もうODはしないと決めました。

ODをして入院してくる患者さんは少なくないです。ただ、多くの患者様はODで体の中にどんな異変が起こるのかをご存じない方が多いです。

いっときの苦しみから逃れるためにODをする人も少なくないです。私はODする人の気持ちもわかるから、『ODをしないで!』とはいうことはできません。しかし、ODには恐るべき副作用があることを頭に入れてほしいとおもいます。下に箇条書きでまとめたおきますのでご参考になさってください。

•腎障害により一生透析もあり得る

•胃洗浄という苦しい処置が待っている

•身体障碍者になる可能性がある。

•悪性症候群、横紋筋融解症、などの一般には知られていない謎の病気になる。

•運良く助かっても莫大な医療費がかかることがある(ICUは1日入院で40,000円くらい)

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