二行




どこからか桜の花が舞ってきて見上げて
新たな春を見つける

ノイキャン機能より劣ってもいいから
あなたの手でしてほしい耳栓

体に良いと聞いたものをすすめるが
何に良いかは説明できず

窓にぶつかる虫の音を聞いて
“事故多し”の看板を立てる

アパートの隣の隣の住人は
顔を知らぬまま引っ越していった

山の上から飛び降りる
時の重力すら再現する最新のゲーム

桜の並木が続く視界にっ飛ぶ
枝に残る花の二つ三つ

春めいて囀る声がいや増すとも
臆病なこころは体感にある

コイバナが仲良くなるのに一番と
思ってる人とは仲良くできない

小学校の先生に怒られるけど
「おもしろかった」だけの感想がある

降りはじめた雨がベランダに
一瞬つくるドット柄を見逃したくない

松島を背景に自撮りした
写真に必死な顔しか写っていない

小説のクライマックスで話しかける
奴を罰する法律をください

肉も皮もある体でも
中手骨ちゅうしゅこつにはガイコツを感じる

顔にホクロがある理由 人間のオスに
狙いを定めさせるため

割れた手鏡を新聞紙で包むとき
破片に“侵略”と映る

通学時歌う口元を隠す為
私はマスクを外さない

“燃料切れ”より“腹の虫”と思う方が
自分の身体に愛着が湧く


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